2015年12月31日

20151218 NG La Banda

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NG La Banda: En La Calle (CD, Qbadisc, QB 9002, 1992, US)

La Expresiva'
Los Sitios Enteros"   
Necesito Una Amiga'
La Pritesta De Los Chivos    '
To´el Mundo E´ Bueno Camará    '
Un Tipo Como Yo   
Por Que Tu Sufres Con Lo Que Yo Gozo"
Lo Que Siento Es Lo Ley'
No Se Puede Tapar El Sol"

 1992年の事、作家の村上龍氏がプロデュースして日本に紹介したことで日本で知られるようになったキューバのバンド、「NG」とはNueva Generationの略である。日本語では「エネヘ・ラ・バンダ」と紹介されている。1989年にHavanaでフルート奏者のJosé Luis "El Tosco" Cortésを中心に結成された。彼はそれ以前に、いわばキューバン・フュージョンともいうべき「Irakele」や「Los Van Van」に在籍しており、「Son」を中心としたキューバ音楽に様々な変革をもたらした一連の流れに位置づけられる。「Son」が、歌とトランペット、トレス (あるいはギター) とボンゴという、シンプルな編成で演奏されるのが基本であるのに対して、ニューヨーク・サルサの影響から、様々なオーケストレイションを施すようになり、あるいはソウル的に、又はロック的に、多彩な表現に対応できる形に変わって行った経緯がある。これらを総称して「キューバン・サルサ」ということもある。これらを彼らは「Nueva Generation」(新しい世代) と位置づけた。
 音であるが、非常にモダンな中にもキューバ風のマンボのニュアンスの色濃い、ゴージャスで彫りの深い演奏である。当時ニューヨーク・サルサでもドラムセットが盛んに用いられ、ベースの他にアタックの効いた重低音が喜ばれる傾向にあったが、「NG La Banda」の音は当初からそんなロック的なニュアンスが多く取り入れられている。サルサにドラムを入れるというのは案外難しく、時間を等間隔にぶった切って行く感覚で演奏するドラムを、ルンバ・クラーベの螺旋状に回って行くリズム感覚のなかに、どのように融合させるかということで多くの試行錯誤がなされてきた。ひとつの答えは、ハイチのコンパやマルチニークのズークのように、キックを等間隔で入れて高音でルンバ・クラーベを出す方法、あるいはサンバ・エンヘードのようにざらついたスネアの音色を柔らかく使って、アクセントでルンバ・クラーベを出す方法など、いろいろあったが、いずれもドラムと一線を画してキックの入らない特有の軽さを身上としてきたサルサの嗜好性のなかに、なかなか美味く溶け込まなかったのである。そこで試みられるようになったのが、拍子の頭を外して入れるベース・ラインのアクセントに沿ってキックを入れ、スネアを極めてタイトにミニマルに入れる方法であった。しかしこれが技術的になかなか難しい。なぜなら、右利きの場合、右足の裏拍と左手の裏拍が交錯するからである。なかなか両手両足のスムースな流れを作ることが出来ない。しかし一旦慣れてしまえば、このテンションの効いた、いわばひねくれた演奏方法は、これらのやや屈折した音楽性にかなりしっくりする。そんな緊張感が全編を覆う良い作品である。
 「NG La Banda: En La Calle」というタイトルは、実は彼らの1989年のデビュー盤 (LP, Egrem, LDS-4656, 1989, Cuba) と、その後に録りためられていた数曲を合わせてCD化したもので、上記曲タイトルの末尾につけた「'」印がデビュー盤LPに収録されていた曲である。このCDの曲名表記のうち2曲目の"Los Sitios Enteros"は、CDでは単数形になっているが、文法上複数が正しく、他の収録盤でも複数形になっていることから複数形で表記した。またCDのスリーブの裏側は、デビューLPのジャケットがあしらわれている。「NG」のバックの地色が本来緑色であるという違いはあるが・・・このLPからはCD化に際して"Que Viva Changó"という曲が外されている。また、同年に日本で発売された村上龍氏のプロデュース・アルバム「NG La Banda: Nueva Generation (CD, Kitty Records, KTCR-1182, 1992, Japan) 」とは「"」印の3曲が重複している。この日本盤CDは、これら3曲以外はかなりラップ調で、ルンバよりも8ビート系のロック的な感覚が前面に押し出されている。同年に行われた日本公演でも、大半の曲がそんな感じであったことを記憶している。「キューバン・サルサ」のひとつの時代を画したバンドであり、現在も活動中で村上龍氏もプロデュースを続けておられるようである。

posted by jakiswede at 14:32| Comment(0) | 変態的音楽遍歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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