春の雑節に「痙膣」・・・失礼、「啓蟄」というのがあるが、これは春の虫が動き出す頃という意味合いである。2013年は3月5日であった。「春の虫」というのは始末に負えないもので、コリがムズムズしてくるとやもたてもたまらず、しかも訳もなく突然に、たってほしいときにはちっともたたないくせに、たってもらってはこまるときにかぎってすぐに・・・失礼、とにかく「啓蟄」を春の風物詩だなどとほざいていられるのは結構なご身分の方々であって、百姓にとっては、菜の花の蕾の出かかった白菜の芯の甘いところを明日にでもちょいと塩もみにして・・・なんて予定していると、その日の夜中のうちに「春の虫」によってこのようにあらかた平らげられるのであって、すなわちこれが「啓蟄」の実態、春の虫の蠢きなのである。
しかしそもそもプロの百姓というものは、薹の立った白菜をいつまでも畑に晒し物にはしないのであって、今時分は既に全ての菜はひっぺがらかして肥料を鋤き込み、ビニールでも被せて太陽熱によって発酵させ、既にほうれん草や水菜小松菜などの早もの野菜の種まきを終え、ものによっては双葉から本葉へと成長しているものであって、季節の移り変わりを愛でているようでは青い。季節をどんどん先取りして先手を打たなければ、一手遅れれば十手ほどの手間が襲いかかってくる農繁期がもうすぐそこまで来ているのである。これが百姓の現実。皆がうらやむ「スローライフ」とやらの現実である。
そんなひとつを切ってみた。種を蒔いたときには確かに白菜だったのであるが、成長してみると分蘖型の新種の青梗菜かと思われるような奇態な構造をしておる。毎日これをちぎっては喰っていて、特に春が近づくにつれて枝もとから新芽が吹き出て、これを生食すると大変美味い。葉はさっと湯がいて醤油を垂らし、茎は炒めると独特の辛味があって病みつき、白菜の甘味など全く感じられない変種になってしまったのだが、これが私にとっては冬の毎日の菜であり、この花が端境期の早春の漬物になる。
大根もさまざまな形のものが出来る。こいつらは薹が立ってくると硬くなったりヘチマみたいにかさかさになるので、瑞々しいうちに笹掻にして干してしまう。
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