さすが赤米「神丹穂」が浸水4日目にして早くも発芽。早速苗代の準備をする。
まず表面に敷き詰めておいた茅を燃やして殺菌し、全体を粗く耕して水を張る。一晩置くと適当に吸水して水位が下がるので、これをさらに耕して泥をこね、表面を均す。土というものは肉眼で見ると硬く締まっているように見えるが、分子の目から見ると粗い粒子がラフに集まった団粒構造という状態である。このまま水を張ると水は下へ抜ける。適度に水のある状態でこねると、土は泥となり、同じ水分含有率でも、泥が保水して水が流失することが少なくなる。これはこねることによって舞い上がったごく微細な土の粒子が団粒構造の内部に取り込まれて穴を塞ぐからである。これを表土一面に繰り広げれば、その上の水は下へ抜けにくくなる。これが田んぼの底である。
この状態を苗代に作って平面を出し、そこへ種籾を撒く。撒く間隔は1cmが良い。これより狭ければ密になりすぎて互いの成長を阻害し、広ければ他の草に入り込まれる。この間隔をなるべく維持して均等に撒く方法として、私はセルトレイを泥に押し付けて等間隔のくぼみを作り、そこへ一粒ずつ撒く方法を採っている。極めて苦しい姿勢を長時間維持するため、板の上に膝をついたり寝転んだりして、左に渡した角材に肘をついたりしながら、ひたすら地道な作業に耐える。他の品種の籾が数日後には発芽してくるはずなので、とりあえず不織布ベタ掛けで鳥害を防ぐ。
ひきつづき「緑糯」も発芽。苗代に下ろしまして不織布をかけ、次の発芽を待つ。