2015年12月31日

20151218 Sexteto Nacional

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Sexteto Nacional: Como Se Baila El "Son" (LP, Bravo, BR-104, 1950s?, Cuba)

Esas No Son Cubanas
Suavecito
Alma Guajira
Castigadora
Echale Salsita

Mayeya No Juegues Con Los Santos
El Bardo
Lejana Campiña
Canta La Vueltabajara
El Guanajo Relleno

 おそらくコンピレイションである。カリブ海の音楽を広く紹介するためのシリーズ物レーベルが「Bravo」であって、レコードの裏ジャケットに101から135までの作品が列挙されており、そのなかで「Sexteto Nacional」を紹介している一枚。「Sexteto Nacional」(6人) あるいは「Septeto Nacional」(7人) は、Ignacio Piñeiro (1888-1969) によって1927年に結成されたキューバにおける最も重要なバンドのひとつである。Ignacio Piñeiroは、カリブの島の歌謡のひとつだった「Son」に、トランペットとパーカッションとギターやベースなどの弦楽器、所謂ジャズ編成による伴奏のスタイルを整理して、形式として確立したといわれている。それはArsenio Rodriguezによる、より躍動的なキューバ音楽の次の時代「Son Montuno」へと繋がる基礎を作った。そしてそれらはキューバ革命によってオリジンから切り離されたアメリカで、ジャズやロックその他様々なブラック・ミュージックなどと融合して「Salsa」を産むことになる。
 「Sexteto (Septeto) Nacional」の録音は、現在では様々に編集されたCDに分散している。このLPに収められている曲は、主に再結成後の1950年代に録音されたものが中心で非常に音質が良い。「歴史的録音」といわれるものにありがちなことだが、1940年代以前の録音のものはほとんど音質が悪く、例えば「Son」のスタンダード曲を多く産みだした「Trio Matamoros」の録音は、躍動の空気が当時の磁性体のレンジの狭さに押し込められて、息苦しささえ感じられる。個人的には好きな録音も多いのだが、初めて聴く人には退屈な印象を与えかねないので割愛した。そこから演奏の良さを聞き分けるには、かなりの慣れが必要なのである。「Buena Vista…」以下一連のシリーズは、全盛期の空気を今に甦らせたいという意図で企画されたものだが、当時と今とでは音楽を取り巻く空気がまるで違っているので、録音された音質がいくら良くても、全盛期に鳴り響いていた音を感じとることは難しい。そういう点で、ここに収められた音は、ちょうど全盛期の彼等の蜷局を巻くような黒いうねり、切ないまでに繰り返されるキューバ的なリフレインが現実のものであった間に、録音技術の向上が追いついて捉えられた名録音といえるだろう。このあとキューバに革命が起ってアメリカとは国交断絶、殆どのキューバ人ミュージシャンはアメリカを去って、アメリカに於ける「Son」は低迷を余儀なくされる。そういう意味で、実に幸運なタイミングで録音されたこの曲集は、「Son」を味わうには格好の内容となっている。このアルバムそのものは入手困難だが、曲名から検索して復刻音源にあたってもらいたい。そうすれば、より深いキューバ音楽の魅力のひとつに出会えることは間違いない。
posted by jakiswede at 14:30| Comment(0) | 変態的音楽遍歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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