2012年01月14日

20110114 Nada ca me param

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 現在の現金収入の主たる源は、週5回スーパーの食品売場のバイトである。もともと食品業界に20年以上身を置いて来たので、チェーンストアの仕事はよくわかっている。面接してくれたのは、なんと10年前にそのチェーンを担当していた当時のバイヤーであった。履歴書もろくに目を通さずに一発採用となり、以来お世話になっている。時給は普通程度だが、いちいち仕事を探さなくても良いし、コンスタントに週5回あるので考える必要がない。楽である。仕事そのものは大変きつい。しかし、ものが売れていく現場にいると、いろいろと考えさせられることもある。こんなもん誰が買うねんと思うようなものや、これは使える人おらんやろなというものがよく売れたりする。魚に寄生虫がいるというだけで自宅に呼びつけて何時間も不平をまくしたてる客もあったり、売場を整理していると台所用品の棚の下から何日も前の魚のパックが出て来たり、インスタント・ラーメンの袋に紛れてアイスクリームが逆さになって溶けていたりする。ここは田舎と思っていたらとんでもない、都会に家を持てなかった人たちが手頃なマイホームを得る地域であり、都会よりもいびつに荒れた住宅街と、旧くからの農村が散在しているのである。さて、現在のチェーンストアというものは、アルバイトの隅々に至るまで労務管理が徹底されていて、作業手順が秒単位で管理されている。何時何分何秒から、カウンタークロスを100枚たたむのに何分何秒かかり、そこから何メートル奥の流しの下の・・・という具合に、17:30から21:30までの4時間は息つく間もない。もちろんタイムテーブルを見ながら仕事をしている訳ではなく、常にスロットル全開で突進し続けて4時間後にどこまで出来てるか、の世界であって、与えられた作業を完遂することはまず出来ない。つまり人員配置に対して作業量は常にオーバーしている、常に人手不足であるが会社に新たに人を雇う金がないので、常に不完全な体勢のまま店は走り続けている。厳しい毎日ではあるが、仕事仲間は全員ええ人たちなので、不満は全くない。それどころか楽しいし勉強になるので、ここを辞める気はない。次なる現金収入の源は、前々からの知り合いに紹介され、時々このブログにも紹介している「六甲山カフェ」である。毎週土・日・祝のみの営業で、3-4グループが交代でマスターを勤めるのだが、ここに「cafeminhos」という屋号で出店している。「カフェミーニョス」と読みます。これが出店以来お客さんが就いてなかなか不思議な展開を見せているのである。場所が登山口の滝の脇にあることから、街なかのカフェと違って、それだけでお客さんの嗜好性がフィルターにかけられており、私がここで米や野菜や加工品を売ったり、採れた野菜で料理したものをお出ししたり、自分で焼いたパンでモーニング・セットにしたりしていると、それをみて農業や食品の安全性、持続可能な暮らし方についての意識の高い人が多く訪ねてくるようになった。山そっちのけで一日ここで飲んだり食ったりする人も現れるほどで、これがなかなか助かるのです。農産物や加工品を買ってくれるから助かる、店の売上が収入になるから助かる・・・のも当然ありますが、やはりいろんな考えの人といろんな話が出来ることは、非常に有益であって、かなり突っ込んだ話にもなるし、山ガールのねーちゃんもようけ来るし、精神衛生と目の保養に大変よろしく、エロ・・・いや、いろんな意味で自分のひとりヨガリを修正出来る貴重な時間であります。もちろん、お出ししたものを美味いと言って食べてくれること、また食べたいとから来たと言って訪れるお客さん、こんな本格的なエスプレッソは日本では飲んだことがないと言ってくれたポルトガル人、付け合わせに出したキムチを何度もお代わりしてくれた韓国人、このクスクスはどこで覚えたのかと片言の日本語で訊ねて来た眉毛の繋がったトルコ人、チキンカレーとインディカ米に感激してくれたインド人など、みんな忘れ得ぬ歓びです。で、よく言われることは「もっと作ってくれ」「売ってくれ」という声であり、それはそれとして私を評価してくれたことを嬉しく思うのだが、ひとりで手作りしているので増産出来ない。だから「一緒に作りましょう」という声かけを始めて、やがてそのうちの何人かは私の田畑を見学に来られた。このようなことを積み重ねていくうちに、自給的生活も、やりようによっては可能であることが彼らにもわかり、身近に感じることによって、次第に溝も縮まると思うのです。「六甲山カフェ」も、私にとってはかけがえのない空間となりました。


 


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 http://yamacafe.jugem.jp/


 


 仕事の今ひとつは家庭教師である。時給が良いことと、経験を積めば評価が上がるというので、某有名家庭教師派遣会社に登録して、現在までに6人を担当し、うち3人が続いている。帰国子女だったり移民の子だったり父子家庭だったり発達障害だったり天才だったり野球少年だったりと、なかなかバラエティに富んでいて面白いのだが、一日に複数入ることは稀であるので、いくら時給が高くても時間数が少なくて金額が上がらないのと、経験を積んでいくら評価が上がっても需要がなければ安い仕事を請けざるを得ないのとで、あんまりカネにはならん。現在続いている3人のうち2人はこの春に受験が終わってさよならするので、そのままフェイド・アウトでしょうな。もうひとつ昼の仕事が時々入ってくるのであるが、G・・・失礼、iSpotという、これは淀屋橋のファッション・ビルの一室のお留守番の仕事で、ほーーーーんまにすることがない。したがって自分のパソコンを持ち込んで自分のし残した作業を徹底的にやることができる有り難いお仕事である。時給は安いし交通費も出ないのであるが、この条件に文句を言うたらバチが当たりますな。下のリンクを見ていただければわかるように、ここは最先端のファッション・ビルであって、しかも場所は大阪一のビジネス街の淀屋橋・・・ということは、闊歩しているねーちゃんも大阪一磨きのかかったおーえる・・・ということは東京に一歩譲るとして、日本で2番目に美女の多いエリアの最先端に半日座っていられるシアワセなバイトなのである。全く感心させられますな、ほんまに隙ひとつないほど磨き上げられた瑞々しい女が競うように歩いてる。しかし実際のこの一室の使われ方は、大部分は近隣の窓際族の昼寝場所であって、朝から晩までここにいて、ただうつらうつらしている人も多い。そんなに暇なら俺の農作業を手伝ってくれと言いたいが、まあそんな奴に限って使い物にはならんであろう。見ているだけでこっちの意気まで殺がれてしまいそうな気がするので、ひたすら自分の作業に没頭するのです。


 


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 http://www.odona.jp/shop/goods.html


 


 しかし楽しい仕事ばかりだった訳ではなく、この中途半端な田舎に低賃金の肉体労働しか見当たらなかった時期には、昔とった杵柄で家電量販店などを巡回して新製品の販促をしてくる半レギュラー的な仕事を入れたことがある。1件あたり作業見通し1時間で\1,500移動費込みの件数仕事であったので、そこらのボンクラが1時間かかるんやったらワシ15分でやったるさかい貸してみいちゅうたら、なんと◯マ△デンキほどの巨大量販店の該当カテゴリ全部を改装して来い、販促資材は直送してあるからバックヤードで捜せなどという無理難題を数十件送りつけてきよった。しかも完了写真を要求され、あのな、ち・・・ちょっと・・・と言うてる間もなくよーいどん !! なんとか店の担当者数人に泣きついて手伝ってもらって一店舗一日がかりへとへとになって写真とともに報告したら重箱の隅をつつくような不備を指摘されて手直しのために再訪店、私が携帯電話を持っていないので変更事項を連絡出来なかったなどと難癖を付けられて再々訪店と度重なりその\1,500をもらうのに3日がかり・・・いや経費全部自分もちやから遠い店では完全な持ち出しで、結局ほんの3万円そこそこの報酬を得るためにクソ忙しい夏場に一ヶ月近くを棒に振ったことがある。こんなもん携帯電話なんか持ってたら東京からうだくだと遠隔操作されて通話料金全部自分持ちてなことになりかねん。もとはといえば25年前に年功序列の護送船団お家最優先の宮仕えから飛び出して新しい働き方を提示し同志とともに立ち上げた販促会社がもとで全国に広がったフィー


ルド・サービス業がひとつの職業として確立したのであったが、例のコイズミカイカクでそれが「人材派遣業」に統合されやがて価格競争に巻き込まれて創造性はおろか仕事は個々の作業に分断されて作業単価が暴落したのんを横目に見つつ、そこから飛び出して百姓を始めたらもっとカネに困って舞い戻ってみたら居場所すらなくなってたったって感じやね。この20年ほどの間に隙間産業の隙間という隙間は埋め尽くされてぎちぎちになり、隙間ゆえにぬれ手で粟の商売だったはずが石組みの境目の砂をほじくり出して有難がるような始末、しかしこれがフィールド・サービス業界の現状と思い知らされた次第、厳しいというか全く非人間的殺人的な地獄である。二度と戻るまい。しかしこれが労働現場の現状である。


 まあね、エロエロ・・・失礼、いろいろあるけど、当分は何らかの現金収入を他で得て、農業を軸とした自給的生活を持続させていくしか道はないのであるが、そのなかでボチボチ自分の思うような向きに近づけていくこと、その枠組みは出来てるので、自分のこの蒲柳の身体で生きている間にどこまで夢に近づけるか・・・厳しい現実の中でいつまで持ちこたえられるか・・・スロットル全開で補給がいつまで持つか・・・全ては自分の体力と世界の経済情勢にかかっとるわけやね。


 


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posted by jakiswede at 16:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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