2010年コンゴの旅から戻った後、全く出番のないまま放置されてきたDitumbaという太鼓を修復することにした。この太鼓は、コンゴの中南部に居住するルバという民族の伝統楽器であって、先頃流行した「Congotronics」にも取り上げられていた「Mutuasi」という音楽に良く使われる非常に特徴のある太鼓である。
先ずは、皮を交換するために水に浸ける。Ditumbaの本領を発揮させるには、牛皮より羊皮の方が良いのである。一昼夜ほど浸けておくと、ほどよく皮が水を含んで膨張し、剥がしやすくなる。剥がした皮は、板などに挟んでおいて平板に乾かす。
開けてびっくり。おいおいキンゴロー君ちょっと仕事が雑すぎやしませんかね・・・
http://jakiswede.seesaa.net/article/182722760.html
まあ今さら言うてもしゃないしちょっと鑿で修正・・・
日本はブラジル音楽に使われるパンデイロも盛んだし、西アフリカの音楽で使われるジェンベも盛んであるので、このような薄い羊皮のディスクは容易に手に入る。薄い皮なので数時間の浸水で充分に柔らかくなる。
Ditumbaは、基本的に低い音調を使うので、皮はダルンダルンに張る。釘付けで充分。先ず一点を釘で仮止めし、差し渡し方向に引っ張って仮止め、それに直行する方向を引っ張って仮止め、それを二等分する方向を引っ張って仮止め、それを二等分する方向を引っ張って仮止め、それを二等分する方向を引っ張って仮止め、それを二等分する方向を引っ張って仮止め、それを二等分する方向を引っ張って仮止め・・・を繰り返していって全体を仮止めして皮を陰干しする。張力がある程度出ていれば、後で調整できるので釘を打ち込んで余分の皮はカッターで切る。ジェンベのように、ひもで縛り上げてカンカンに張るわけでないので、先ず失敗することはない。
さてここまで読んできてもらって、太鼓を叩ける人でこれを知らない人は、おそらく使い方がわからないに違いない。
というのは、このままでは鳴らないからである。全体としては、このようなゴブレット型の太鼓であるが、底は開いていない。しかも、どてっ腹゜に穴が開いている。さらに、皮はダルンダルンに張ってあるので、皮の振動が塞がれた底で殺され、更に横に空気が抜けて倍音も通らない。このままでは、全く使えないのである。
これを使うためには、演奏の都度チューニングをしなければならない。その詳細について述べる。これは、ルバの太鼓叩きならば誰でも知っているが、世界中の文献を当たってもこの太鼓の使い方に関する記述にはめぐり逢わなかったので、おそらくほとんど知られていない。興味のある人は心して読むように。皮の中心に粘土を小豆大に丸めたものを押し付ける。農作業とバイトで手荒れのひどい私は、これ以上きたなくなるとお嫁にイケなくなるので、このようなサージカル・グローブをハメて作業することにしている。小豆大を作っては押し付け作ってはそのまわりに押し付け作っては作ってはそのまわりに押りに作っし付押しってはけてはわりそのまわ押し付けり作わりりに押しに押しにのそわそのまわ付のまけ作てまはっ付作ってけそはそのま付けそのまわりに押しに押し付け作っては付け作っては押し付け少しずつ円を大きくして行く。このとき注意深く太鼓を叩いていくと、だんだん音程が下がり、芯音が出て倍音が引っ込んで行く。
最終的には、だいたいこのくらいまで粘土を貼る。
次に、どてっ腹゜の穴の周りに粘土をつけ、このようなボトルの口を切ったものなどを捜してきて穴に密着させる。キンゴロー君なかなか丁度ええもんを捜してきてくれた・・・
このように、スーパーのレジ袋などで良いから、適当に厚めで、ちゃらちゃら音のする膜を切ってボトルの口でこのように押さえ込む。皮を叩きながら、この膜を少しずつ指で押して弛ませていくと、やがてこの膜が激しく振動しはじめる。この緩さ加減を探し当てるのがDitumbaを演奏する極意である。言葉ではわかるまいので、この動画を見ていただこう。一目瞭然。
緩く貼った皮というものは、演奏に熱が入れば入るほど音程が上がる。また、粘土などの練り物は、時間が経てば乾いて硬くなる。この膜も、振動するうちにやがて最適なテンションを失う。これらの要因によって、皮の湿度の管理とチューニングはその都度行わねばならないし、粘土は演奏のたびに張り替えなければならないし、膜も常に最適な張力を維持できるように容易に取り外し出来る状態にしておかなければならない。しかし、この太鼓を博物館や文献などで見るとき、これらのものは取り外されて保管してあるから、以上のような理解がなければ正しい使い方がわからないのである。「Congotronics」に聴かれるあの「ビビリ音」には、実はこのような秘密が隠されていた・・・しかしこれに関心のある日本人など・・・ちなみにこの膜については、古くはある種の蜘蛛の繭を使ったということである。
常に着脱し、膜面に一定の張力を維持するためには、日々不断の努力が欠かせない。このようなボトルが落ちていれば拾ってきて口を切り取って保管しておくのである。
音は悪いが、まあこんなのである。
これはDitumbaを手に入れる前に代用として使っていたもので、インドネシア製の安価なジェンベを改造して作った疑似Ditumbaである。これも、膜面はテープ貼りにして着脱と張力の調整を可能にしている。ただし、これを持って東京在住のコンゴ人パーカッショニストの師匠、ルバ人のMukuna Tshakatumba師に訊ねたところ、「音が抜け過ぎていかん」と言われた。ジェンベであるから底は開放されており、打面に粘土を貼る必要はない。しかし音は伸びやかに過ぎるというのである。どうやらここに彼らの「音」に対する美学を見うるのであろう、その切羽詰まった苦しげなビビリ音は、厳しい自然を生きるルバの人たちの心意気を現わしているのかも知れない。
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