farminhosを支えてくださった皆様へ
一部の方には既にお知らせ申し上げておりますが、このほど私の住まいしております空き農家とその周辺の農地が、一括して某NPO法人に管理されることとなり、相前後して地区の農業委員会より、私が個人的に皆様と農作業をシェアする目的で使用して参りました「farminhos」という名称とこの活動について、これらを中止するようにとの行政指導がありました。指導の根拠は「農地法第3条第2項」により、土地利用の下限面積が満たされていないことと、農地利用集積円滑化団体 (すなわち某NPO法人) が農地を集約的に利用することの妨げになること、権原が地主・某NPO法人を経てのまた貸しにあたり中間搾取を禁じた法の理念に反することなどによるとされています。
その後、地主・某NPO法人と話し合いを持った結果、この家屋と農地は一元的にその法人が管理することとなり、私およびfarminhosとして農作業を続けてきたメンバーが、継続してこれを続けたい場合には、その全員が法人に所属し、年会費と農機具管理料 (以上ひとりあたり定額)・土地使用料 (農地面積あたり定額) を支払うこととされ、形としては法人の構成員にはなるものの、私たちの活動については、これを独自に行うことを「特に許す」ということです。大変屈辱的な内容でしたが、現在作付けが進行していること、farminhosとして少しずつ自発的に参加してくださっている方が増えてきていること、収穫物を使った料理などを提供することにより、「食」にたいするさまざまな考えをシェアしていくことが広がりはじめていることなどに鑑みて、これを受け入れることにしました。具体的な金額については、継続して参加表明をしてくださった皆様に個別にご案内させていただきます。また、「farminhos」としてのブログの更新は、これをもって一旦終了します。今後は、「農作業食品加工日誌」のカテゴリにおいて、「新畑の観察」というタイトルで現状と進捗を掲載して参りますので、どうかお志のある方は、これをご覧になって今まで通り自発的に参加表明をお願いします。
現在、来シーズンに向けての作業が進行中ですが、同時に移転先についての情報収集をしており、これについてはかなりの数のお申し出をいただいており心から感謝をいたしております。しかしながら農業を志して7年あまり、「ひとり一反の独立農民」を何人か育てることが出来たとはいうものの、この場で集約できなかったことは不徳の致すところと自省し、移転に際しては最低5人の考えを同じくする独立自営農民を集約化することを目標とします。現行の農地法では、5反の農地を一括管理できる状態でなければ、権原が生じないからです。私に出来るのはせいぜい1反、しかし1反だけを所有する空き農家などあり得ませんから、農業をしたければ5人の同志が一塊になって動かざるを得ない仕組みになっているのです。自分一人では1反しか出来ないのに、残りの農地を他人頼みにすることによって「独立農民」と名乗ることなど出来ないと考えています。「farminhos」の理念については、また後ほどご説明させていただく機会もあろうかとは思いますが、このブログをご覧になっているかたがたには、おおよそのお察しはついているものと思います。安心して食べられるおいしいものを作りたいという気持ちに、なにも特別な理屈などございません。この冬より新天地を求める遍歴の旅を、まずは「自然農法」のカリスマを尋ねて赤目へ、晴れて「farminhos」(ファルミーニョス = 小さい農民たち) を名乗ることの出来る日を夢見て始めたいと思います。
また、これから「田舎暮らし」や農業にあこがれて行動を始めようとする人たちに知っておいていただきたいことは、農業そのものが肉体的にも精神的にも経済的にも大変厳しい生き方であることのみならず、初めから機械化された事業として手がけるならばいざ知らず、手作りで自給的な生活を基盤として考えるならば、男一匹一年間で手入れの出来る農地は1反そこそこです。しかし農村に目を向ければすぐにわかることですが、たいていの農家は1町以上の農地を所有しており、農家に移り住むということは、いずれそれだけの農地の手入れを強いられる可能性があるということです。そのための仕組み作りをきちんと念頭に入れておかないと、安易に地主と約束だけしても私のような窮地に陥ります。地主が法令を熟知しているとは限りませんので、転身される前に農地法などをよくお調べになることを強くお勧めします。