20180426 催芽処理を終えて発根した種籾は、種まきのために一旦水を切る。これを「籾振り」という。稲の種まきは、苗代における稗との闘いの始まりである。稗は稲とほとんど同じ形状をしながら稲の間に入り込んで発芽し、稲の苗の生育を阻害する。かといって密に撒けば苗同士が混み合って互いに成長を阻害し合う。経験上、他の草に入り込まれず、また稲同士が干渉しない適切な株間は、だいたい1cm程度である。種籾を1cm角のグリッドに沿ってできるだけ正確に撒くためには、これが濡れていては不可能である。だから一旦乾かす。日陰で数時間程度で良い。
苗代はこのように代掻きしておく。冬季湛水しておいた苗代から一旦水を抜いて荒く掻き起こし、泥と練って表面を鍬の背で塗り上げていく。片方に貯水用の溝を切っておく。種まきの直前に溝の水をすくい取って代掻き面を均し、セルトレイを押し付けて型をつける。その穴に一粒ずつ種を落とし込んでゆき、手で押さえて圧着した後、溝から泥を救って薄く塗って覆土とする。この作業は必ず鳥が見ている。発根した種籾は彼らの嗅覚を直接刺激し、放置すれば翌朝には苗代は完膚なきまでに荒らされているので、必ず不織布で覆う。