列車内では、土井ちゃんは白人のツーリストのグループに捕まって酒を飲まされていた。私はこういう八釜しい奴らが嫌いなのと、彼女にとって旅の良い経験になると思ったので放置して別の空いている席へ移り、砂漠の風景に想いを馳せた。車内では、天井に取り付けられたテレビが、なんとも救いようのないドラマを放映しており、飛行機のように座席のイヤホンで音声を聞く事が出来る。
さて、Buxoroの駅に到着し、念のためUrgenchへ鉄道で行けるかどうかを確かめていたら、「I am the Boss」なんてバッヂをつけた年配の女性に声をかけられた。私は警戒した。執拗に「私を信じろ」と言う。その言葉からして怪しい。BuxoroからUrgenchへ行くツーリスト列車は水曜日にしか運行されておらず、在来便ではNavoyという駅で乗り換えてUrgenchへ行く事も出来るが、短期の旅行で、事情のわからない国で、道連れを伴ってのこの種の冒険は現実的でなかった。この事を確認している間も、女性は傍らにいた。無視して駅前広場に出、Buxoroの街中に出るミニバスを探していると、その女性はツーリスト相場の10分の1でタクシーを捕まえてきた。のみならず、同じ列車で到着した数人のツーリストを引き連れ、既にタクシーに分乗させて我々二人を待っていた。土井ちゃんは、列車から白人とともにウオッカを飲み続けでぐでんぐでんの状態だったので、めんどくさいからそのタクシーに乗った。
タクシーはBuxoroの街を目指した。鉄道駅はBoxoroと名前がついているが、実はKaganという隣町にあり、両者は車で20分程度の距離である。女性はタクシーを自分の家の前に止めさせ、全員を中に導いた。明らかにモグリ営業とわかる民泊である。「私を信用して。荷物を部屋に置いて鍵を締めてね。さあみんなでホテルを探しに行きましょう。そっちの方が良ければ、また帰ってきて荷物を持っていけばいいわ、おカネは要らないから。」ここでも彼女は「Boss」ぶりを発揮し一切を采配し、「客」の全員の希望を聞きながら一軒ずつ見て回った。上の写真はそのうちのひとつ、中世の本物の隊商宿 (caravanserai) をリノベーションしたホテルである。Buxoroの街は、歴史的景観保全地区とそれ以外に分かれており、保全地区は囲い込まれてテーマ・パークのようになっている。その中に、このような歴史的建造物を活用したホテルやレストランや博物館などが至る所にある。しかし、そのいくつかを見せてもらったが、料金が高い割に狭苦しく、話のタネ程度の価値しかない。結局、「客」・・・既に我々は彼女の客になっていた・・・は、全員彼女の民泊に泊まる事にした。「滞在登録」つきでUSD10。安い !! Buxoroはまだシーズン前、立ち寄る観光客なんて、我々を含めて列車から降りた十数人だろう、そのほとんどを自分の宿に引き入れてしまった彼女の手腕は、天晴というより他はない。
暮れなずむBuxoroを散策する。このような壁がたまらん。
夕刻になると人がいなくなる。宿の前の通りを中心部へ向かう。やがて日が落ちる。夜の帳が迫って来る。
さてBuxoroの観光の中心部は小一時間もあれば回ることができる。腹が減ったので、勧められたレストランで飯にする。と、そこに日本人の旅行者が2人いたので同席させてもらった・・・しかし、彼らは何やら憮然としておられるので、いかがなされた ?? と訊いてみると、なんでもいろいろ観光しておすすめの場所へ行ったり買い物をしたりしてみたが不満であると宣う。食い物はまずいし、なにもかも無駄にでかいし、おもしろいものがなにもない、つまらん国だ・・・こいつら私が心に閉じ込め閉じ込め旅を続けておるというのに、言うてはならん事を言うてまいよった。同感よ、たしかに不満や。でもな、それはしゃあないで、こうなったら無理にでも楽しむしかない。
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