2015年12月31日

20151218 Buena Vista

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Buena Vista Social Club (CD, Nonesuch, 79478-2, 1997, US)

Chan Chan
De Camino A La Vereda
El Cuarto De Tula
Pueblo Nuevo
Dos Gardenias
¿Y Tú Qué Has Hecho?
Veinte Años
El Carretero
Candela
Amor De Loca Juventud
Orgullecida
Murmullo
Buena Vista Social Club
La Bayames

 やはりキューバ音楽を語るにあたってこの作品に言及しないわけにはいかんでしょう。Ry Cooderとその息子がキューバに渡り、現地で地道に活動を続けていた老ミュージシャンたちと知りあってセッションを重ねて仕上げた企画作品。アルバムは世界的に大ヒットし、ワールド・ツアーが行われ、ドキュメンタリー映画も制作され、参加ミュージシャン個人のアルバムが同クラブ名義で続々と発売されて、一大ムーヴメントを引き起こした。しかしメンバーの半数は既に亡く、残ったメンバーを集めてなおもソロ活動を続ける様子は痛々しくもある。
 一連の同クラブの作品のうち端緒となったこの作品と、Ibrahim Ferrerのソロが良い。個人をフィーチャーしたアルバムは、やはり主役を引き立てることに主眼が置かれているので、もちろんそれはそれで良いのだが、それよりもっとざっくばらんに様々な演奏が聞ける本作の法が内容が豊かだ。おそらく初めて国際的な場に立つことへの戸惑いや悦び、意気込みや実験的試みが随所に散見されてとても面白い。もちろん演奏されているのは、「Son」全盛期のキューバ伝統的な音楽形式を尊重したもの、María Teresa Veraの項でも紹介した「Nueva Trova」の名曲中の名曲 "Veinte Años" のように、もっと古くから歌い継がれているものもある。アルバムのクライマックスは、その"Veinte Años" 以下4曲であろう。特に古き良き「Son」のアフリカン・オリジンな空気感が色濃く滲み出た名曲 "El Carretero" は、まさに新録だからこそ出来た歴史的名演、往々にしてトランペット・トレス・ボンゴの甲高い音が交錯するキューバ音楽だが、もっと低くて深く豊かな情感を持つことがしみじみと感じられる。この曲は、後にコンゴの老ミュージシャンたちを集めて企画された「Kekele」も採り上げて演奏しているが、ルンバ・クラーベを反転する際の挿入節の使い方、というかキューバでは挿入するのだがコンゴでは削除するのが美的感覚に合う、という音楽的美意識の違いまでが映し出されて、全く奥深い名曲である。もうちょいいろんなん持ってるけど、紹介しておきたいと思うのんはこんくらいかな、ほな隣のPuerto-Ricoからサルサへ参りましょか・・・

posted by jakiswede at 14:34| Comment(0) | 変態的音楽遍歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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