ここへ引っ越して来たときに譲り受けて10年来田畑でこき使って来た自転車を塗りなおすことにした。
土のついた長靴で乗り降りするので塗装が剥がれまくって流石にみっともなくなって来たので、塗装などという、私にとって最も苦手なことをやってみることにした。
どうせまた長靴で乗り降りして傷だらけになるので、市販されている一般的な塗色で補修できるように、安い剥離剤と安い錆止めと安い塗料を買って来て、さてやったみると、意外にうまくいった。
もちろんプロの目からしたら卒倒しそうなできだろうが、自分の用が間に合っていれば良いのである。
剥離剤の強烈なケミカルから身を守るために完全防備してフードをかぶり、塗料を剥がして地金を出して表面を整えるのに1日、錆止めを重ね塗りしてその表面を整えるのにまた1日、薄く、満遍なくという、最も向いてない仕事を慎重に進めながら本塗り、重ね塗りの乾きを待つ間に、駆動部分すべてオーバー・ホール。といっても自転車だからひと缶で収まる。
タイヤとチューブとブレーキ以外は部品交換せず、チェーンも再利用なので、このように灯油に浸して歯ブラシで磨いて汚れを落とし、よく拭いてからグリス・アップして組み付ける。
来たときはボロボロのママチャリだったのだが、手持ちのパーツを合わせて、ミキスト・フレームにセミドロという独特の雰囲気に仕上がった・・・
まあね、こんなことに4日も費やすくらいだったら、働いて4日分のギャラでまともな自転車買った方が正しいのですよ、そんなことはわかってる。
どうせもともと1万円もしないようなちゃちい自転車なんだからとっとと買い替えれば良い。
しかしね、世の中つまらん自転車ばかりでしょ私の手が出せるようなものは、そんなもんに乗れますか ?? 私がカリーナちゃんを捨ててプロボックスに乗れますか ?? そんな私なんて面白くもなんともないでしょう ?? 33年も前の車を大事そうに乗ってるからこそ面白いのであって、私が人並みのことをしはじめたら、Facebookの読者の皆様に申し訳が立たなんじゃないか。
重々わかっててこんなバカなことを一生懸命やるから皆おもしろく読むのであって、その結果このような異彩を放つ自転車がまた一台この世に生まれたわけだし、これを読む人は、そう遠くない将来、化石燃料が枯渇して人力で何もかも動かさなければならなくなった暁に、いかにして自転車を長持ちさせるかという切羽詰った課題に対処する心構えを、楽しく養成できるというものである。けっこうなこっちゃ。