Kali: Racines (LP, Hibiscus Records, HR88020, 1989, FR)
Mwen Desan'n St. Piè
Manicou volan
Abandon
Conversation
Vlopé Mwen Doudou
La Fèt St. Piè
La Vi Artis Rèd
Ralé ralé
Racines
Kali・・・グループ名のような印象を受けるが、Martinique出身のJean-Marque Monnervilleという作曲家・歌手・バンジョーの名手である。1956年生まれとあるので、ま、私の6つ年上ですな。そんなこたどーでもええし、別に何か書く必要があるかちゅーと、ないんですよねこれが。とにかく写真のように理屈抜きでほんわかしていて楽しくて和める。繊細で美しくて平和。素朴なカリブのトロピカルな音楽として、恐らく最高の出来ではないかと思う。タイトルの"Racines"とは「根っこ (roots) 」という意味だが、先述したようにカリブ海の先住民族は絶滅してしまっているので、そもそもカリブのルーツ・ミュージックという意味ではない。しかし、かといってハイチのVoodooから産まれた宗教音楽であるRaraから現代に派生したMizik Rasin (Musique Racine = Roots Music) とも関係ない。これは、カリブの音楽がZoukに席巻されてその陳腐さが露呈された時期に、一種の回帰運動のようにして現れた。つまり、Compas・Cadance・Calypsoの時代をも飛び越えて、彼等のポップ・ミュージックの源泉であるBeguineやValseに戻ろうという意図と思われる。写真やクレオールの意味が解らない私にとっては、外観的な感触で判断する他はないのであるが、もちろん彼等の歴史が平和であったのではなく、むしろ平和とはほど遠い運命を負わされてきたからこそ出来る、幸せの音楽を集めて残して行こうという彼の意思が現れたものであろう。同じタイトルで2014年現在第5集まで出ており、彼には他にも多くの作品がある。CD化も進められており、入手は困難ではないので、良質なカリブの音楽を、良い録音状態で鑑賞出来る例として推薦したい。
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