2015年04月03日

20150226 Skah Shah

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Skah Shah #1: Message (LP, Rotel Records/ P-Vine, AC-10004, 1978, JP)

Manman   
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Message   
Yaveh   
Zanmi

 またしてもRotel RecordsのリリースをP-Vineが日本盤で出してます。この価値を認めて自国で生産したのは日本だけです。その見識にただただ脱帽。私にとってKompaの究極は「Les Frères Déjean: Bouki ac Malice」とこれの2作です。素晴らしいです。「Les Frères Déjean」がゴリゴリした感触であるのに対して、こちらは同じだけのアクの強さを持ちながら、より洗練されていて優美でゴージャス。それは彼等が1967年結成の「Les Shleu-Shleu」を母体とするバンドだったからかも知れません。ちなみにドラマーのUlrick "Touco" Bouziは、後に「Dixie Band」を結成します。このジャケットからは想像もつかない過激さ、奇想天外さ、もうなんといいますか、突然なにが飛び出してくるかホンマにわからんのですよ。よくもまあ次から次へと、抱腹絶倒のエピソードのつづら折りを聴くような、そんな感じです。それが「Les Shleu-Shleu」譲りの鉄壁のオーケストレイションでもって、完璧なアレンジで加速しながらガツーンと大きく打ち出したと思ったらそこは断崖絶壁で、ヴォーカリストがだけが虚空に放擲されて、一瞬にして足許から消えたリズム・セクションを奈落の底に見ながら飛んで行く感覚。当のバッキングはというと、核があって自由があるのではなく、自由と自由のせめぎ合いの中で核が産まれてくるような・・・いや、わかりにくいな・・・要するにリズムも何もかも一気に抜けてしまって、あっという間に曲が浮遊するんですよね。ガイド・リズムも何もないまま、演奏は見事に着地して同じテンポで走り続ける。しいていえば、ある一瞬はカウベルとタムタムが、別の一瞬はコンガが、という具合にリズムのアクセントさえタライ回し、本来リズムをキープすべきドラマーは完全にどっか遊びに行ってます。しかし伴奏者全員がほたえ散らかしながらもアタマの隅っこで同じクロックがセコンド打ち続けていて、小節の頭でガツーンとまた分厚いテーマを入れはるんですわ。もう天国。こんなにも自由な演奏ね、巧いだけじゃ絶対出来ません。これを同時代で体験出来たことを音楽の神に感謝します。もうサイコーーーッ !!
 しかし、このアルバムは恐らく彼等とって特異なものだったのであろう。この感動を胸に彼等の他の作品をあたった結果、これほどのやんちゃぶりは拝聴出来なかったからである。しかし、「Les Shleu-Shleu」でさえ当時の常識から逸脱したバンドであったし、「Skah Shah #1」もその音楽的雑食性は他を寄せ付けないものがある。彼等の他のアルバムは、そのゴージャスさと複雑なアレンジ、分厚いコクと味わいが、より正統的に表出されていて、それはそれでものすごく良いのである。ただし1980年代後半になると、その醍醐味は薄れる。これは「Dixie Band」も同じ。


posted by jakiswede at 00:20| Comment(0) | 変態的音楽遍歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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