「Afrikan Festa Kansai 2015」・・・ううん・・・考え込んでしまった・・・まったく、隔世の感がある。ひとつは、なんと関西にアフリカ人の多いことか、そしてまた、日本人との夫婦がなんと多いことか、当然のことながら、黒人と日本人のハーフもまた、なんと多いことか。いまひとつは、なんと出演した日本人アーティストがアフリカ人の格好をしてアフリカ人のようにふるまっていることか、そして何故そうするのか、またそうしている自分になんの違和感も感じないのだろうか・・・まったく、私の理解を越えている。そしてそれが当たり前に存在することに、まさに隔世の感を禁じ得ないのだ。日本とアフリカが親しくなることはとても良いことだ、とは思う。しかし拭えぬこの違和感は、一体なんだろう・・・
そこには、恐らくこのイベントに出演した殆ど全ての人たちと、私との間に、音楽的スタンスの根本的な違いがあるからだと思う。解りやすく言えば、アフリカ音楽だから演奏しているのか、それとも、良いと思った音楽がアフリカ音楽だったから演奏しているのか、これは根本的に異なるものであるが、ここで持論を展開することは、あるいはこのイベントに関わった人たちに不快感を与えるかも知れないのでやめよう。それが目的ではない。私が言いたいのは、音楽というものは自己表現の手段であって、それは心の内なる叫びに従って行動することだと思う。日本に住み、日本語を話し、日本のものを食って生活している日本人の自己表現としての音楽が、どこか別の国や民族の既成の音楽の形として現れることなど、本当はあり得ないと思うのだ。だから、なんの違和感もなく、アフリカ人の格好をしてアフリカ音楽を演奏している (ように見える) 彼等に、理解を越えた違和感を感じざるを得なかった。これは私の率直な感想であって、価値観の違いである。このイベントの主旨や関係者に対する批判ではない。そして、私も出演してアフリカの楽器を演奏した。私は共演者のやっている音楽のことを全く知らないのだけれど、楽曲のリズムの中に共感出来る部分があって、使用した楽器の音色を用いて自己表現として面白く成り立つから演奏したのである。このセットで演奏を重ねて行けば、かなり面白いことが出来るという手応えがある。「アフリカ的なもの」という漠然たる帰結点があって、そこへ向かって進んで行く行き方は、「自己」の外側に究極的な目的を置くものであって、音楽を自己表現の手段と考える価値観とは異なる。
さて、私の過去に音楽活動を通じて知り合ったアフリカに関係する人たちに殆ど会わなかったこともまた、隔世の感を強くするものであった。つまり、私は全く異なる人間関係の中に身を置いたのである。若い頃から自己表現としての音楽のひとつであるロックを聴いて演奏し、それを突き破ってレゲエやラテンからアフリカへ触手を伸ばし、表現のアイディアだけでなく、エモーションやスピリットや・・・要するにさまざまに吸収しまくった挙句に体の内から湧き上がってくるリズムを表現することに余念が無かった当時のミュージシャンたちには、一人も会わなかったのである。まさに「隔世」・・・それだけのことだ。唯一、懐かしく再会したのは、音を作ってくれたチーフ・オペレータである。若い頃、私は「音」というものがどのように作られるのかに関心があって、とある師匠を頼って音響・舞台・照明の仕事の世界に飛び込んだのだが、結局理想と現実を整合させることが出来ずに挫折した。多くの修羅場を経験し、地獄を見た。その頃、やはりこの世界に飛び込んできた人があった。彼はやがて師匠も認める非常に数少ないオペレータになった。その彼と、たぶん十なん年ぶりに再会出来たというわけだ。同じ師匠のもとで修業した身である。仕込み方、動き方、トラブルや変更に対する処し方の全てが納得のいくものであった。無理難題ともいえる不当な要求や変更にさえ、穏やかに冷静に、できる限りの対処をする彼あってこそ、当日の段取りは成功したと言っても決して過言ではない。また、出演者全員が彼を良く知っていて、彼の指示に喜んで従ったからこそ混乱は避けられた。通常では、あれだけの出演者を仕切って、ほぼタイムテーブル通りに運営することなど、ほとんど不可能に近い。しかしそれが出来たのは、ほぼ一人でイベントを企画し、実際の制作をして出演までこなした主催者の意思の許に、参加した人が心を合わせることが出来たからだろう。そのような温かい一体感が、確かにあの場所にはあった。このように人と温かく繋がるという経験は、私のような鼻っ柱゜の強いワガママおやじにはなかなか出来ないことである。みなさん本当にありがとう。そしてお疲れさまでした。
https://www.facebook.com/events/796706627051641/
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