梅雨時期の湿気と寒さのために、稗にいもち病が蔓延し、弱った熱帯性の作物の葉に侵食している。バジルの葉は方々で蝕まれ、ウリ科の苗にも飛び火している。放置すれば甚大な被害になりそうだが、稲の苗の方も青息吐息であり、ともに応急処置で騙しあいながら、ぎりぎりの隙間を走り抜けようとしている。
田植えも最終段階である。苗代にしていた部分を潰して代掻きし、このうえに田植えをしていく。右奥から赤米「神丹穂」、これは植付けた全てが活着しているので心配ない。膨大に余った苗は処分する。手前に順に、「豊里」も大量に苗が余り取っていない部分の良いところだけを土ごと箱に入れて温存し緊急事態に備える。「サリー・クイーン」は100%近い発芽率が災いして苗代が混みあい極小苗ばかりが出来てしまって良い苗が不足した。「タイの香り米」は適度な株間を保って発芽したが間に稗に入り込まれ殆ど稗の独壇場となって良い苗が採れなかった。結局、東畑脇田に植えはじめたのだが、1/3を植えた段階で残りを「豊里」に譲ることにした。これらはインディカとジャポニカの不自然な交配種であり、もともと性質が弱く、栽培条件に影響されやすいのであろう。落ち着いたら研究すべき課題である。
全ての苗を撤去する。種の交雑を防ぐ意味で、徹底的に掃除しなければならない。最後の植付けは「サリー・クイーン」である。左は本来望んだ姿だが、こんなものは極稀にしかない。殆どは三葉ほどの幼苗で、それも黄色くなりかけている。さてこれを稗やセリの押し寄せる圃場に植付けて、果たして育つのであろうか・・・
私はカネを失うよりも食物を失うことの方が辛い。食物のもととなる苗をこのように大量に廃棄する罪悪感は喩えようがない。
温存された「豊里」・・・代掻きをして、急ぎ明日は最終の田植え。