2020年09月05日

20200904 「コテツ♀」

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 「コテツ♀」・・・5匹のうち唯一のメスであった。ハチワレの白い部分が最も小さく、鼻も黒かった。離乳期までは兄弟たちと暴れていたが、やがてオス猫のテンポについて行けずに取り残されることもあり、そんな時には私に甘えてくることもあった。しかし警戒心が強く、私に近づかないこともあった。たぶん「セジロ」が譲渡された直後に行方不明となり、約一週間後に中庭の排水管の中で死んでいるのが見つかった。その排水管はごく短くて、二度曲折があって外とつながっており、子猫の格好の隠れ場所であり遊び道具だった。しかし成長と共に通れなくなっていたはずである。なぜそこに入ったのか、なぜそこから出られなかったのか、なぜ助けを求めなかったのか、謎である。発見に至ったきっかけは臭いだった。当初は糞尿の匂いかと思い、トイレの土を交換し、中庭を清掃した。しかし収まらず、中庭に置いてあるものを動かして探しても見つからなかった。残るは排水管しかなかったので、ホースの水を強く当てると、激しく腐乱し、骨も露わになって内臓も出た、見るも無残な状態で流れ出てきた。かわいそうでしかたがなかった。たとえそんなところに入ったとしても、数日は生き延びるはずである。生きていれば声もするはずである。中庭の、毎日のようにその上を通る場所で、その声が聞こえないということは考えにくい。つまり、そこへ入って動けなくなって程なく絶命したものと思われる。何かに襲われてそこへ逃げ込んだか、逃げ込んで曲折を通り抜けられずに襲われたか、私は毎日17時間程度はここで過ごしているので、たまたま私がいなかった7時間以内にそこへ逃げ込んで絶命したものと思われる。苦しかったかもしれぬ、痛かったかもしれぬ、あのつぶらな目を思い出すたびに、かわいそうでならなくなる。

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 最後の写真は、おそらく彼女がいなくなる直前のものと思われる。左上に映り込んだ横顔である。

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20200904 「セジロ♂」

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 「セジロ♂」・・・ハチワレで背中に白い毛の塊があるのでこの名にした。略して「セジ」と呼んでいた。5匹の子猫の中で最も美形である。鼻と口周りの肌色が美しく、ハチワレの柄も調和が取れていて、髭や眉毛が白いのも良い。見事な造作である。授乳期の成長は最も早かったが、乳離しはじめてから、大きさでは他の猫に遅れをとった。しかし性格は活発で狩にもよく出かけ、獲物を咥えて戻ることも多かった。強気であまり私には懐かなかった。「ハナクソ」と同じ農家に引き取られていった。活発なもの同士、元気に狩に勤しんでくれることを期待する。

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20200904 「ハナクソ♂」

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 「ハナクソ♂」・・・ハチワレで鼻の片方だけが黒いのでこの名にしたが、略して「ハナ」と呼んでいた。最初に里親候補が現れた。三田市広野の大きな農家で、飼い猫というより害獣対策用の狩猟猫である。ここで学んだことが生かせる職場であって、本来の力を発揮するであろう。もともと独立心が強く、あまり私にも懐かず、狩に出たまま数日帰ってこないことも多かった。体も大きく、触ると筋肉に力が漲っていた。譲渡直前には、他の猫よりも乳を吸う時間も少なくなっていた。最初の譲渡だったので、一度目は失敗し、一週間ほど様子を見て、落ち着いている時に捕獲すると、意外に暴れなかった。

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20200904 「ツキノワ♂」

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 「ツキノワ♂」・・・全体に黒いが、首の周りだけ白い毛がある。ヤンチャな目をしているのが特徴で、幼い頃は、きょうだいたちが遊びまわっていても、一匹だけ離れて空を眺めているようなところがあった。妙に私と気が合って、こいつだけが私の膝に乗ってくる。ロマンチックなところと無鉄砲なところが同居していて、空を眺めているくせに、獲物を見つけたら先頭を切っている。あるとき隣の農園の檻に捕まって泣き喚いていたのを救出したが、たぶんそのとき暴れたのか、顔面にかなりの傷を負った。彼一匹は母猫のもとに残して、自然な巣立ちを観察することにした。

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20200904 「まっくろ♂」

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 「まっくろ♂」・・・全身真っ黒なのでこの名にした。5匹のうち最も痩せっぽちでおとなしい。近所の農家に引き取られたが、害獣駆除用ではなく、室内愛玩用である。引き渡したその日のうちに去勢やワクチン摂取を施されたようである。本来は、「コテツ♀」と一緒に譲渡されるはずだったが、「コテツ」が虚しくなってしまったので単独で引き取られた。ほっそりとして立ち姿に気品がある。足の運びが子猫として愛嬌がある。私にも比較的よく懐いていて、膝にも乗ってくるし、抱き上げても抵抗しない。性格は控えめで、餌の取り合いには負けてしまうことが多い。

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20200904 しゃのあ一家

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 私は猫が大好きだ。しかし、今回「しゃのあ」と関わってみて、意外に猫嫌いの人が多いことに気がついた。「しゃのあ」は昨年10月の中頃迷い込んできた雌猫である。ガリガリに痩せて行き倒れ同然だったのを助けた。猫は実家で子供の頃からよく飼っていたので、私なりに接し方は心得ているつもりだった。当然、当初は威嚇されたが、そばに水を置き、離れた場所に寝床をしつらえ、寒さを防ぎ、やがて牛乳を置き、流動食を置き、決してこちらからは近づかず距離を保って淡々と掃除などしているうちに、一ヶ月後には一緒に座って時を過ごすようになった。

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 しかし、頭を撫でさせてくれるまでにはさらに一ヶ月近くかかった。気位の高い猫である。私はメンクイなので、美しい猫しか相手にしない。なかでもメスの黒猫はベストだ。ここに住んで13年、下品な野良猫しか見なかったので、彼女は初めての受け入れ可能な猫だった。目つきが野良擦れしておらず、前足を真っ直ぐ揃えて座り、長い尻尾を前足に添える様子は、猫の美貌の最たるもんだ。大きさからして、おそらくその年の春に生まれたのだろう。健康を取り戻したと判断した時点で、救命的な餌やりを徐々に減らして、最終的には止めた。冬の間は、一対一の和やかな時間が続いた。

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 しかし春先になって彼女の妊娠がわかると、見ていてはっきりわかるほど体調を崩した。再び手を差し伸べ、順調に腹が大きくなる頃には、近隣の数軒から餌がもらえるほど、人気の地域猫になっていた。4月の下旬に、近隣の、使われていない倉庫で出産したようである。その後、私の知る限り数回居場所を変え、5月には私の借りている家の納屋の二階に引っ越してきた。子猫は5匹いた。そこは、毎年何らかの動物が、必ずと言って良いほど子育てをするのだが、家主がそれを嫌って子供を処分してしまうのである。もちろん、自ら手を下して殺すと違法になるので、親のいない間に子供を箱に閉じ込めて別の場所に移し、親が見つけられずに子供が死んでしまってから、保健所に連絡するのである。同じことをが繰り返されるのは耐えられなかったので、私は秘密裏に彼らを中庭の隅に移した。彼女はそこで子育てをし、4ヶ月経った頃には立派な野良猫に育った。そして、このほどあいついで里親が見つかり、3匹がめでたく引き取られていった。紅一点だったメスは、同じ頃、虚しく発見された。私と最も仲の良いオスの一匹は手元に残して、自ら巣立つ様子を観察するつもりだ。

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 さて彼らのような野良猫の置かれた状況は厳しい。日本では、私のような行為は迷惑行為と受け止められている。なぜなら、野良猫が繁殖すると、生まれた子供がペットとして飼われ、一定数が無責任に捨てられるなどして、そのほとんどが殺処分されていくからである。その数は増えている。私の行為は、その循環に手を貸したことになる。一方、農村では、猫はネズミ・モグラ を退治し、縄張り関係から同じ種族であるイタチを遠ざけ、特有の匂いからヌートリアやアライグマも離れる一方、肉食なので農作物には目もくれないことから珍重される。実際、彼女がうちへ来てから、根菜の獣害・屋根裏のネズミ・畔の穴は劇的に減った。ヘビも捕獲するので、人がマムシに噛まれる被害をも未然に防いでくれている。これは絶大な効果である。しかし、行政というものは農村とそれ以外を区別するわけではない。

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 日本においては、野良猫を捕獲したら必ず避妊去勢し、繁殖を防ぐことになっている。野良猫を保護したら、行政に連絡するか、自らが責任を持って「飼う」ことが義務付けられている。「飼う」とは、要するに外界から完全に遮断して繁殖や逃亡の可能性を殲滅することである。そして、一生を屋内の閉ざされた空間で安楽に全うさせることである。これが日本における、人間社会と猫との正しい関わり方であり、これが正義である。

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 しかし、私は彼女の神聖な肉体の最も大切な部分を切除することが正義だとは、どうしても思えない。彼女は病気でも障害猫でもない。彼女の子育てを見ていて、私は本当に恐れ入った。誰に教わったわけでもなく、初めてのお産を問題なくやり遂げ、子供達の安全を第一に行動し、自らは毛が変色して痩せ衰えても、獲物をまずは子供達のところへ運ぶその姿を毎日見ていて、本当に恐れ入った。自分と一回りしか変わらないほど大きく成長した彼ら5匹にのしかかられても、彼ら一匹一匹を優しく舐めてやりながら授乳し続ける姿を見て本当に恐れ入った。まずは子供達にも食べられるカエルやセミを捕獲しては食べてみせ、食べ方を教え、やがて子供達を引き連れて実地に狩を教えている姿は、対立する近隣農家同士にも一時的な休戦をもたらしたほどだ。

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 生きることに必死なのだ。その姿に、私は大いに恐れ入り、大変多くを学ばせてもらった。最近では、母猫は子猫をよく叱る。唸り声をあげ、軽く噛んでは舐めてやり、何度もそれを繰り返す。叱られた子供はじっと平伏している。昨日は、ついに母親が一匹残された息子を威嚇するようにさえなった。雄猫なので、遠くへ行ってもらわなければ、近親相姦が起こるのである。自然の摂理とは、全く不思議なものである。そして、誰に教えられたわけでもないのに、それに従っている彼らもまた、全く不思議なものである。その不思議を目の当たりにするという経験を与えてくれたのは、彼女が妊娠したからである。彼女が妊娠したのは、近所の雄猫が去勢されていなかったからである。これが自然な姿であり、人間もその中で生きているからこそ、共に生きる有様を目の当たりにできたのである。自然の摂理と生の事実を体験できたのは、彼らが自然だったからである。

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 しかし人間社会はそれを許さない。その猫が「飼われて」いるのかいないのかを区別し、責任の所在を明確にし、野良猫は捕獲されて一定期間保護された後、ガス室に送られる。飼い猫は避妊去勢を施され、完全に室内で生涯を終えることが義務付けられる。そのようにして野良猫全体の数をコントロールしていくことが、生態系のバランスにとってより重要視されるのである。なぜなら野良猫は、農家にとって都合の悪い動物だけでなく、捕獲しうる動物を無差別に屠るからである。そのなかには絶滅危惧種も含まれる。日本全体の政策を考える場合、この方針はやむを得ない。

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 彼らは人間に見つかるとアソコを切り取られてしまうのだ。病気でもなく障害もなく、何も悪いことをしていないのに、人間の都合で、自分の生命の大切な部分を、切り取られてしまうのである。私は彼女を人に慣れさせてしまったがために、悪意ある人間に対する彼女の警戒心を弱めてしまったかもしれない。村には当然、猫嫌いの農家も多くある。彼らは往往にして、自分の田畑に罠を仕掛けて猫を捕獲しては通報する。それが使命だと思っている。ましてや、彼女が私のところを本拠としていることが広まりつつある今、村の中での私の立場は、そのまま彼女の身の危険に直結する。これを解決する有効な手段は、残念ながら存在しない。なぜなら、私は猫が好きだが、猫の嫌いな人は、あくまでも嫌いだからである。

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 やむをえず私は法を犯す。法は彼女を引き渡せと私に要求するが、私は断固拒否する。彼女はまた出産するだろう。しかし次回は、今の息子が巣離れしたら、どんなことがあっても餌やりはしないつもりだ。しかし彼女を排除したり、生まれた子供に干渉したりもしない。もともと、ここに行き倒れ同然で迷い込んできて居ついただけだ。軒下で子供を産んで育てようが邪魔だてはしない。攻撃もしないし保護もしない。一切の手出しをしないことにした。同居する分には何も障害はない。

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 ただし周囲が黙っていればの話だ。農村は残念ながら人間社会である。というか、人間どもは、ここら辺りを人間の社会だと思い込んでいる。だから、そこに紛れ込んで生きていけるかどうかは、運にかかっている。もともと野生では5匹産んで1匹生き残れるかという世界だ。それよりはマシかもしれぬ。無責任と言われようが、私にはそうするより他にどうしようもないのだ。許せ、俺はお前を傷つけたくはない。お前がいてくれることに、心から感謝している。

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