2016年02月10日

20160117 せやからいうてるやんか

 マイナンバーの件その後、会社への提出期限直前になっても未提出なのは、ついに私だけとなり、不思議なことに私には直接のアプローチがなにもないまま、なぜか上司が本社から問い詰められているらしい。マイナンバーの通知書は、年明け早々に郵便局に厳に留め置いてもらうよう念押しした上で受け取りに行った。会社には、複数のルートを通じて前述の要望を伝えてあるが、依然として返事はない。そんなことより驚かされたのは、結局のところ6千人を超える従業員全員が、なんの疑問や意見を表明することなく、一人残らず昨年末までに個人番号の提出を完了したということだ。誰一人として、何らかの行動を起こした者はいない。国の制度がどう、会社の対応がどう、というより、このことが一番の驚きだった。職場で提出を見合わせていた何人かの仲間に訊いてみると、全員が直接提出を促されて、特段意思表示もしないままに応じたという。不安を感じていたはずなのに、何も確認しなかったのだ。「そこまでやる勇気がなかった」と茶を濁しよる。そんなに勇気のいることか ?? そんなに会社が恐いのか ?? 彼らは、一体何に怯えているのだろう ?? そして、私にはなぜ直接何も言ってこないのだろう ?? 上司は、この件で随分疲れてしまっているようだ。なぜ彼が疲れなければならないのだろう ?? なぜ彼は、本社の問題であるにもかかわらず、それを自分で解決しようとするのだろう ?? 提出期限を数日後に控えたある日、私は上司に訊ねてみた。「質問したのに回答がないが、このまま期限を過ぎたらどうすんですか ?? 」「わからない」おまえなあ、わからんじゃないだろうよ、問いあわせろよと思ったが、そんな勇気はないみたいだ。仕方がないので、横のつながりを通じて総務に訊いてもらったところ、なんと、提出期限を過ぎた従業員への対処方法は、何も決まっていないそうだ。つまり、期限より前に提出された者のデータだけでシステムが構築される。そこに漏れた者は、たかだかどこの馬の骨ともわからん頑固で初老のバイト一匹だけだ。次の契約更新で落としてしまえばそれも消える。そうして会社は動く。まったく残念だが仕方がない。本社から何の回答もないまま、私は個人番号の提出書類に、件の要望書を添えて、一式を提出した。上司の安堵の表情が印象深かった。なんと従順な仔羊め。

 番号を提出しなければ次回の契約更新はできないと伝えられていた。それに対して私は、番号の提出いかんを理由とした雇い止めは、労働基準法に抵触する可能性があるから、しかるべき機関に相談すると答えておいた。このようなケースにおける雇用者側の一般的な戦略は、争点をずらすことである。つまり、雇い止めの原因は、番号の提出いかんではなく、職能や勤務態度その他総合的判断によるという人事上の秘密に持ち込むことだ。私は実際、そんなことはどうでも良い。給料をもらって仕事をしている以上、私は契約時間内は一生懸命働いて皆様のお役に立っているはずだ。それは誰もが認めている。賃金以上の働きをしているはずだ。私はそのことをむしろ喜んでいる。ひとり農作業の多い私にとって、社会性を維持するための貴重な時間だからだ。契約とは、双方の条件が折り合わなければ成立しない。だから折り合えないものは折り合えないと言えば良いのだ。そこに恣意的な判断や、論理のすり替えを持ち込むから腹が立つ。私は、できることをできないと言ったり、できないことをできると言ったことは一度もない。できることは全てやったし、できないことはできないとはっきり述べている。それが不満なら、双方協議のうえ改善を図り、それでも不調に終わるのならば破談も仕方がない。それが社会というものだと、引きこもりで一人百姓で頑固で初老で変態で独身でどこの馬の骨ともわからんヒト科のオスの一匹に過ぎない私でも理解できる。ところが、何と先日本社から労働契約の更新手続書類が送られてきた。上司に訊くと、「なんでもええからハンコついて送り返してまえ」と言うんでそうした。総務と人事で横の情報共有ができてないのだ。流石ブラック企業。これで程なく消えるはずの私の存在は、あと半年延命されることになる。

 さらに驚くべきことに、個人番号提出書類に同封した要望書の返事が、直接私のところへ郵送されてきた。内容を見ると、かなり率直に私の要望を取り入れてある。私の提出した疑問点や要望については、幾つか答えられており、幾つか答えられていない。答えられたのは、マイナンバーの目的 (税・社会保障・災害) 外使用禁止の徹底が約束されたことと、マイナンバーの管理場所を明確化 (運用開始前も含めて) し、電磁的だけでなく物理的に遮断すること、このなかには新しい内容も含まれる。それは、本社に届いた個人番号は、入力作業と同時に暗号化されるので、番号がそのまま漏れる心配はないという記述だ。だとすれば、世の中で漏れたという個人情報には、そのような処置が施されていなかったことになり、そこに合理的な疑問は残る。答えられていないものは、「特定個人情報の適正な取扱に関するガイドライン」の完全遵守の具体的な方法の説明と、管理責任者の氏名の公開である。これらは対応しないということで、そこを突っ込んだとしても、のらりくらりと逃げられるのがオチだ。ただ、この件に関する問い合わせ窓口というものが設置されていて、その連絡先ももらった。そんなことは初耳である。で、就業規則に取り込むことについては言及がなく、安全管理体制について全従業員に周知徹底することは実施済みとある。しかし職場の誰一人として説明できなかったことは、その記述に反する。おそらく周知させるための何らかの方策は取られたのであろう。やっていないのにやったと文書に書けば、私のような執念深い人間が突っ込んでくる恐れがあるからだ。本社はやったに違いない。しかしそれがどこかで消えたか、末端まで来たものの顧みられなかったかだ。だから上司も説明を受けたはずだ。しかし詳細までは理解できなかった。だから私に質問されても答えられず、「とにかく」の連発となった。

 こういう対応は、日常業務においては枚挙にいとまがない。本来あってはならないことが指示されてくる。そんなことをすればこうなりますよ、だからやらないほうが良いと言っても、「とにかく」やれ、となる。問答無用である。案の定、問題が起こる。すると今度は「とにかく」してはいけない、となる。会社で生きるには、どんな馬鹿げた命令にも従わなければならない。破綻するとわかっていても、黙って従う。破綻すれば、たまには会社はそれを是正するので、その馬鹿げたことは、しなくても良くなる (たぶん) 。先走ってものを言ってはいけない。会社に所属する6千人以上の従業員は、私を除いて一人残らずそういう「場の空気」を読んで行動したのである。さあ、その良識がいつまで通用するのだろうか。黙り込んで理不尽に順応することに慣れきった人間が、その理不尽を打ち破ることができるのだろうか。意思を理解できない人間が、その意思を貫徹しているつもりで横暴に振舞う。その人が自分の行動の意味を知ることは難しい。とすれば、その上に立つ人は、その人を恣意的に扱うことができるようになる。それを正す手段を、我々はどのように確保すれば良いのだろうか。

 私は、今回の件では、折れたことには違いない。使用する側もされる側も、全くの混沌の中で、制度に対応することだけに忙殺される状況では、まともな議論など望めない。しかし重要な変化のあるときは大抵混乱の中で物事が決まってしまうことを考えると、疎まれながらも物言う変態アルバイトであり続けるしかないのかも。とりあえず半年は猶予された (たぶん) 。

posted by jakiswede at 12:13| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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