2015年12月31日

20151218 Namorados Caribe

KIF_1710.JPG

Orquestra Namorados do Caribe e sua Música Maravilhosa (LP, RCA Victor, BBL-1370, 1966, Brazil)

Girl (Lennon-McCartney)
Thunderball (Barry-Black)
Lara's Theme (M. Jarre)
Nessuno mi può Giudicare (Panzeri-Pace-Beretta-DelPrete)
Una Casa in Cima al Mondo (Donaggio-Pallavicini)
Michelle (Lennon-McCartney)

Day Tripper (Lennon-McCartney)
Moment to Moment (Johnny Mercer-Henry Mancini)
J'aime (S. Adamo)
Aline (Christophe)
Dio, Come ti amo (D. Modugno)
Yesterday (Lennon-McCartney)

 名前に「カリブの・・・」とあるがブラジルのグループである。これぞまさに究極のイージー・リスニングといえる演奏で、ロックでさえもラテン・テイストに仕上げてしまう熟練の演奏は、音楽という音楽の地獄を舐め尽くした後に訪れる穏やかな笑みのようですらある。1966年というと、ブラジルでは軍事政権が強圧的になりはじめた頃であり、第二次大戦以降比較的リベラルな政治が続いていたものを、キューバ危機で飼い犬に手を噛まれたかのように思ったアメリカが、ときの軍部にテコ入れして傀儡政権を樹立させ、広大な南米大陸に於ける利権を確保しようとした。クーデターによって政権を握った軍部は、その後国民に対する弾圧を強め、民主主義が大きく制限された。音楽シーンでは、既にBossa Novaはマンネリ化しつつあって次のステージへ脱皮しようとしていた。そのひとつがトロピカリア運動であり、それは反戦平和と民主化運動へと繋がった。そして当然、軍部はこれを弾圧し、多くのミュージシャンやアーティストが亡命した。他の国でも似たような状況だった。アメリカは、自らの裏庭と見做しているカリブ海から南米大陸をより自らの勢力下に引き締めておきたいという外交政策の許、その利権に甘んじようとした各国で軍事政権がこれを牛耳り、民衆がそれに反発し、それを政権が弾圧し、民衆が過激主義に走るということを繰り返して、様々な不幸が沸き起こった。ブラジル・ペルー・チリ・アルゼンチン・コロンビア・ベネスエラ・ニカラグア・エルサルバドル・メキシコ・・・要するにカリブ海から南米大陸の全てである。どこかの国もそうならんことを祈りますが、そんななかでさえ、このような幸せな音楽が演奏され、録音され、楽しまれてきた。音楽とはそういうもんかも知れない。現在のブラジルでは、そのような歴史からか、非常に反米感情が強く、果たしてこのような音楽が可能かどうかは解らない。この録音は、ブラジル人たちが、今のように反米感情を抱く以前の、幸せなバランス感覚の中で実現したものなのかも知れない。とすれば、アメリカも貴重な知的財産から反感を喰らったもんだ。そろそろ黙って人々の声に耳を傾けたらどうだ。
posted by jakiswede at 14:36| Comment(0) | 変態的音楽遍歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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