
María Teresa Vera: La Embajadora de la Canción de Antaño 「マリア・テレーサ・ベラ: キューバ、いにしえの歌」(CD, Disco Caramba/ Ahora Corporation, 1993, Japan)
01. Veinte Años
02. Y tu que has hecho
03. Las Perlas de Tu Boca
04. He Perdido Contigo
05. Mujer Perjura
06. La Rosa Roja
07. Aquella Boca
08. Eso no es na
09. Lágrimas Negras
10. Ella y Yo
11. Ausencia
12. Aurora
13. Para que te Recuerdes de mi
14. Porque me Siento Triste
15. Arrolla Cubano
16. Una Mirada
17. Nena
18. Confesión
19. El Huracán y la Palma
20. Timidez
21. La Rosa, No. 1
22. La Rosa, No. 2
23. Condenado
24. ¿ Por qué Latió mi Corazón ?
25. Extracto de Timidez
1,2…1950's
3-15… María Teresa Vera: Música Tradicional Cubana (LP, Egrem, LDG2006, 1958-59?, Areito, LD4700, 1990 re-issued, Cuba)
16-25…María Teresa y Lorenzo: La Cancion Cubana Tradicional; Vol III (LP, 1961 ?, Areito, LD3388, 1978 re-issued, Cuba)
キューバとアメリカの歴史的国交回復を記念して音源レビュー再開しましょか・・・ったくもう、アメリカがほんの少し融和政策に舵を切ってくれさえしたら、世界はぐっと平和になるというなによりの証やね。そら複雑な国やし色んな事情もあるやろ、せやけど、なんぼなんでも地球を何回も壊せるだけの強大な軍事力を背景に、自分に刃向かう者には先制攻撃も辞さへん態度ちらつかせて、実際に撃ってしもてから誤爆やったの民間人巻き込んだのやるから、怨恨がテロリズム増長させて暴力の連鎖反応産んでる現状、ええ加減わかってよ。日本政府もな、戦後復興の埒が開かんのを、アメリカが朝鮮戦争とベトナム戦争やってくれたおかげでどれだけ助かったか知らんけど、もうそろそろ国民や世界の幸せの方を大事にしてよ。義理堅いにもほどがあるで。まあ政治家というのは権力を求めるもんやし、権力や財力の美酒は、それはそれは甘いもんやろとは思うけどね、ほんまにこの狂った世の中、ちょっと緩めるだけでぐっと血行よくなるはずなんで、かりにそれが権力のプラスにならんとしても、なんとかもう少しお願いしますよホンマに・・・
まあ愚痴っててもしゃあない。キューバ音楽ですが、これについては私ごときが何かを申し上げるのもおこがましいて、日本にもこれの愛好家や研究者や演奏家がごまんといたはりますよって、ぐっと気楽に、持ってる音源を聴き直してみて「ええやん」と思たもんだけ、かるーくいってみます。
とっぱしはMaría Teresa Vera (1895-1965) です。「Son (ソン) 」という音楽形式がキューバに確立したのを端緒として、今のスペイン語系ラテン・アメリカの音楽は大々的に発展していくわけだが、彼女はその確立前後の、いろんな形式の歌や演奏が多彩に入り交じって行われていた頃を代表する、キューバの女性歌手である。このアルバムは、その時代に目を向けさせようという企画から産まれた日本の編集盤で、もともとの音源は、はじめの2曲が1950年代の発掘音源、そのあとは2枚のキューバでの歴史的LPの復刻収録である。資料を調べてみると、若干の曲の入れ替えはあるようだが、この編集盤の前半までは、既にSonが確立された頃の勢いに満ちた演奏であって、これはこれで非常に良い。その味を好むなら、これもやはり日本盤で復刻された下のアルバムが、恐らく最高の出来だと思う。しかし真に残念ながら、これら2枚の日本盤は現在ほぼ入手不可能である。そのかわり様々な編集盤やリマスターされた盤が多く出ているので、曲名の重複に注意しながら集めていかれると、その時代の音源を沢山聴く事は出来る。
María Teresa Vera 「マリア・テレーサ・ベラ: 伝統のマリア・テレーサ・ベラ」(CD, Bomba Records, BOM-115, 1991, Japan/ (María Teresa Vera: Sus Canciones, LP, Kubaney, MT-109, 1957, Cuba)
さて、それだけならば何もわざわざ書く必要がない。歴史的なキューバとアメリカの国交回復を記念する音源レビュー第一弾としてこのアルバムを選んだのは、後半の収録曲ゆえである。これが実に素晴らしい。なにがすばらしいといって、Sonの成立以前の混沌とした音楽のせめぎ合い、様々な音の掛け合い、融合、離散が聴かれるからである。María Teresa VeraとLorenzo Hierrezueloの二人の歌とギターだけなのだが、その斬新性たるや、なんと、二つの詞を同時に異なるメロディで歌い、それが最後に物語として帰結するという、掛け合いに於けるこのような語りや節回し、韻律や意味の言葉遊びをする文化というものは、もちろん世界中にあるのだが、生きた音楽の歌と演奏という形で、しかもたった二人という究極にシンプルな形で形になったものは、他に例がないのではないか。これはキューバに古くから伝わるTrovaという恋愛詩歌なので、特定の形式というものはなく、そのときどきでさまざまな音楽の演奏のされ方を取り入れてきたものと思われるが、とにかくそのメロディの自由さや、ディテールの遊び、言葉では書けないので、聴いてもらうしかない。上の編集盤であればまとめて聴けるものを、現在流通しているものはそれらがバラバラに収録されているので、ちょっと集中するのに根気が要るが、やる価値はある。ちなみに、このもととなった音源LPは1961年になってからMaría Teresa Veraが、Trovadorra時代の持ち歌を再録音したもので、これが彼女の遺作となったという。