2014年10月14日

20141008 eclipse lunar

 皆既月食を観察した。暑くもなく寒くもなく、空は澄みきって冴え渡り、体長も気分もすこぶる良かったので、ベランダにビーチ・チェアを持ち出して、背もたれに首を載せて、だらっと延びきった格好で、ぽかんと口まで開けて月を見ていた。見ながらぼんやり考えた。欠けていくときは疑問に思わなかったのだが、満ちていくとき、なぜ月は西 (右) に動いているのに、東側から満ちていくのだろう・・・と。皆既食の間は、月の上半分がぼんやりと明るかった。これはおそらく、地球の影が月よりも大きいので、月は地球の影の上の方に偏って通過しているものであろう・・・だんだん月の左側が明るくなってきて影から抜ける。しかし、月は西 (右) に動いているのに。本来ならば、右へ動いているものならば、右から抜けていきそうなものだが・・・あ・・・そうか・・・月が西へ動くのは地球が自転しているからであって、地球の自転と月食は関係ないわな・・・とすると・・・などと、月を見ながらいろいろ考え込んでしまったのだ。

 太陽と地球と月が、ほぼ一直線に並ぶので月食は起る。たまたまその日の日本は夜だったので月食が観測出来た。地球は太陽の周りを北極側から見て反時計回りに公転しているのだが、約365日かけて一周するのに対して、月は、定義の仕方にもよるが、地球の周りを反時計回りに27-28日くらいで公転している。つまり角速度にすると月の方が遙かに速いから、地球から見て地球の影からその左側が先に出てくる。

 としても、欠けてくる角度と満ちていく角度が大きく違うように見えるのはなぜだろう・・・月は、斜め左下から欠けてゆき、真右から満ちて来るように見えた。本来ならば、水平線と並行に満ち欠けが起るだろうに・・・これも考えた。もし、そのとき私が月を真上に見る場所にいたとしたら・・・つまり、日本から遙か南東の赤道直下のとある場所にいたなら、地球の影は、地平線と並行に動くのが観測出来たであろう。しかし、それを差し引いても、わずかに角度が違う。もしかしたら、それは地球の自転軸が、公転軌道に対して23度ほど傾いているからではないか。つまり、月食の起っている数時間の間に、地球は公転軌道に沿って、反時計回りに僅かに動くはずだ。しかし月は、地球の公転軌道面に対して斜め下に動く事になるので、欠けるときと満ちるときの角度が違って見えたのではないか・・・もちろんこれは月を見ながらぼーっと考えた事である。

 さらに、そもそもなぜ月食は毎月起らないのか・・・地軸が傾いていて、月は地球の赤道とほぼ同心円上を自転しているのだから、太陽、地球、月がほぼ一直線に並ぶためには、月の公転軌道と地球の公転軌道面との接点が、太陽と地球の延長線上に非常に近くなる満月の時、すなわち春分か秋分に近い満月の時にしか起り得ないからではないか・・・・いやいや、真夏や真冬に月食が起って、観測しようとしても蚊や寒さに耐えきれずにやめてしまった事が多い・・・ということは、月の公転軌道は、地球の赤道ではなく、黄道の同心円に近いのではないか、しかしそれからも僅かにずれているので起ったり起らなかったりするのではないか。もし、月の位置に巨大なスクリーンがあれば、月食は毎月起るはずだ。

 などとつらつら考えているうちに、地球の影が円く実体をもって月の表面に現れた。そしてそれは右へずれていく。その影の見えている辺りはアメリカだろうかブラジルだろうか・・・などと考える。月は斜めに動いていく。地球の地軸はずれている。自分はその北半球のある場所にいて、月を斜め上に見上げているのだが、実はそうではなく、自分の背後に、巨大な水平の輪、すなわち地球の公転軌道の輪があって・・・自分はその上の地球の斜め上にいてその軌道の外側を見ているのであって、公転軌道からすれば斜めになった地面から斜めに身を横たえて左足の下から上がってきた月を眺めている・・・そう思った瞬間の事である。ほんの一瞬の事だが、地球の公転軌道と太陽の位置、地球の自転と月の位置を、理論ではなく感覚として、三次元的に瞬時にイメージする事が出来た。しかしその次の瞬間、太陽系自体も銀河系の中で公転しているわけだから、地球の公転軌道自体も天の川に対してずれている・・・と思いが至った瞬間、そのイメージがはじけ飛んでしまったのである。直観とはこのような感覚の事をいうのであろうか・・・


 http://www.youtube.com/watch?v=R_wlgHKe0Q4


posted by jakiswede at 23:48| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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