何年か前からシリアのウード奏者Waed BouhassounのCDを探していたのだが、どうしても見当たらなかったものが、なんとパリの出版元に在庫があるとわかり、サイトからアクセスしてアカウントとって口座を作って・・・と、そのCDを買うためだけに何日か格闘したのだが、どうしても認証されない。Facebookや直メールでスタッフともやりとりしたのだが、口座の開設ができない。そこで、パリ在住の友達に頼み込んで買ってもらって、たまたまパリに遊びに行っていた別の友達にリレーしてもらって、その人の帰国後に送ってもらったのが先日到着した。なんとスタッフから楽しいお土産までついてきて、こんなトラブルがなかったら叶わなかった心の触れ合いがあった。出版元とは、Institut du Monde Arabe・・・コレクションには貴重なアラブ音楽が膨大にあって、多分ほとんど在庫があるので順番に調べて買っていきたい。後日、スタッフにお礼のメールを送ると、私の本気度が伝わったのか、手作業で架空の口座を新設した上で、私のIDを発行してくれた。これで次からは滞りなく注文できる。このように世界が気持ちで繋がれば良いと思う。特に、情勢の不安定なシリアは、アラブ世界の中でも音楽の宝庫である。美しい音楽が幸せな国民によって守られていくことを祈ってやまない。
2019年03月28日
2019年03月27日
20190327 farminhos
第二弾いきましょか・・・瓶が変わりますので、微妙に味わいや風味が変わります。
三年醤油「火香」 (丹波黒大豆・麦麹・塩) \800/ 180ml
2016.03.25仕込・2019.03.20抽出・要冷蔵・熱処理済・4本限定・中蓋がありませんのでご使用時くれぐれもご注意ください。
(同じ瓶の自然落下「清生」は完売しました。ありがとうございました。)
三年醤油「清生」 (丹波黒大豆・麦麹・塩) \800/ 180ml
2016.04.02仕込・2019.03.26抽出・要冷蔵・非熱処理・4本限定・中蓋がありませんのでご使用時くれぐれもご注意ください。
三年醤油「火香」 (丹波黒大豆・麦麹・塩) \800/ 180ml
2016.04.02仕込・2019.03.26抽出・要冷蔵・熱処理済・3本限定・中蓋がありませんのでご使用時くれぐれもご注意ください。
醪 (丹波黒大豆・麦麹・塩) \500/ 250g
2016.03.25仕込・2019.03.20抽出・要冷蔵・5袋限定
(最初の瓶の醤油を絞った後の醪です。辛味づけ全般、コク出し、風味出しに重宝します。)
三年味噌 (丹波黒大豆・米糀・塩) \500/ 250g
2016.03.02仕込・要冷蔵・限定10袋
(続行です。途中で瓶が変わり、03.31仕込み分となります。とりあえず10パックいけます。)
三年味噌 (ソラマメ・米糀・塩) \500/ 250g
生産者: 伊丹正典 2016.03.20仕込・要冷蔵・限定3袋
(ソラマメを原料とした味噌です。大豆より甘みがあります。リアル中華の豆板醤を作りたいと思っているので出し惜しみ3袋のみ限定です。豆板醤の作り方をお教えいただいた方には1袋進呈します。)
キムチ新漬 \500/ 200g・要冷蔵
(2019.01.27本漬: 白菜・大根・人参・韮
2018.03.01薬念醤漬: 糯米・鰯・アミエビ・唐辛子・塩・ニンニク・生姜・
帆立貝柱・鱈・松の実・桂皮・山椒・胡麻) 限定10袋・途中で瓶が変わり、02.16本漬け分になります。
(イワシを塩漬けするところから手作りした、朝鮮半島の伝統的な方法による白菜キムチです。いったん薬念醤というペーストを作り、これを一年寝かせたものをベースに漬け込んでいます。一年以上の古漬けに耐えるため、市販のキムチよりも塩気と辛味が強く、それに対抗するために他の味付けも濃厚です。)
各1パックご注文いただいても余裕で60サイズに収まりますので、送料は兵庫県発チルドゆうパック60でお調べください。よろしくお願いします。
2019年03月26日
20190326 サイフォンの原理
火入れした醤油の瓶の底に溜まった澱を除去するには、「サイフォンの原理」を使います。
つまり、細い管に液体が満たされている場合、その両端の位置の高い方から低い方へ液体は流れるという原理です。その管の途中が両端の位置より高くても、液体はそれを乗り越えて流れます。
ダミーで説明しましょう。澱を含んだ醤油の瓶をA、澱を排出する空瓶をBとします。両者をつなぐ管の瓶Bに浸ける側に印をつけ、必ず一方通行で使うようにします。管に液体を満たす時に、口で吸うからです。
管を瓶Aの底に浸け、B側の端から口元近くまで液体を吸い上げて、管の出口を指で塞ぎます。
その先を瓶Bに入れて、瓶Aの液体の高さよりも高く維持します。まだ液体は動きません。管の入り口が瓶Aの底についていることを確認します。実際には醤油が入っているので管の先はよく見えません。で、瓶Bの高さを徐々に下げながら、管の入り口で瓶Aの底を掃除するように澱を吸い込んで行けば良いのです。瓶Bの高さを調節することで、吸い込む力を調節でき、何かあれば瓶Bを瓶Bの液面まで上げれば流れは止まります。
2019年03月25日
20190325 せやから言うてるやんか
人それぞれ異なる常識を持っているのはわかる。私は、他人や公共に迷惑をかけているならば、謙虚にそれを正すのが常識だと思っている。
他人に助けを求めるのならば、助かるように自分も努力するのが常識だと思っている。
他人の物を返すときは、きれいに片付けて返すのが常識だと思っている。
しかしこの村では違う。私のような常識を持っている人間は、「左まきの人」であり「過激派」であり「テロリスト」であるらしい。そんなこと言うたら「左まきの人」や「過激派」や「テロリスト」のみなさんに失礼だ。私は違う。「左まきの人」ではなく「極左」であり、「過激派」や「テロリスト」ではなく「原理主義者」である。間違うてもろたら困る。
小麦が危ない、値段が高こなる、てねえ・・・他人が作ったもんに不満あんねやったら自分でちょっとでも作ること考えようや。
順にパン用小麦「ミナミノカオリ」・「ユキチカラ」・「瀬戸きらら」・・・
2019年03月22日
20190322 しぼりたて醤油と醪
しぼりたての醤油、早速揚げ出し豆腐にかけていただきました。
圧搾中の醪の方も、絞り上げても雫が落ちなくなったので、ここで醤油絞り完了とし、できた醤油は火入れしたあと静置し、澱を取り除いて瓶詰めという工程になります。これは来週出品します。絞りかすが6パックできましたので、これはいつでもお届けできます。絞りかすとは言いながら、醤油の元ですから、醤油の旨味が凝縮されております。私はあらゆる辛味のコク出しに使っています。パンを仕込む時の塩味、炒め物のたれ、汁物の出し・・・いくらでも使い道があり大変重宝します。複雑な雑味は、もしかしたら「リアル中華」の味のベースにもなるのではないかと、これから探求しようと思っています。すでに前回ご注文いただいた方の分、まだ箱詰めできてませんので、今なら同梱が可能です。よろしかったらどうぞ。来週改めて掲載します。
引き続き次の瓶の醪から醤油抽出開始。圧搾した醤油は透明なガラス瓶に入れて湯煎にかける。約80℃を30分維持してすぐ冷やす。これを「火入れ」という。吊るしているのは温度計。「生揚げ (きあげ)」は、醪から搾っただけなのでまだ麹菌が生きており、醗酵が進んで場合によっては腐敗する。調味料として長期保存できるようにするためと、香気を増すために一定の条件下で加熱して、麹菌や酵素の活動を止める。「火入れ」をすると「澱」が出る。数日間静置するとこれが底部に固まり、また表層部には油脂の層ができる。これらを取り除いて瓶詰めする。一方、次の瓶の醪からは、早くもかなりの量の醤油が落ちている。醪の状態、仕込んだ時の大豆の吸水具合、小麦の煎り加減、その粉砕の程度などにより、微妙に醪の粘度が異なるためであろう。瓶ごとに風味が異なる。
醪 (丹波黒大豆・麦麹・塩) \500/ 250g
生産者: 伊丹正典 2016.03.25仕込・2019.03.20抽出・要冷蔵
限定6パック
20190526 Karly@Fandango
全国の「カーリー・ショッケール」ファンの皆さま大変お待たせしました。本格再起動一年余を経て、やっとフル・バンドによるライブハウス演奏が実現します。しかも、場所は我々を育ててくれた古巣、大阪十三Fandango。じつはFandangoは事情があって今年の7月にはこの場所での営業を終了する予定なので、あの音で、あの空気の中でカーリーを見られるのはこれが最後です。当日はたくさんのバンドが出演されますが還暦パワーで正面突破、トリで約1時間たっぷり確保させていただきました。さらに往年のカーリーを彷彿とさせることができるか、女性アフリカン・ダンスマスターお二人にもゲスト参加していただき、フロント4人のド迫力で濃厚にお届けします。たぶん、もうこんな恵まれた機会はないと思います。かつての我々をご存知の方もそうでない方も、参加しやすい日曜日、是非ともFandangoへお運びください。お待ち申し上げております。
Mu LAST FANDANGOs "Thanks Otona Bands"
日時: 5/26 (日) 15:00開場 \2500/ドリンク別
場所: 大阪十三 Live Bar Fandango
大阪市淀川区十三本町 1-17-27 Tel: 06 6308 1621
https://www.fandango-go.com/jp/jindex.htm
出演:
カーリー・ショッケール
Julien Sorel
ぽんこつ音楽隊
Machine Head
トム&ジェリー
Cabo
Gold Dates
前売りご予約はFacebookメッセージにて・・・
2019年03月20日
20190320 farminhos
今シーズンは新しい試みとしてFacebookやヤフオクで、私の農産物や加工品を販売していこうと思います。といっても本当に申し訳ないくらい少量なので、商用サイトを立ち上げるまでもないほどなのですが、もしよろしければどうぞ。とりあえず3品、基本的に自分で消費する用に作っているものなので、消費見込みを睨みながら順次出していきます。とりあえず各5個ずつ。大変恐縮ですが、送料実費申し受けます。チルドゆうパック60サイズ兵庫県発です。同梱しても60サイズを超えることはないので、お取りまとめできます。近隣の方ならお持ちします。
三年醤油「清生」原材料: 丹波黒大豆・麦麹・塩, \800/ 180ml
2016.03.25仕込・要冷蔵
醪から絞ったままの「生揚げ (きあげ)」です。熱処理していないので要冷蔵です。
三年味噌原材料: 丹波黒大豆・米糀・塩, \500/ 250g
2016.03.02仕込・要冷蔵
自家製丹波黒大豆の土の匂いが強力な、濃い色の味噌です。
キムチ新漬 \500/ 200g
2019.01.20本漬・原材料: 白菜・大根・人参・韮
2018.03.01薬念醤漬・原材料: 糯米・鰯・アミエビ・唐辛子・塩・ニンニク・生姜・帆立貝柱・鱈・松の実・桂皮・山椒・胡麻
要冷蔵
鰯を塩漬けするところから手作りしたキムチです。つけもとの薬念醤は一年寝かせたものを使い、本漬後醗酵して一度泡立ったものが落ち着いてから熟成させてます。
2019年03月17日
20190317 醤油絞り
豆麹、大変良い感じで熟成中なので、予定通り日曜日に醤油本仕込みやります。まずは醤油絞りから。一週間かけて自重のみで落とした醤油をまずは保存しておき、上の瓶を外す。
中の醪はかなり固まって来ているので、これを濾し袋に入れて二重に袋をかけ、板で挟んで新しい瓶の上に立てる。その際、二重の袋の内側のものを瓶の中に、外側のものを瓶の外に出して、醪と、そこからこぼれ落ちる醤油が外気に当たらないようにする。こうすれば衛生状態も保たれ、特別な道具もいらない。板二枚と長いボルトナット、全て有り合わせで。私は何事も、まずは最も安直にやってみて、うまくいかなかったら工夫するようにしている。しかしいくつかそれでは通用しないものもあって、例えば食品加工では、この醤油の仕込みに使う塩水の量と塩分濃度の算出、これは厳密にやらないと失敗するので、試行錯誤の末、先の方程式を編み出した。キムチの仕込みもそうである。しかし、このような緻密な作業だけを見た人たちは私を買いかぶる。私のことを全てにおいて緻密にやる人間だと思うらしいが、それはとんでもない感違いだ。ものすごく厳密にやる必要があればやるが、必要がなければ極めてぞんざいである。醤油を絞るのに、高価な醤油絞り機を買ったり、作ろうとしたりしない。カホンひとつとってみても、買えば数万円するが、私はコンパネで作るので数千円で間に合うし、それで十分だ。そのように考えて生きて来た。高度な技術の賜物や、「匠」の技に手を出さないことが私の生き方である。しかしそれはそのまま、私が「本物」になれないことをも意味している。いまさら「本物」を目指そうとしても、もう遅い。これまでやってきたように、市井の安直な手作り生活者でいたいと思う。
・・そうそう、・・・小麦ふすまの豆麹が仕上がったので、例の方程式に従って仕込み水を作り、調合して瓶詰め。総重量を実測すると、だいたいいつも300-400cc程度計算値より少なくなっているので、仕込み水と同じ濃度の食塩水を加えて補正する。こういうところは厳密にやらないとダメ。
2019年03月12日
20190313 春うらら ii
三日続きの晴れの予報が三日続きの雨・・・せっかくの干し芋が乾かずにカビると気を揉んでいる最中なのに、加えて、ここんとこ三日続きで集落からのクレームその他で気分はどん底。私は毎日をほぼ極限まで働いて何も悪いことはしていないはずなのだが、なにが気に触るのか、なにが集落にとって都合が悪いのか全くわからず、これまではできるだけことを荒立てずにすり抜けようと努力してきたのだが此の期に至ってはごまかしは通用せず、となればもはや徹底抗戦して正面突破するしか、私が生き残る手段はないものと覚悟した。
家庭内に法律が存在しないことはよく聞かれることで、そのために私も幼少期から家庭やコミュニティからの脱出を企てたものだが、広く社会で合法とされることが、どの程度に範囲が狭まれば失われてしまうか、つまり「ローカル・ルール」というものがどの程度の範囲で有効性を持つのかという疑問がかつてからあった。たとえばこの集落内を取り囲む山と幹線道路の内側には農道が縦横に走っているのだが、そこは基本的に村の者しか走行しないという前提があってか、自動車が出会った時の優先順位は、だいたい村における地位の強さによって決まっている。つまり、村の顔役が右折しようとしているときに、私ごときが対向して直進しようとする場合、村の顔役に進路を譲らなければならない。つまりここでは道路交通法上の優先関係は成立しない。「止まれ」の指示があった場合にも「ローカル・ルール」が優先する。これを失念した場合、例えば、駐めてある自分の車のフェンダー・ミラーを捻じ曲げられたり、タイヤの周囲に釘を撒かれたり、タイヤの周りを掘ってスタックさせて出られなくしたり、などの制裁を受ける。だから、どの人が、そしてその家族が、どの車に乗っているかということを、常に覚えておく必要がある。私の場合は、下から数えたほうが早いのでずっと楽なので良いが、中堅の世話人などは大変だろうと思う。これを読んで驚く人もあるかもしれないが、実は世間でもよくある話で、私の経験した複数の会社でも、例えば回覧文書に押印する場合、自分の目上に何人いて、彼らが何階級に分かれているかを常に覚えておく必要がある。それによって回覧印を押す場所の高さや位置を正確に決定しなければならないからだ。さらに押された印影の文字が左、つまり目上に向かって下がっていなければならない。これを失念すると、会社の中での人間関係に支障をきたし、自分の地位も危うくなる。このようなことは、会社という社会の中ではよくあることだ。もっとも下っ端であった私は、一番右下の隅っこギリギリに押せば良かったので悩みはなかったのだが・・・
現在、集落内に揉め事が大きく二つある。数年前にはもう一つ、私の借りている隣の大型園芸施設をめぐっていろいろあったのだが、それはうやむやになって、今は太陽光発電施設と物流会社の敷地拡大の二点が争点になっている。いずれも、合法的な手段によって計画され、住民説明会も催され、環境アセスメントも通過していて、事業の着手には問題なく、いずれも工事が始まっている。物事には、賛成する人もあれば反対する人もある。特に事業誘致が絡めば、そこに不透明な思惑が作用して、話がややこしくなる。日本は法治国家であるので、民主主義が徹底されてさえいれば、どちらに転んでも恨みっこなしで社会は運動を再開するはずである。しかし実際にはそうはならない。事業を展開したい側は誘致したい側を抱き込んで懐柔し、反対住民と対立させて自ら手を汚さずに事業の成功を企てる。賛成する側は、それによって何らかのお恵みを期待する。賛成か反対か、その事業が集落の将来にとって良いか悪いか、あるいは環境その他あらゆる面から考慮して良いのか悪いのか、それが客観的に議論されるということはあまりなく、結局のところ古くからの人間関係において、自分がどちら側につくのが有利か、という判断基準で人は行動する。したがって善悪の判断は、結局勢力争いに発展する。勢力争いは農村の場合、水争いの系譜を汲んでいる。この集落でも、すでに山水の水源を争った時代は遠い昔のことだが、川に堰を設けて水路によって村のため池に入れ、それをどう分配するかによって決められた水系に添って、おおよその人間関係が構成されている。したがって、善悪の判断は個人の熟慮の結果ではなく、かなり強く地縁関係が表に出る。ほとんどの村人はそれに縛られているが、そこへ地縁のない私のような者が入ると、争いで腫れ上がったコミュニティは蜂の巣をつついたような状態になる。今回の場合、私の最寄りは全て反対派、私はその中に与しなかったので「賛成派」とされている。しかし賛成派の人たちが誰なのか、私は知らない。私が「賛成派」とされたのは、単に「反対派」の集会に参加しなかっただけのことであり、私が参加しなかったのは、その時バイトが入っていたからに過ぎない。
とにかくこの集落の人たちは互いに仲が悪い。遠い昔は、山間の温泉とその北に位置する城下町の一帯は一つの郡であり、その間にいくつかの村が点在するにすぎなかったものが、共有財産である山を開発する巨大国家プロジェクトのために村同士、山を管理していた家同士が猛烈な対立抗争を繰り広げ、派閥ぐるみで隣接する市に分割編入されたことから、その境界線が複雑に入り乱れて今でも遺恨を残す結果になっている。分かる人には地図を見ればわかることだが、ある村の西の村が東にある市の領域になっていてしかも飛び地ではなく、明らかな陣取りゲームの結果をあちこちに見ることができる。村の中でも、特にその開発計画の恩恵に浴した家とそうでない家との間の対立は根深く、多くの場合、持てる者が何か始めると周りから寄ってたかって潰しにかかる。よそ者が入り込もうとするとこれも容赦なく潰す。「売らない、貸さない、使わせない、三ない運動」がスローガンだったこともあるという。しかし金は欲しいから、なんとか道路沿いに土地を確保しようと暗躍して老人に取り入ったり、せしめた場所を転用しようとすると妨害したりと、まったく目を覆うばかりである。地域の中心となるべき大きく立派な神社があるのに祭は廃れて久しく、若者が地域おこしグループを結成してもあらゆる手を使って骨抜きにしようとする。本心からいえば、こんなコミュニティからは一刻も早く脱出したいのだが、希望をもってここへ来た10年前とは違って、今は金も体力も気力も、自分自身を守り抜くことに汲々とするばかりで余力がないに等しい。
で、私が被っているのは、上の三つに加えて近隣の何軒かの家との直接的な揉め事である。数年前の園芸施設のときは、その事業主である隣家の息子が村総出のいじめにあっているところを助けようとして、その矛先が直接私に向かったもので、その遺恨はなおも続いている。太陽光発電施設と物流会社の件では、反対集会に参加しなかったとして反対派住民に取り囲まれて私が孤立している格好になっている。だからといって賛成派住民が何かしてくれるわけではない。私は賛成さえしていないからだ。これら三つは、合法的な手段によって進められた事業について、決定したあとになって反対し、一緒に反対しなかったとして特定の個人を攻撃するという点で一致している。つまり、賛成か反対かなんてどうでもよく、気に入らない相手を潰せさえすれば良いのである。往往にして「ローカル・ルール」というものは、実に残酷な排他主義を掲げてしまうものだ。
近隣からの直接的な被害というのは、去年極限に達した隣家の廃棄物からの異臭の問題・近隣の子供たちによる自動車へのいたずら・私の新規就農に反対する住民からのいやがらせ・・・そして、あとふたつ、年末から持ち上がって来た問題がある。ひとつは、私の借りている田んぼの隣家の立木が、私の田んぼの上に大きくかぶさって日差しを遮っていることによる。その直下の日当たりの悪い部分は何を育てようとしてもうまくいかず、水はけの悪いところへ上からの落ち葉が重なって腐葉土が積み上がり、これにカビが生えて病気が発生する。毎年抜き取り対処に追われるのだが、年々その影響が広がって、昨シーズンは遂に区画の半分近くに病変が現れた。その対策として年末に表土を消毒する目的で古茅を積み上げて焼いたのだが、このような対策に苦慮している私に対して、隣家の主人は火を使ったことに対する非難をまくし立て、茅を積むことや草刈り、土手管理についても非難を繰り返し、挙げ句の果てには農業委員、警察、消防署にまで通報するのである。このような嫌がらせはことあるごとに続き、時には夜中に近隣の仲間とともに怒鳴り込まれることもある。
もう一つは、集落内の耕作放棄地について、自然農の志を同じくする仲間の数人が、それまで使わせてもらっていた農地を返さなければならなくなって、来シーズンからの農地を探していたので、近隣の並びの耕作放棄地で数十年使われていない自然農に御誂え向きの家付き農地を紹介したことから始まる。その持ち主は数十年前に他界し、遺産は、家と、農地を二つに分けて三人の相続人に分配された。農地を相続した二人に農業経験がなかったので、農業委員会が間に入って耕作してくれる人を探していたところへ、私が名乗り出たので、一時、話はトントン拍子に進んだ。集落の若手グループとしても、これをテコに閉鎖的な現状に風穴を開けたいと思っていたようだったが、案の定そこに横槍が入った。その農地は農道から孤立していて、そこへ入るにはどうしても家の敷地を通らざるを得ないのだが、家の管理人は一歩たりとも入ることを許さないと言って障壁まで作ってしまったのだ。話はそれに止まらなかった。その敷地に隣接する複数の農家から、外部の人間がその農地へ出入りすることを認めないという意見が出され集落で協議された結果、この農地の利用権設定変更を認めないとする議決が出た。さらに、ちょうどその頃、別の自然農友達の身に深刻なトラブルが起こり、その事情聴取のために警察が私のところへ来た。内容は取るに足りない事実確認だけだったが、パトカーが数台来たことによってあらぬ噂が広まり、それが集落内の私に対する排斥運動に火をつけてしまった。
もはやプレッシャーに押しつぶされそうな状態である。しかしひとつずつ突破していくより生きながらえる手段はない。手始めに、田起こしを始めるまでに隣家の立木を伐採してしまうことにする。もちろん、もはや話し合いの余地はない。もともと彼らが占有している土地全体が、うちの家主の土地が何代か前の家主に乗っ取られたもので、自分の家のものをどう処分するかを彼らに問う必要はないからである。しかし現行法を適用すれば、いかに立木が越境したとしても、無断で切るわけにはいかず、その立木の持ち主がどちらであるかが判断基準となる。彼らの土地家屋全ての地主がうちの家主である書類は揃っているのだから、相手の生活に実害を与えない限り、木を切ることに法的問題はない。しかしこれで関係は決定的にこじれる。かといって、このまま指をくわえて見ていたのでは、現状を追認したことになる。ただでさえこの隣家は私の田んぼに向かって立ち小便はするしゴミは捨てるし、裏に回れば産業廃棄物が山積していて、敷地内はゴミ屋敷である。ややもすると苗代も荒らされる。証拠はすべて写真などに残してある。陰切りを強行して訴えられれば、反訴するまでのこと。もはや正面突破しか選択肢はない。まずはそこからやな。
20190312 鶴の子大豆醤油仕込 ii
醤油仕込み第二弾。その前に、新しい醤油の絞り方の写真が見えにくかったようなので、ダミーで説明します。果実酒用保存瓶の口はほぼ統一規格で、おそらく贈答用味付け海苔のガラス瓶の口もほぼ同一規格、で後者の口径が前者のものよりもわずかに大きいことを利用して、写真のように、前者の醪から、後者に自重だけで落として醤油の一番搾りにしようというもの。絞ってはいないんだが・・・
で、三日ほどでだいぶ溜まってます。
さて、醤油仕込みは、豆麹にまぶす麦の粗挽きを小麦を粉に挽くときに出るフスマに置き換えて仕込もうというもの。
フスマは小麦の外皮の部分で栄養満点なのだがパンにするときにこれが多いと膨らみにくいので、単に食感のために除去するわけです。
これはこれでクッキーにして食べているのですが、そんなに多くは食べられないので貯まる一方になります。
で、醤油仕込みの原料として良ければ無駄が減らせると思って三年前に試験的に仕込んだ醪が結構うまかったので、今後は豆麹の媒体にフスマを使うことにします。
本日より養生開始、うまくいけば日曜日に本仕込み。
2019年03月10日
20190310 醤油絞り
20190310 鶴の子大豆醤油本仕込
醤油の本仕込み。醤油は、豆麹を塩水で割って仕込む。仕込み水の割合は、豆麹の体積と同量、その濃度は、豆麹を仕込み水で割った醪の中の最終的な塩分濃度が16-17%になるのが良いとされている。ここで気をつけねばならないのは、「体積が同量」という部分と、「濃度」との関係である。濃度は重さで測るものなので、体積と重さの相関関係を方程式にしておく必要がある。しかし、この関係については、いろいろ調べたが明確な資料に行き当たっていない。したがって自分で編み出す。推論の過程は省略して結論だけを述べる。
豆麹が破生して醗酵が落ち着いた状態を「出麹」という。今、目の前の出麹を、どれだけの水にどれだけの塩を混ぜた食塩水で割れば良いかを考えているのであるから、求める数値を「x」と「y」とする。
出麹の体積を「a」とする。
出麹の重さを「b」とする。
仕込み水の水の体積を「x」とする。ちなみに水の比重は1であるので、その重さも「x」である。これが両者の架け橋となる。
仕込み水に加える塩の重さを「y」とする。
「a」と「b」は計量すれば得られる。これをもちいて「x」と「y」を求めようとするのである。
x = 0.91a - 0.09b
y = 0.18a + 0.18b
私が編み出した方程式がこれである。試行錯誤の末、だいたいこの通りにやって美味い醤油が得られることを確認した。三年仕込みであるから、試行錯誤の結果が出るのも三年後である。この通りにやれば良い。
豆麹の破生を確認したら、まずはその重さを測り(b)、さらに体積を測る(a)。
体積の測り方はいろいろ考えられるが、私は水を満たしたボウルに出麹をビニール袋に詰めてなるべく空気を抜き、それを水に沈めて溢れた水の体積を測ることにしている。これがおおよそ出麹の体積である。重さは問題なく測れる。
これを上の方程式に当てはめて演算すれば、どれだけの水(x)を用意して、どれだけの塩(y)を混ぜれば良いかがわかる。
ちなみに計算結果は、経験上全てのケースで飽和食塩水の濃度を上回る塩を水に溶かさなければならないことになる。水道水は純水ではなく、にがりを含んだ塩も純粋な塩化ナトリウムではないので、さらに誤差が生ずる。
で、なるべく塩を溶解するために水を沸かして塩を溶かす。溶け切らない分が必ず出る。
これを必ず常温にまで冷ましてから、出麹を投入して撹拌する。溶け切らなかった分も混ぜ込んでしまう。
そして必ず結果を実測して、「醪の中の塩分濃度が16-17%」になっているかどうかを確認する。実際の作業では、鍋に残る塩や水、尻漏りして流失する分もあるので、これらを容器で受けたり、水や塩を足したりして補正し、計算値に合わせておく。
完了したら瓶詰めして遮光処置をした上で貯蔵する。夏を越すまでは毎週櫂入れをする。
2019年03月05日
20190305 鶴の子大豆醤油仕込開始
手作り醤油の仕込みを開始。醤油と味噌は同じ原料ながら、仕込み方法が異なる。味噌は、米や麦で糀や麹を作っておいてから、豆を蒸して塩と混ぜ合わせペースト状にして発酵させる。醤油は、先に豆を蒸し、米や麦に菌を付けて豆糀 (麹) を作っておいてから、それを塩水で割って発酵させる。醤油の仕込みの手はじめは、この豆麹づくりである。今年は大豆が不作だったので北海道産鶴の子大豆を購入、小麦もパン用に全て挽いてしまったので押し麦を購入。
まずは大豆を蒸す。味噌づくりにおける大豆の蒸し加減は、指先で軽く潰れる程度であるが、醤油づくりにおいては、やっと形を保っている程度が良いとされている。不用意に掴めば崩れそうなほどで、ここまで蒸すには5時間程度かかる。
蒸しあがり1時間ほど前から、並行して麦を煎る。麹菌をつけるので、原料は必ず人肌まで冷ます。煎った麦はミキサーなどで粗く砕く。
先に麹の種を麦に撒いておいて必ず良く混ぜ、それを豆にふりかけて更によく混ぜる。
これを布袋に入れて麹葢に広げて保温あるいは微加熱しながら30-35℃に保つ。
大体五日ほどで破生するので、それを塩水で割って仕込む。豆麹と塩水の混合したドロドロの溶液を醪 (もろみ) という。醤油は味噌よりも作る難易度がはるかに高い。まず豆麹は米糀よりも水分が多く、体積も重量も大きいため、温度と湿度の管理が難しい。そして豆麹を割る塩水の濃度と量の見極めが難しい。もろみと塩水の比率は、体積比で1 : 1でなおかつ最終的な醪の塩分濃度が16-17%になるようにコントロールするのが良いとされている。これが非常に難しいのである。醤油は春先に仕込むが、夏までは週に一度は混ぜる。これを櫂入れという。この時に雑菌の混入と温度変化による黴の繁殖が起こりやすく、夏を越えて安定期まで持っていくのが、これまた非常に難しい。その後、私は三年寝かせて熟成させる。三年経つと醪は真っ黒になり、独特の深みと芳香が出る。これを搾ったものを生揚げ (きあげ) といい、オリを取り除いて火入れすると、常温保存できる醤油になる。風味は仕込みごとに異なるが、いずれも市販品とは比較にならないほど良い。豆麹を塩水で割る作業と、三年前に仕込んだ醪を絞る作業を、3/10 (日) 10-15時くらいでやります。豆麹の養生に失敗したら、今年の醤油づくりは取りやめです。ご興味のある方はご連絡ください。