気に入った音のするタンバリンを自作してみようと思い立った。改造のベースは、オークションで2個千円で手に入れた学校教材用の10インチのフレームドラムである。先ずはこれにジングルを取り付ける穴を開ける。
ジングルは、0.3ミリの真鍮板にケガキとコンパスで円を描き、鋏で切って作る。
今回は焼き入れ焼き戻しをしてみたが、別段の効果は見られなかった。
小さなシンバルのカップの裏を利用して膨らみをつけ、エッジを叩いて反りを出していく。こうすることによってピッチが下がり、好みの音に近づいていく。
取り付けにはかくし釘を使う。フレームが割れてはいけないので、必ず下穴を開け、慎重に打ち込む。
全体を組み上げる。チューニングの出来るタンバリンは、市販されているものは高価か、あるいはジングルの音色があまりにも陳腐であって、真鍮の持つ憂いに満ちた深い音色は望み得べくもない。タンバリンという楽器は、往々にしてちゃらかしい場を盛り上げるものと思われがちだが、実は憂いに満ちたものだと思っている。だから、音程を調節できて、なおかつダークな音色のジングルを備えたものが欲しかった。でき上がったものは、初めて作ったにしては満足の行く結果であった。ジングルは、チャラチャラはなく、ガシャガシャと野趣に満ちている。学校教材用のプラスチック・ヘッドの安っぽい音色もまた哀愁をかき立てて心地よい。10インチ定格なので、気が変わればパンデイロのヘッドと交換しても良いが、フレームのエッジが研がれていないので、プラスチックより分厚い羊皮ヘッドでは、10インチではサスティーンが伸びず、ブンブンした音になる。フレームのエッジを立てる加工をするか、プラスチックで我慢するか、取りあえず試作品としては教えられるところの多いものであった。
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