2019年01月29日

20190129 味噌作りのあらまし

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味噌作りの工程の概略を示す。用意するものはいずれも乾燥状態で、大豆 : 米 : 塩 = 2:2:1である。写真では大豆1kg、米1kg、塩500gで作業したものを撮影している。先に米を一日水にひたし、一日以上水切りをする。米が手につかないほどまで、時々切り返しながら凍結にも注意して、水切りをする。

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これを蒸す。蒸し加減は少し硬いおこわ程度。

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蒸しあがったら常温まで冷まして、米糀のタネをまく。分量は麹菌の強さや種類によるので、購入元で確認のこと。

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麹菌の成長に従って適宜手入れをして養生する。麹菌の種類の関係で、私の米糀は緑色をしている。これを少しとっておいてさらに養生し、粉だらけになったら小袋に分けて密封して冷蔵しておけば来年の仕込みに使える。

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前日から一昼夜大豆を浸水する。品種によっては一日水に浸すと非常に大きくなるので要注意。大豆を蒸す。味噌摺りに使う道具はすべて煮沸消毒する。味噌摺器及びパーツ一式・木杓子・箸、バットは熱湯で、保存瓶は焼酎を回して伏せて消毒する。蒸し器は二段式でないと丹波黒大豆1kgは厳しい。

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蒸し加減は、指先で軽く潰れる程度。蒸し汁は「豆蔵」といって大変滋味があるので捨てずにとっておく。

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豆蔵が人肌に冷めたら、米糀に少しまわしかけておく。米糀は養生している間に水分が抜けてかなり硬くなるので、摺るためにこれを豆蔵で戻しておくのてある。蒸した大豆も必ず人肌にまで冷めたことを確認して材料を揃え、全体を混ぜる。

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これを味噌摺器にかけて磨りつぶす。内部に残った摺り残しは別にしてとっておく。

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保存瓶に隙間なく詰めて仕込み日を記入する。

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2019年01月26日

20190126 道路の左端にタイヤ痕

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 道路の左端にタイヤ痕、その左手の土手に何かを引きずったような跡・・・「ファイヤー」をやってるときに、廃品回収業者が通りかかった。隣家のおっさんが敷地内の全ての金属を持って行って良いという話をしたようで、ガラクタの山から洗いざらい金属製のものをトラックに積み込んだ後、業者の若者は畑の隅に転がっていた耕運機に目をつけた。それは風雨にさらされて錆び付き、とっくに動かなくなっていたものだが、どうしても運び出したい。しかしエンジンもかからなければ車輪も動かない。彼は済まなさそうな顔をしながら「ファイヤー」の番をしている私に手伝ってくれるように、拝むように頼み込んできた。たどたどしい日本語を話す、中国の貧しい村からやってきたというその若者は、明らかに焦っていた。おそらく、ボスからノルマでも課されていて、とにかく重くて大きいものを持って帰らないと痛い目に合わされそうな悲壮感であった。仕方なく、私は「ファイヤー」が鎮火するのを待って彼に手を貸した。見ると、ゴム引きですらない安物の軍手と、作業服上下に普通のスニーカーを履いている。帽子もヘルメットも、要するにこのような、錆びてけがをしやすい重量物を扱う際に身を守るべき何物をも、彼は持ち合わせていなかった。しかもやってることが力づくである。錆びたハンドルを、いくらウンウン担ぎ上げようとしても、肩で担いで動くものでないことは明らかであるのに、彼は一緒に担げという。私は思案してから、自分の車から足場板の切れっ端とジャッキを持ち出して、まずそれをあてがって本体を溝から脱出させた。その上で、隣から足場板を4枚借りてきて、それを畑から道路へ導くために車輪の幅に平行に敷いた。落ちていた鉄骨をテコがわりにして少しずつ本体を送り出して、その足場板の上に車輪を乗せてやった。そこまでしてやってから、後の段取りを身振り手振りで彼に説明してやり、最終的に土手からトラックで耕運機を引きずり上げた痕が、この写真というわけだ。

 彼は中国からの出稼ぎ労働者である。身なりや素振りから見て、ちょっとやばい橋をいくつも渡って現在があるようだ。しかも、今の状況も相当にやばい。当然、労働基準法どころか、基本的人権さえもない状態で日々を送っているのかも、いや、そんなものさえ知らないかもしれない。耕運機の状態や重さを見て、それを一人で肩に担ぐことなどできないということがわからない。担げないほどの重さのものを動かすにはどうすれば良いかという知識もない。それどころか、寒さ厳しく寒風強く、雪さえ混じる条件の中で、泥にまみれ、足を取られ、ずぶ濡れに近い状態でありながら、彼は作業服一枚だったのである。それでも耕運機をトラックに積もうと奮闘する姿を見て、私は手を貸しながら暴力というものの恐ろしさを痛感した。彼に温かい食事や寝床はないであろう。しかし、彼は私の差し出した、頑丈なゴム引き軍手や、古着の防寒具や長靴その他を受け取らなかった。その顔からは、受け取れない状況にある自分の苦境と、私に対する感謝の気持ちが、痛いほど読み取れた。彼が耕運機を積み込んだ頃にはほぼ日も暮れて、彼は濡れ鼠のような状態で走り去っていった。風邪など引かねば良いが、そんなことになったら、この異国で彼は命を落とすかもしれない。そうなったとしても誰も見向きもしない。おそらく彼は合法的に滞在してるわけではなさそうだから。私もバイトに遅れそうになり、急いで夕飯を掻き込みながら、まだ温かいものを食える自分は幸せだと思った。彼のような苦しい状態にある人たちは、おそらく世界にごまんといて、ウイグル自治区でも、パキスタンでも、ウズベキスタンでも、あるいはチベットでも、内モンゴルでも、北朝鮮でも・・・それこそごまんといて、彼らを搾取する勢力が着実に力を蓄えていくのであろう。ことの善し悪しは別として、それが世界の経済を動かし、やがて勢力争いはいずれかの勝者に軍配を上げるのだ。その壮絶な争いの最中で、言論や民主主義が、どれほどの実質的な力を持ちうるであろうか。私はそういう意味で、国を憂うるのである。

 バイトからの帰りしな、雪に滑りながら交差点を渡っていると、タイヤが空転する音が聞こえる。見ると暗闇の中で一台の車が中央分離帯に乗り上げて四輪を宙に浮かせている。にも関わらず運転者はアクセルを踏んで脱出を試みている。私はお節介とは思いながらも車に近づいて、それが無駄であることを身振りで示した。降りてきた運転者は中年の女性で、明らかな酒の匂いがした。話す言葉も日本人ではない人の話す日本語であった。しかも、自分がなぜそういう状況にあるのか、車が今どういう状態なのかを、全く把握していない、つまりパニック状態だった。ジャッキを積んでいるか、JAFを呼べるか、そういうセフティ・ネットとは縁がなさそうだ。おそらく保険にも入っていないだろう。そんな状態で酒を飲んで事故を起こしている。目撃した人が通報したのか、パトカーがやってきた。残念ながら万事休すである。私は事情を説明し、身の証を立てて帰途についた。もう遅くなっていた。激しい労働の一日が終わった。しかし家事が残っている。外は雪だ。明日の朝は積もっているだろう。外国人との共生を現実のものとして考える夜・・・

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20190126 天地返し

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 正月から「ファイヤーファイヤー」と言ってただ喜んでいたわけではない。昨シーズン私の田んぼでは紋枯病・赤枯病が多発し、従来からの稲熱病と複合してかなりの病変が見られた。幸いにして、収量や食味に影響するほどではなかったが、これらは病原菌が同じ圃場で越冬して、翌シーズンからも被害を及ぼすとのことなので、できるだけの対策を打つことにした。稲熱病は、種もみや苗代での感染が多く、私の田んぼでは苗稲熱がほとんどであり、これは稲の成長とともに彼ら自身が克服して行く様子である。しかしここ数年、高温多湿と強風にさらされることが多く、稲の高温障害や立ち枯れが散見されるようになり、昨シーズンはかなり大規模に紋彼病・赤枯病の病変が観察された。さらに不耕起栽培を続ける中で、表土に枯れ草を敷き詰めるやり方によって、かえって地中にランナーを伸ばす種類の植物に有利な条件を与えてしまった結果、とくに田芹の大規模な繁殖を見た。主にこの二つの問題を克服するために、圃場の表土を焼いて菌核を焼き殺し、さらに地下茎を寒気に当てることによって根を枯らすことを企図した。ファイヤーの後、程よく灰が落ち着いたので、表土20cm程度の表面積をなるべく大きくするために、ショベルで少しずつ土を反転した。写真に写っている部分の作業時間が約30分であったので、数日あれば一反全てを反転することができるであろう。病気への対策、雑草防除に薬剤を使わないとすれば、それに代わる何らかの処置が必要になる。安全な食事のためでもあるが、隣接する専業農家の圃場に伝染させてしまっては補償問題にも発展しかねない。オーガニックを唱えることは簡単だが、実践することは難しい。結果は来シーズン示されるであろう。

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20190526 Karly again !!

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 このように取るに足りない私が命がけでやっているバカなことがもう一つある。それが「カーリー・ショッケール」というバンドであって、これほどバカなこともおそらくないのではないかと思う。

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 というのは、このような音楽をやっているのは日本に二つしかなく、もう一つの方も最近またメンバーが集まって再結成したらしいのだが、そっちはまだ良い。

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 なぜなら、オリジナルに敬意を表してリンガラ語で作曲して歌っているのだから。これはコンゴ人にも、コンゴ音楽を愛する世界の人々にも通用し、実際に世界的に紹介されたこともある。

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 しかし「カーリー」は違う。自分たちの言葉は日本語だから日本語でしか歌えない。しかしこのジャンルの音楽はほとんど日本人にアピールしないのだ。

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 スタイルはコンゴのものを土台にしているが、それを聞いていた1980年代後半で時計が止まってしまっているので、今のコンゴ人でさえ呆れてものも言えないくらい古臭い歌い回しやダンスを、そろそろ老境にさしかかろうかというおっさん連中が青筋立てて合奏している。

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 確かにかつての彼の国の国民的大スターたちと共演した栄光の時代はあった。しかし日本で八代亜紀や北島三郎がいかに国民的大スターであっても、若者がそんなものを聞くだろうか ?? 側から見ててこれほど無様なものもない。

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 ミュージシャンを標榜しながら、誰も楽譜の読み書きすらできない。自分たちの曲は自分たちにしか通用しないルールに従って展開されるので、ほかへの応用が全く効かない。

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 ましてや芸術的価値なんて皆無だ。なぜこんなものを始めてしまったのか、さらに再結成なんてしてしまったのか・・・どうせなら、もうちょっと気の利いたジャンルの、もっと広い人脈の中で通用する、開かれた音楽に命をかけるべきではなかったか・・・

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 そう思って、「カーリー」が解散した後に、手持ち無沙汰のあまりブラジル音楽に接近したことがあった。

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 いまだから白状するが、あれは全くの下心からだった。なぜならブラジル音楽ファンにはキレーなねーちゃんがたくさんいたからだ。

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 しかし私はそんな世界でヤッてイケるような人間ではなくなっていたのだ。「カーリー」をやっていたおかげで・・・音楽の奈落の底と自分自身の生の事実を見てしまったからだ。

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 もうこうなってしまっては我が道を行くしかない。私が生きた証として、世の中にふたつとない「日本語によるリンガラバンド」を、命ある限り、無様であろうが、途中で野垂れ死にしようが・・・

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 あのパパ・ウェンバのようにステージでずっこけて死ねたらモォォォォッサイコーッ !! ・・・そんとき「やりきった」と笑って死ぬため、ただそれだけのために、俺はやるぜ。

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 こんなバカなことを命がけでやるなんて、ほんまに意味のないことですが・・・もうちょい待ってください。5/26 (日) ・・・おっとっと・・・まだ発表できませんですが、お待たせしました。フルバンドでたっぷりやりまっせ・・・日曜日なんで空けといてください。

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2019年01月24日

20190124 白菜キムチの本漬

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引き続きまして、白菜キムチの本漬け。想定分量は、白菜約4kg。白菜は三日前から15%の塩で水をあげておき、好みで数時間から1日程度流水で塩抜きをする。本漬け前にできるだけ絞る。大根と人参半分ずつの千切りとニラ一把のざく切りを用意して、前年仕込んだ薬念醤で揉んでしんなりさせる。これを白菜に塗りつけて重ねてゆき、隙間なく瓶詰めして貯蔵する。4ℓの瓶がほぼいっぱいになる。右は先週のもの。左が本日のもの。さらに水が出るので重石をして水分を抜く。蓋は軽くしておいて発酵時の膨張に備える。

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20190124 キムチ用薬念醤の仕込

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キムチ用薬念醤の仕込み。

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材料の大まか。薬念醤を約2kg作ることを想定している。1kgで、2kgくらいの大きな白菜2個の本漬けができる。手前の鍋に入っているものはもちがゆ。分量は糯米5勺に水1.5合。タッパーに入っているのは一ヶ月塩漬けにした真鰯。この半分約250gを使う。その左は漬け棒鱈。今年はコチュ不作で購入原料。粗唐辛子約150gと粉唐辛子約250gの必ず2種類用意する。アミエビ200g、松の実60g、にんにく・しょうが適量その他旨味材料。

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固形の大きなものから粉砕する。

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塩漬けイワシを漬け汁ごと、糯がゆで水分を補給しながらペースト状にする。

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漬け塩ごと混ぜる。

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粉唐辛子以外の材料を先に混ぜておく。

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粗唐辛子とアミエビで全体がしっとりするまで混ぜる。

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好みで風味調味料を入れる。ここでは柚子の皮と実山椒。ここからは手袋をして、粉唐辛子を徐々に投入しては練りこんでいく。

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初めは全体がばらける。練りこんでは粉唐辛子を追加することを繰り返して、全体が耳たぶのような硬さになるくらいまで、力を入れて練り上げる。

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このくらいの塊になる。

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計量と袋詰め。

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これを一年間熟成させる。なるべく空気を抜いて密封する。来年の冬の本漬けに使う。

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2019年01月23日

20190123 つくづく考えるに・・・

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 震災の記憶のどん底からどうにか這い上がってつくづく考えるに、災害や紛争や病気のために死の淵を彷徨っても、なおかつこのように生きていられるのは、たぶんやるべきことがまだ残っていると自分で思い込んでいるためだろう。そんな気力も失ってしまったら、私のような根無し草はとっとと枯れてしまうに違いない。

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 そういう取るに足りないこと、私にできることの一つに百姓という仕事があって、これは本当に金にならないので、仕方なく昼間はなるべくこれをやりながら、夜を中心に週40時間も労働しているわけだが、考えてみたら1日8時間労働を週5日やってるわけで、私は百姓で食っているのではなく労働で食っているわけである。

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 労働で食う分を、もし農業収入で賄おうとすれば、私の作る米が1kg一万円で売れなければならず、つまり1合すなわちどんぶり飯一杯が\1,500なにがしかの計算になるのであって、これに見合う牛丼を考えてみたら一杯\3,000ほどになるであろう。それも原価である。

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 これをもとに商売するとなると、安くても\5,000程度で右から左に売れなければならず、その価格が消費者物価の基準の一つとなるはずだ。ところが現実には、市販されている米は、だいたい1kg五百円、上の想定の1/20である。牛丼一杯が\250になるので、まあ日本の物価水準にほぼ合っていることになる。

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 私が人力で作っている米が、玄米換算でおしなべて年間150kg程度、つまり私の一年間の血と汗と涙の結晶すなわち年収は、いいとこ7万5千円ほどということになる。まあこれにエロエロ工夫をしてもうちょい上乗せをしても所詮やれることは知れている。

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 そんなことに体力と精神力のほとんどを使い果たした上で、週休二日とはいえフルタイムで毎日8時間の労働に勤しまなければ生活が成り立たぬ。これが現実である。さらにそんなバカなことを逐一Facebookなどに投稿して恥の上塗りをする。なんということだろう。

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 しかし・・・とバカな私は考える。こうして毎年毎日日々を記録してみなさんに笑われているとはいえ、いずれ日本や世界の経済が破綻して自給生活を基礎に置かざるを得なくなったとき、米の作り方ひとつわからんようでは飢え死にしてしまう。

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 そう考えた人の中から、ごくわずかでも私の毎日の投稿から、それがいかに苦しくともかけがえのないものなのかを想像していただくことができれば、それは世のため人のためになっているのではないだろうか・・・現在の日本人の大半は米の作り方ひとつ知らぬ。しかし米は日本人の主食であるという。こんなバカな話があって良いわけがない。

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 私の投稿を毎日読んでいれば、少なくとも米作りや百姓仕事の一つ一つを追体験できる。全くわからないのではなく、ちょっとだけでもわかってくる。今できなくても、どうしてもやらなければならなくなったとき、他の人よりは具体的にわかるようになっているはずだ。この違いは計り知れなく大きな潜在的価値を持っている。

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 もしそうだとすれば、私のこのバカな投稿の連続も、そう遠くない将来の人類の役に立つのではないか。それが、とっくに死んでいても不思議でないのに生き延びてしまった私に与えられた「やるべきこと」なのかも知れないと思いつつ、米糀の蓋を開けたり閉めたりしながら気を揉んで寝付けない夜を過ごすのである。まあ、まだ精神が元に戻っていないようでありますな・・・

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2019年01月20日

2019年01月19日

20190119 蘭州牛肉麺「一天一面」

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三宮に昨年末にオープンした蘭州ラーメン店「一天一面」へ行ってきた。なんと、日本橋にあった「大秦」の師匠が麺を打ってた。もうこの面を食えんかと嘆いてたんやが、涙が出るほど最高に美味かった。あのね、いままで日本のラーメンは中国のものを模倣したものと思ってたが、根本的に違うね。味とか食感とか小麦を麺にする美学とか、敬意の払い方が全く違う。日本のラーメンはあくまでB級イロモノ似非グルメに過ぎん。やっぱり本場は違う。生きるための糧や。一杯のラーメンに込められたエネルギーが全然違う。ずっとやみつきや。試行錯誤を繰り返しながら、麺はまだまだやが、スープはちょっとだけ近づけたかな・・・

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20190119 ファイヤーァァァァァっ!!!

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ファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーファイヤーオラオラオラオラオラオラオラオラGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGoGo !!

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2019年01月17日

20190117 Jeanne Lee/ Ran Blake

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Jeanne Lee/ Ran Blake: The Newest Sound Around; Limited Edition (CD, Solar Records, 4569913, 2012, EU)


1Laura5:10

2Blue Monk4:45

3Church On Russell Street3:11

4Where Flamingos Fly4:15

5Season In The Sun2:29

6Summertime4:31

7Lover Man5:12

8Evil Blues3:05

9Sometimes I Feel Like A Motherless Child2:42

10When Sunny Gets Blue4:52

11Love Isn't Everything1:18

12Vanguard3:13

13Left Alone2:51

14He's Got The Whole World In His Hands2:06

15Straight Ahead3:11

16Sermonette [Live]3:25

17Round About [Live]2:25

18Where Will You Be? [Live]1:33

19The Outcast [Live]3:11

20One Mint Julep [Live]2:01

21Lonely Woman [Live]4:22


 2015年6月11日にOrnette Coleman氏が亡くなったのをきっかけに書きはじめた所蔵Jazz音源レビュ、Jazzの音源は所蔵する全てのうちのほんの一部なのに4年近くかかってしまった。毎日一枚とは行かずとも、何日かに一枚ずつは聞いていたのに、終わったのはつい先日だ。これでは全ての音源を聴き終わるまで生きていられるかどうか、いや考えようによっては、死ぬまで音源に不自由しないということだが、しかし日々未経験の音楽にも触れているので、ちょっとは増えることもあるだろうし・・・

 最初に書いたものがOrnette Colemanの ≫The Shape of Jazz to come ≫だった。このアルバムの眼目は、なんといってもとっぱしの ≫Lonely Woman ≫であって、もはやこの一曲でOrnette Coleman氏の仕事は完成されたとさえ言える。私にとっても、Jazzはつまるところこの一曲に尽きる。それほど究極的な名曲である。名曲にはカバーがつきものだが、歌が付いたと知ったのは後のことだ。Archie Sheppの非常に実験的なアルバム ≫Blaze ≫で囁くような、叫ぶような、泣くようなポエトリー・リーディングを聞かせてくれていたJeanne Leeと、エキセントリックでミニマムな音をセレクトするピアニストのRan Blakeのデュオ、この一連の録音の中に ≫Lonely Woman ≫を見つけた。数あるカバー・バージョンの中でも抜群の音空間、原曲とは全く異なる、原曲が完全に解体されて、ごくわずかな骨格と、それにこびりついた肉片だけのようになった、まさにアヴァン・ギャルドな小片、しかもライブ録音である。こんな解釈はこれ一つしかなく、このCDでしか聞かれない。

 ≪ The Newest Sound Around ≫原盤は1962年、RCAから発売されている。そのLPは11曲入りで、のちにCD化されるにあたって未発表の4曲が加えられた。さらにSolar Recordsが2012年に再発した時にライブ音源5曲が加えられた。そのなかにこのライブ音源が含まれている。しかし、その後、RCAや他のレーベルからリリースされたCDにこれら5曲は含まれていない。 ≫Lonely Woman ≫が収録されているのはSolar Records盤だけであり、他のバージョンと同じジャケットなので注意される必要がある。

 さて、まだまだ書き足りないアルバムもあるが、次はR&BとSoulいってみましょか・・・あんまり持ってないからこれはすぐ済むけどね・・・

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20190117 Thandi Ntuli: Exiled

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Thandi Ntuli: Exiled (2CDs, impartment, IPM-8095, 2018, JP)


The Void (Intro)

Exiled

Freefall

Abyssinia (Intro)

Abyssinia (feat. Tlale Makhene)

What's Left?

Umthandazo Womzali

The Void (feat. Lebo Mashile)


It's Complicated, Pt. 1 (feat. Vuyo Sotashe)

It's Complicated, Pt. 2

Rainbow (Skit)

New Way

13

Cosmic Light (Benji's Meditation) (feat. Benjamin Jephta)

Cosmic Light


 南アフリカのシンガー・ソングライターにしてピアニストThandi Ntuliの2作目である。たまたま夢うつつの中でラジオの音に呼び覚まされたのである。一応ジャズとして括られていたが、極めてソウルフルでグルーヴ感もあって、演奏の緻密さも、アレンジも、細かい音の作り込みも素晴らしく、スケールもでかい。歌物とインストゥルメンタルが混在していて、どれも内容が非常に濃い。しかも2枚組、全く飽きさせない。調べてみると、期待の注目株らしくて、全くうなづける。とにかく聞いていて心が研ぎ澄まされるし、それだけでない複雑さと深み、混沌としたアフリカらしい黒さがたまらず、しかもイギリスのカンタベリーあたりの繊細でメランコリックなジャズ・ロック風の楽章が挟まっていたりと、多様多彩でノン・ジャンルでたまらん大傑作。全くすごい。

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20190117 J Coltrane: Expression

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John Coltrane: Expression (CD, impulse!, impulse! GRD-131, 1993, US)


1Ogunde3:36

2To Be16:20

3Offering8:25

4Expression10:50

5Number One11:55


Tenor Saxophone – John Coltrane

Flute, Piccolo Flute – Pharoah Sanders

Piano – Alice Coltrane

Double Bass – Jimmy Garrison

Drums – Rashied Ali


 もう一枚は、事実上の彼の最終録音であり、Alice Coltraneとまともに作品として残された唯一の録音であり、McCoy Tyner・Elvin Jonesというヘビー・デューティーなリズム・セクション (!?) が抜けた、軽やかな境地に達したことを思わせる非常に素晴らしい演奏である。Rashied Aliのドラムも非常に良い。それまでのJohn Coltraneのいかなるサウンドとも異なる自由さが感じられる。Alice Coltraneのもピアノも補助的でありながら、あの独特の彼女の歌い回しが随所に聞かれ、それがサックスと絡み合って舞う有様は、ただ感涙。おそらくは死期を悟ってのことであろう、なにをおいても作品としてこの世界を残そうという全員の確固たる意志、焦りも感じられ生き急いでいる様子、そこに鬼気迫るものがあって、音楽の真実を感じる。ジャケット表示に「September 23, 1926 - July 17, 1967」とあるが、実際の録音は1967年に行われている。John Coltraneを一枚だけ残せと言われれば、これを選ぶであろう。

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20190117 J Coltrane: Ascension

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John Coltrane: Ascension (CD, Impulse!, Impulse! 314 543 413-2, 2000, USA)


Ascension (Edition II) 40’23

Ascension (Edition I) 38’31


Tenor Saxophone – Archie Shepp, John Coltrane, Pharoah SandersAlto Saxophone – John Tchicai, Marion Brown

Trumpet – Dewey Johnson, Freddie Hubbard

Piano – McCoy Tyner

Bass – Art Davis, Jimmy Garrison

Drums – Elvin Jones


Recorded June 28, 1965.


 やっぱりJohn Coltraneについては書いときましょか。あまりにも偉大なアーティストであり評価も定まっているので、あえて私ごときがものを申し上げることさえおこがましいし、いくらでも論評されているので、そこに拙い文言を並べてみても全く意味のないことは重々承知の上、しかしながらジャズのアルバムは、一人のアーティストあるいはユニットごとの作品数が桁違いに多すぎて、現実的にそれらを追うことなど経済的に無理だ。インターネットで試聴できるようになる以前は、アルバムを購入するか借りるかしか手がなかったわけで、これらに初めて触れて感動すべき年代には、とても小遣いが足りなさすぎて関心を封印してしまわざるを得なかった。だから疎遠になる。遠い存在なので、手っ取り早く近づいてわかった気になろうとする。そこへ物事を断言する専門家が現れて、その評価をもとにアーティストを評価してしまう。タダで聞けるのはラジオくらいのもので、リアル・タイムに聞けた時代の日本には、ジャズを紹介する番組は一つか二つしかなかったし、評論家も数名程度だった。そして彼らの論評は、今から読み返すと極めて偏っていて、そもそもこのような混沌としたジャズが話題に上ることはほとんどなかった。その「偏り」が、日本のジャズ・リスナーなりプレイヤーの中に、今も厳然としてあって、それが日本のジャズをつまらなくしていると私は思う。極言すれば、異様に混沌としていることこそが、ジャズの真骨頂であると私は思う。

 さて、正直いうてJohn Coltrane、重厚で複雑で深遠なのはよくわかる。もちろんアルバムの一部しか持っていないし聞いてもいない。でも、持ってる作品の多くは、やっぱりある程度「食っていく」ための手段としての演奏が録音されたものと思わざるを得ない。食っていくためには茶番を演じるしかない。事実、かなり多くの音でそういう傾向がみられる。ファンはそれを大目に見る。そして飼いならされてアルバムを買い、経済を潤す。そんなことに付き合っていられなかった私は関心を封印し、ほかの世界を探索する。で、John Coltraneについて、よく聞いたし記録にとどめたいと思うものの一つはこのセッションである。まあ正直いってOrnette Colemanの ≫Free Jazz ≫の二番煎じ、と行って語弊があれば、それに触発されて同じコンセプトでやったという感じが否めないのだが、 ≫Free Jazz ≫から4年も経っていて、そのダブル・カルテット以上の何かを提示し得たかというとそうでもない。しかし、これこそMcCoy Tyner・Jimmy Garrison・Elvin Jonesという黄金メンバーによる骨組みの上に構築されたJohn Coltrane唯一のフリー・ジャズであることだけは記録にとどめておきたいと思う。 ≫Ascension ≫は同じテーマによる二つのセッションがそれぞれ別のLPレコードとして発売され、ステレオにリマスターされた後も別々にCD化された。それをカップリングしたものがこのCDであり、付録の資料や紙ジャケットともに、所有物として美しい。もとの愛聴盤は、阪神淡路大震災のときの瓦礫とともに甲子園浜の埋立地に消えてしまった。これは後で買い直したものである。

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20190117 Dollar Brand Quartet

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Dollar Brand Quartet: Africa- Tears and Laughter (LP, Enja Records, enja 3039, 1979, West Germany)


A1Tsakve1:27

A2The Perfumed Forest Wet With Rain3:56

A3Ishmael13:46

B1Did You Hear That Sound?9:10

B2Liberation Dance4:32

B3Imam6:06

B4Tsakve1:03


Vocals, Piano, Saxophone – Dollar Brand

Saxophone, Vocals – Talib Qadr

Bass - Greg Brown

Drums – John Betsch


Composed By – Abdullah Ibrahim

Recorded At – Tonstudio Zuckerfabrik, March 11, 1979


 南アフリカ出身のピアニストである。のちにイスラムに入信してAbudullar Ibrahimと名乗り、その名義で活動を続けている。法名が示す通りストレートな性格と思われ、作品もその傾向が強い。代表作とされているものが複数あるが、あまりにも西洋人が想像したアフリカをステレオ・タイプ化したもので私は好きになれない。なぜなら、ジャズは複雑で不可解であればあるほど良いとさえ思われるからである。そんなわけであまり彼の作品を持っていないのだが、このアルバムのB1 ≪ Did You Hear That Sound? ≫だけは、私にとって全ジャズ史上屈指のお気に入りで、ストレートでクリアでありながら、極めて複層的な音色に満ちている。アメリカ黒人にないセンスであって、この曲からアフリカへの興味が加速していった記憶がある。ドラミングにおけるシンバル・ワークの多彩さに開眼したのもこの演奏からだと思う。おそらく巷の評価は高くないだろうが、若き日の私にとっては結構転換点になった一曲を含むアルバム。

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20190117 Billy Harper: Black Saint

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Billy Harper: Black Saint (LP, Black Saint, ‎BSR 0001, 1975, Italy)


Dance, Eternal Spirits, Dance!

Croquet Ballet

Call Of The Wild And Peaceful Heart


Tenor Saxophone, Cowbell – Billy Harper

Trumpet – Virgil Jones

Piano – Joe Bonner

Bass – David Friesen

Drums – Malcolm Pinson


 コルトレーンを引き継ぐとして注目された人だが、コルトレーンとは根本的に違う。おそらく人間が素朴なのであろう。演奏も極めて素朴である。情熱的で複雑なフレーズを奏でるが、多くの場合、曲は8乃至16小節区切りで循環するコード展開で枠組みされていて、それが良くも悪しくも即興演奏を支える結果となっている。そのコード展開は情緒的であり、日本人の琴線に触れ、哀愁に満ちていて、ある程度退廃的であり、美しく、印象に残る。彼はおそらく感動家であり情熱家なのであろう、そして律儀で真面目だ。この次作で、彼は日本の民謡「ソーラン節」をとりあげる。いかにも、アメリカ黒人が、オリエンタル情緒に憧れて日本の民謡にはまってしまい、それをテーマに即興してしまった感まんまんの熱い演奏を披露する。しかし譜割が日本人から見て明らかに不自然、せっかくオリジナルのアルバム・タイトルが ≫Soran-Bushi B.H. ≫なのに、日本盤のタイトルが別の曲名に差し替えられている。まあそのくらい日本人にとっては失笑を禁じ得ない仕上がりなのだが、そんなことを気にする風もない。さらに別の曲ではせっかく周りがアレンジしたエンディングを自ら吹っ飛ばして脱線する体たらく・・・これではコルトレーンを引き継ぐとは言えないが、そんなことさえどうでもよくて、その情熱家、感動家、素朴さゆえのお茶目さまでが可愛らしく、発売された頃の、ジャズについて何も知らなかった私にとっては、まったく親しみを覚えるアーティストであった。初っ端の意表をつくフレーズに驚かされるが、それを倍加するようなはちゃめちゃな展開にはならず、真面目なコード展開の中に渋く収まった演奏は、この渋いジャケット写真によく現れている。思わず苦笑する、忘れて欲しくないアーティストである。

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20190117 Sun Ra: Nothing Is...

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Sun Ra: Nothing Is... (LP, ESP Disk, 1045, 1966, US)


Dancing Shadows

Imagination

Exotic Forest


Sun Ra And His Band From Outer Space

Shadow World

Theme Of The Stargazers

Outer Spaceways Incorporated

Next Stop Mars


 Sun Ra・・・音楽を演奏してるのか儀式をやってるのかわからない、コンサートをやってるのか大ミサをあげてるのかわからない、膨大なレコーディングをもちろんほとんど持ち合わせていないのであてにしないで欲しいのだが、持ってる中から一枚を選ぶとすればこれだ。曲名を追えば、それだけでこの音楽がどこを目指しているのかよくわかる。音楽と宗教がないまぜになった・・・というか、彼の宇宙観、死生観、哲学の現出が、あるいは宗教的に見えたり音楽的に聞こえたりするものを、録音してビニル盤に刻んだものがこれだと思えば良い。一応、世を偲ぶ仮の姿としてジャズのリストの下には入っているけれども、数多くのアルバムの中では、突然演奏をやめて瞑想に耽ってしまったり、イントロで派手なテーマをぶち上げたと思ったら、そのままの勢いで、延々と彼のキーボード・ソロがとどまるところなく展開されてしまったり、同じフレーズをひたすら反復する演奏とは無関係に、ただただ意味のわからない説教を聞かされたり・・・飽きないといえば飽きないのだが、そひのぶん当たり外れの大きい諸作品の中で、これは極めてジャズに集中して作り込まれた良い演奏が聞かれる一枚である。プログレッシヴ・ロックとフリー・ジャズとブラック・アニミズム・・・地味なジャケットだが、絶妙の取り合わせが結晶した隠れた名盤といえる。


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20190117 AEC: Double Actuel 204

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Art Ensemble of Chicago: Great Black Music" - A Jackson In Your House/ Message To Our Folks (2LPs, BYG Records/ Double Actuel 204  ,‎529.204, 1971, FR)


A Jackson In Your House

A Jackson In Your House (R. Mitchell) 5:50

Get In Line (R. Mitchell) 4:45

The Waltz (R. Mitchell) 1:15

Ericka/ Song For Charles (J. Jarman/ R. Mitchell) 21:30


Message To Our Folks

Old Time Religion (Traditional) 7:30

Dexterity (Charlie Parker) 4:00

Rock Out (R. Mitchell) 7:30

A Brain For The Seine (J. Jarman, L. Bowie, M. Favors, R. Mitchell) 22:00


Trumpet, Flugelhorn, Bass Drum, Horns – Lester Bowie

Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Bass Saxophone, Clarinet, Flute, Cymbal, Gong, Congas, Drums [Logs], Bells, Siren, Whistle, Steel Drums – Roscoe Mitchell

Alto Saxophone, Soprano Saxophone, Clarinet, Oboe, Flute, Marimba, Vibraphone, Congas, Bells, Whistle, Gong, Siren, Guitar – Joseph Jarman

Bass, Bass [Fender], Banjo, Drums [Log], Sitar [Cythar], Percussion – Malachi Favors


Recorded June 23, 1969 (Sides A, B) and 12 August 1969 (Sides C, D) in Paris, France.


 Art Ensemble of Chicago・・・ジャズ、フリージャズというより、黒人がジャズやR & Bをベースにプログレッシヴ・ロック的なフリー・ミュージックや実験音楽をやった成功例だと思う。この2枚組LPは、彼らがフランスのBYGに残した最初の2枚のアルバムをカップリングして再発したものであり、 ≫People in Sorrow ≫というデビュー・アルバムに続いての作品である。前作も非常に良いが、こちらの方が、このような実験的な音楽を許容するフランスの自由な空気を体現していて尚よい。内容は先述したようにほぼ無調整音楽だが、その端々にアメリカ黒人的なフレーズや語法がまとわり付く。理知的技巧的に走りがちな演奏に、肉体的なリアリティが重なってぐっと深みを増す。その肉厚感がたまらない魅力であり、このような成功例は他に見ない。フランスという土壌があってこそ実現した、静と動のミス・マッチが一つの音像の中に溶け込む。それはそのまま、この後に発表されるBrigitte Fontaineとの共演盤 ≫Comme a la Radio ≫に引き継がれていくのである。しかし誠に残念ながら、エキセントリックなバンドにありがちなことに、生き永らえるために外部に刺激を求め、その後の彼らの作品はどんどん陳腐化していくのである。

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20190117 Albert Ayler

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Albert Ayler Trio: Spiritual Unity (LP, ESP-DISK, ESP-1002, 1965, US)


Ghosts: First Variation

The Wizard


Spirits

Ghosts: Second Variation


Albert Ayler: Saxophone

Gary Peacock: Bass

Sunny Murray: Drums, Percussions

Recorded in New York City on July 10, 1964.


 ずいぶん悩みましたがAlbert Ayler (1936-1970) といえば ≫Ghosts ≫、同名をタイトルにしたアルバムもあるが、そちらはクァルテットでソロ回しがあり、出番を待っているスキがある。立ち返るべき彼の演奏は、このアルバムに収められた ≫Ghosts ≫であろう。こちらはソロイスト一人なのでぶっちぎりの集中力で最後まで飛ばしてくれる。モノラル録音であることも今となっては効果絶大。音像のど真ん中から全ての音が固まったままほとばしり出てくる。フリージャズの最重要人物には違いない。しかし私は彼を、0rnette Colemanと同様に、むしろオーソドックスなジャズの・・・といって不適当なら、アメリカ黒人の持つスピリチュアルなメロディ典型の、自由奔放なヴァリエイションの体現者と感じるのである。Ornette Colemanのそれが、深く黒人霊歌に依拠していてるのと同じように、彼の場合、それは軍楽隊が常に持つクルーヴの一種であり、ファンファーレであり起床ラッパであり、その陰から立ち上る隠された「なにか」であるように思われる。マーチング・バンドの持つジャズの基礎としての賑わい、そこから撹乱されて広がるイメージ、それらが錯綜して感情を圧倒する夢幻性・・・意識の中に深々と入り込む静寂・・・そんなものが、目の前にどかっと置かれるのである。彼の活動的絶頂期は非常に短く、1964年から1966年の三年間といって良い。数多くのセッションものが出ているが、彼の場合、「このフレーズはこう吹くしかない」というところまで研ぎ澄まされており、その熱量が他を圧倒し過ぎていて、それに集中したければ他にソロイストのいないトリオ編成、なかでもこのアルバムに尽きる。吹き出されるメロディ・・・といって良いかわからないが、とにかくその音は哀切を通り越して繊細を沈め尽くして却って攻撃的である。あまりにも刹那的で命知らずな疾走そのままに、彼は僅か34歳でこの世を去ってしまった。

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20190117 JCOA 1001/2, 1968, US

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The Jazz Composer's Orchestra (2LPs in Box, JCOA Records ‎– LP 1001/2, 1968, US)

A1

Communications # 8

Soloist – Don Cherry, Gato Barbieri

13:52

A2

Communications # 9

Soloist – Larry Coryell

8:08

B1

Communications # 10

Soloist – Roswell Rudd, Steve Swallow

13:26

B2

Preview

Soloist – Pharoah Sanders

3:23

C

Communications # 11 Part 1

Soloist – Cecil Taylor

15:10

D

Communications # 11 Part 2

Soloist – Cecil Taylor

17:47


Conductor – Michael Mantler

Piano – Carla Bley, Cecil Taylor

Cornet – Don Cherry

Saxophone [Tenor] – Gato Barbieri, Pharoah Sanders

Saxophone – Charles Davis, Frank Wess, Jimmy Lyons, Lew Tabackin, Steve Lacy

Guitar – Larry Coryell

Trombone – Roswell Rudd

Brass – Howard Johnson, Jimmy Knepper, Julius Watkins, Randy Brecker, Bob Northern

Bass – Charlie Haden, Eddie Gomez, Reggie Workman, Ron Carter, Steve Swallow

Drums – Andrew Cyrille, Beaver Harris


Recorded January, May, June 1968, New York.


 私の所有する正真正銘のフリー・ジャズのなかで最高傑作と言い切れる。情熱・複雑さ・音圧・集中度・緊張感・緻密さ・繊細さ・乱暴さ・・・言葉に言い尽くせない。全てにおいて最高。 ≫Communications ≫と題された曲全てがまさに音によるコミュニケいションの実験であり、各サイドにソロイストが決められており、それを中心に音楽が展開される。なかでも2枚目両面を費やしたCecil Taylorの演奏は凶暴さを超えて美の霧氷が降ってくるようにさえ思われる。フリー・ジャズここに極まる。


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2019年01月16日

20190116 古楽の楽しみ

 私は毎朝NHK-FMの「古楽の楽しみ」という番組で目覚める。この番組、昔は「バロックの森」といったのだが、「古楽」という言葉が普及するに及んで名前が変わった。変わった当初は、バロック以前の、中世からルネサンス期の「古楽」もよくかかったのだが、最近ではほとんどがバロック音楽、時には古典派までかかる。昔のいわゆる ≫Early Music ≫の好きな私にとっては、「目覚める」とは言っても「ああ、スイッチが入ったな」と認識するくらいで、すぐ眠ってしまってほとんど聞いていない。しかし私の耳は別の生き物で、よく番組の興味深いフレーズを聞き分けて私を叩き起こす。今朝は「シャコンヌ、あるいはチャッコーナは、ペルーの卑猥な踊りの音楽に起源を持つ」という衝撃的なフレーズに叩き起こされた。そしとてどこよりも早くイタリアで爆発的に流行したという「チャッコーナ」の復元された演奏に完全に覚醒した。ペルーといえば古くから伝わる三拍子のダンス・ミュージック「ヴァルス」が有名である。「チャッコーナ」も、コード展開は全く異なるが、三拍子の部局である。しかも、古いものほどリズミカルであり、ワルツというより6/8拍子の裏表の反転するバチーダを持っている。もちろん番組では南米のオリジナルにアプローチすることなく、18世紀のフランスの優雅な舞曲へのイントロとして「チャッコーナ」を紹介しただけなのだが、そのころには私の頭は番組を離れてペルーの古楽へと想像が掻き立てられて行った。そして一日中、3/4と6/8の交錯するリズムが頭の中を駆け回り、やがていくつかの音源に行き当たることになった。ValseとChacconaの関係・・・またひとつ魔の研究テーマが増えてしまった・・・




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2019年01月13日

20190113 コンゴから

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 食品加工の方は年をまたいでたゆみなく続けられる。・・・

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と、そこへ、年末年始をコンゴ (Brazzaville側) でお過ごしになった友人から嬉しいお土産が・・・なんとコンゴ特産のピリピリとコンゴのコーヒー。ピリピリは早速ペーストに、コーヒーは案の定浅煎りのアラビカ種の極細引き、現地ではカレースプーン一杯くらいの粉を1ℓくらいの湯に放り込んで煮立て、できた麦茶ほどの薄い色水にサトウキビから作られた粗糖をどっさり放り込んでダダ甘くしたやつを、ぬるま湯くらいに冷ましてから飲む。美味くももなんともないのだが、滞在中こればかり飲まされるもんで、なんとなくこの独特の中途半端な色と香りに懐かしさを覚える。しかしまあ最初じゃけん手持ちのマキネッタでカフェ・モカにしてみるも、さすがに切れ味はなく、アラビア風に煮出してみると、まあどっしりと重いトルコ・コーヒーのような味わいになった。うんうん、これはこれでええ。ネル・ドリップに通すと一発で目詰まりするやろな・・・

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2019年01月10日

20190110 年末年始は平常運転

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 食品流通業に携わっておると、ただでさえ大型連休やクリスマス盆正月に縁のない生活を送ることになるのだが、特にクリスマスから松の内までは、巷の人々が血相変えて漁りまくる食品、すなわちフライドチキンやターキー、エビ天やおせち材料を触りまくるので、揚げ油やら海老醤やら椎茸昆布醤油の入り混じった匂いが身体中にまとわりついて、もうやれんよ、要らん。クリスマスや正月は全くの平常運転であって、さすがに氷点下60℃の冷凍倉庫でリフト乗りまわすことはなくなったが、全然それらしいことをする気になれんのは宿病か。年賀状も書かなくなって久しいし、そもそも自給生活では得意先というものもないので、送ってくる人もほとんどなくなって結構なこっちゃ。というわけで年越しカップラーメン食った翌朝は、早速タラとエビのココナッツカレーとインディカご飯、家主さんに家賃を払うとついてくるお餅が一年分溜まってそれを戻して食うくらいが正月らしいか、後はひたすら冷蔵庫や自分で加工した保存食の消費に勤しんで、ほぼ松の内は買い物せずに自給生活のスタート !!・・・まあ非国民ですな・・・反日でも在日でも結構やけん好きなように言うてくれ俺は地球人。

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