田んぼのこと始め、畦塗りである。これが辛くて米作りを諦める根性無しがようけおるが、俺のように吹けば飛ぶようなモヤシグサでも一反ぐるりを一日で仕上げるのだから、普通の体力のある人にできないはずがない。県取りまでは説明した。で、寄せた土を時々踏んだり雨に当てたりして締めておくと畔がしっかりする。これを田んぼに水を張る直前に塗り固めるのである。寄せた土を幅の半分ほど削って水と混ぜて足でこね、素早く掬ってその上に乗せる。この「素早く」が大切で意外に難しい。濡らしすぎると泥水になって流れるので、粘度が出たらすぐ乗せる。こればかりは、やってもらわんとわからん。こうして出来た泥の壁の表面をあとで塗るのだが、畦の平坦性や直線性を確保するために、乗せる作業だけを先にやってしまった方が良い。全て綺麗に上げてしまってから、その表面を鋤簾の背で押し付けて、塗り壁のように仕上げていくのである。確かに、この押し当てる作業は辛い。でも慣れですよ、慣れ。綻んだり穴の空いてしまったところは、手で塗って仕上げる。全ては、慣れです。
2018年06月16日
20180616 養生シートのたたみ方
小麦というものは吸水が恐ろしく早いので、水濡れが禁物。収穫期に梅雨を迎える日本の気候は、根本的に小麦には向かない。しかもこの時期、小鳥の大好きな穀物はほとんどなく、鳥害を防ぐためにネットをかけても彼らの足場をわざわざ作ってやってるようなものだし、雨を避けるためにシートをかぶせても、彼らに屋根を提供してやってるようなものだ。しかし小麦を濡らすわけにはいかない。いつ雨がやってくるとも限らない。だからシートはすぐにかけられなければならない。シートをかけたところで湿気は免れない。いつ晴れてくるかもわからない。晴れると温度がすぐに上がって中が蒸れる。藁というものは、多くのカビを持っているものなので、これが活動を始めると始末が悪い。だからシートは迅速に外さなくてはならない。シートの着脱を素早くやるには、畳み方に工夫がいる。これは学生時代に音響屋のバイトをしていた頃習い覚えた畳み方だが、音響屋も屋外イベントでは常に雨に悩まされる。突然の雨で高価な機材一式をパーにしたやつを何人も知っている。死活問題だ。大抵このようなことは一人でやらなければならない。コツは、畳むにしても広げるにしても、自分が風上に立つことである。普通のたたみ方では、シートの両端を持って半分ずつ折っていくのだが、そうではなく、両端を中央に、そしてまたたたんだ折り目を中央に畳むのである。この畳み方でいけば、とにかく雨が来たら、守りたいものの一番てっぺんにシートを置く。で、長手から両側に広げれば良いのである。普通に端から半分ずつにたたんでいたのでは、シートの端を持って山を越えなければならず、雨にあたり風に煽られて、大抵はうまくいかない。風上からやれ。これは音響屋の師匠からのありがたいお言葉である。人生、何が役にたつかわからん。