「新名神高速道路」の建設が近所でも始まっている。その予定地がどのように破壊されて行くか、写真によって記録して行こうと思って、ブログ上にひとつのカテゴリを立ち上げる。記録する区間は、おもに神戸JCT.から高槻第一JCTまでの間である。上の写真は2011年6月のものであるが、神戸JCTからイチゴの名産地で有名な二郎 (にろ) をひと山東に越えた、神戸市北区道場町平田である。詳細な図面が得られないのであくまで憶測であるが、この高圧電線の直下か近くを通るはずである。
JR道場駅の西の高台から建設予定地を遠望する。「百条岩」など奇岩で名高い風光明媚な生野高原を切り通して進む。
その山を越えると武庫川渓谷に至る。採石場の入口が、工事用車輌の入口になっている。右に予定地を知らせる看板が見える。
兵庫県の武庫川上流浄化センターの真上を通るはずである。
武庫川渓谷沿いに道場と西谷方面を結ぶ細い道が工事用車輌の通路になっている。それすなわち、かつての国鉄福知山線の廃線路に並行する。「立入禁止」の看板の下は、かつての踏切の名残、舗装される以前は、レールも残されていた。
2011年2月の写真であるが、古い石垣の下にかつての線路敷があり、それをアクセス道として、その上の山を開削している。ここは鉄道の歴史を今に残す遺跡が、長い年月を経て渓谷美と見事な調和を重ねて来た場所でもある。
その東にある川下川ダムを跨ぐ巨大な橋梁の建設が進んでいる。予定地はこの先、武田尾の渓谷や集落、山を利用した畑を破壊して貫通し、宝塚の奥、西谷の集落を過ぎて、猪名川町へ向かう。
さて、特に今になってこのカテゴリを立ち上げようと思ったのは、ここ宝塚市切畑から猪名川町広根までの区間が通行止めになったからである。この先、鬱蒼とした森の中へ飛び込んで行くかのように、道は細い路地となって下りながら渓谷に彷徨い込んでゆき、点在する集落や見事な梅や桃の畑を過ぎ、小さな流れのわきに現れては消える生き物草花や、木漏れ日を受けてそれらが笑い、小川の水に乱反射する光の乱舞を見ることができた。おそらくその頃の経験が、私の今の写真心を培ったものであろう。ここが通行止めになったということは、現在その命の楽園は、徹底的な破壊を受けているということである。ここは、子供の頃から私の遊び場であった。自転車を手に入れて行動範囲が広がってからは、近所のしがらみを絶って自然の中に埋没する歓びを覚えた。待ち伏せと裏切り、情け容赦のない徹底的な誹謗中傷に疲れきった心は、ここの小川の水で癒された。数年前、手に入れた高速道路の予定地情報を地図に落とし込んでいて事実を知った私は、それから足しげくここへ通ったのだが、つい最近まで何の変化もなかった。が、いきなり封鎖されてしまった。解除されるのは、来春とのことである。もはや、あの光に再会することはないだろう。
封鎖区間の西側、宝塚市切畑である。関西電力の変電所があって、ここは雷がよく落ちるのだ。下の写真は、東側の猪名川町広根である。
勝手に写真なんか撮ってバカタレですね