Ornette Coleman: Of Human Feelings (LP, Antilles/ Polystar, 25S-3001, 1982, JP)
Sleep Talk
Jump Street
Him And Her
Air Shi
What Is The Name Of That Song?
Job Mob
Love Words
Times Square
Ornette Colemanはレコーディングも多く、また大御所であって巷での評価も高いため、何とかこれを理解しておきたいという気持ちにかられることは音楽ファンとして理解できる。しかしほとんどの作品は、フニャフニャフニャフニャブリブリブリブリと、全く訳のわからん音の渦巻きや、厳かなクラシックの弦楽合奏に合わせたモンタージュであったり、はたまた1970年代後半からは、やたらハードなファンク・ビートとフリー・ジャズが混在したり、その他エロエロ、全くつかみどころがなく、どこからどう切り込んで聞いていけば良いのかわからんという苦悩も理解できる。しかし私は思う。特に好きでもなければ、無理して今更聞かなくても良い。どうしてもということであれば、極言して ≫Lonely Woman ≫ 1曲で良いと思う。アレやっちゃったら、もうあとすることないもんね、というOrnette Colemanの虚脱感も理解できる。そしてその穏やかな笑みも・・・
さて、なぜか彼の音が好きになってしまった私であるが、そんなに多くのアルバムを持っているわけではない。友達から借りたり色々して大雑把に全体を把握した上で申し上げられることは、1976年の作品「Dancing in your Head」の前後で二つに分けられるということである。前半は、まあフリー・ジャズ的余生、後半は、それにジャズ・ファンクを加味した余生、近年はそれらが混沌として融合している極楽・・・まあそんなとこでしょう。で、前半のうち、特に重要と思われるものに「*」印をつけ、まあ特に重要と思われる録音とともに羅列すると、「The Shape of Jazz to come*」(再発膨大なため品番省略以下同様) ・「Free Jazz*」・Town Hall Concert 1962*」・「Chappaqua Suite」・「At the Golden Circle 1/2」・「Love Call」・「Crisis*」・「Friends and Neighbors」・「Science Fiction」となる。もちろん選考の基準は、好きだから。
で、まあエロエロあって大きな転機を迎えるのが、先述した「Dancing in your Head」である。これ以降、Ornette Colemanは、オーソドックスなTrioやQuartetを続けつつも、新しいメンバーによるThe Prime Time Bandの活動に軸足を移していく。主なメンバーは、Bass - Jamaaladeen Takuma・Drums - JackDejonette, Ronald Shannon Jackson, Denald Coleman・Guitar - Bern Nix, Charles Ellerbieなど。演奏は劇的に変わる。もはやジャズとは言えないほどである。最大の特徴はギターが入ったことによるリズムの変化、明らかなファンクの影響、その試みとして最初の「Dancing in your Head」は、タイトル・チューンのインプロヴィゼイションが2バージョンA/B面に分かれて収録され、余った時間にモロッコのJajoukaの現地録音の上に自分のサックスを被せたもので、確かに色々と意義深いことは理解するものの実験的要素が多すぎ、その次の「Body Meta」も好きなアルバムだが紹介するとすれば、やはりこの「Of Human Feelings」、ジャズ・ファンクにおける一大境地を確立したと言ってよく、またもやOrnette Colemanは時代を切り拓いたのである。
私にとっても自分の一生を変えた・・・とまでは言えないものの、かなり大きな影響を受けた作品となる。発売当時は「Viola Renea」を抜けた主要メンバー3人でひたすら音の実験を繰り返していた時期であり、レゲエ・ダブ・オルタナポップ・フリージャズなどなどがごっちゃになった即興演奏を、誰に聞かせるでもなくひたすらメンバーの一人の旧家の屋根裏で演奏して録音していた幸せな時代であった。何年にもわたるその蓄積が「Karly Chockers」における鎖で泥をかき回すような独特の重さと粘りをたたえた鉄壁のリズム・セクションとして実を結んだことは、私の音楽キャリアにとってかけがえのないものだった。
まあそんなことはどうでもよい。とにかくジャズ・ファンク路線へ突っ込んでしまった彼の音は、いわば開き直りの美学というか、きわめてシンプル、悪くすると幼稚ですらある短いフレーズをひたすら繰り返し、そこから得られるヴァリエイションを積み重ねては突きくずし、積み重ねては突きくずして何が残るかという実験、特に複雑化することをもってよしとするジャズのリズム美学を、とことんまで単純化して崩れ落ちる崩壊の美学に持ち込んだ、というか、よくそんなことをJackDejonetteやShannon Jacksonにやらしたな、それもOrnette Colemanの威光あってこそ、さらにそこへ息子をあてがってナンセンスなノリまで醸し出してしまうという、その壊し方が半端ではない。で、良い味、というかジャズ・ファンには耐えられない音だろうが、2本ばかり極めてハード・ロック的な電気ギターの音が炸裂して、うねりと混沌と破壊の連続であって、これが好きか嫌いか、諸刃の刃という意味でお勧め出来る作品なのです。で、その後やっぱり疲れちゃったのか、「Virgin Beauty」いがいはちょっと残念な出来で、またあっちへいったりこっちへいったりはながら、ついでに日本にも来てくださり、まあそのまま天へ召されてしまわれた。
ジャズであるのでセッションによってメンバーが異なり、その編成を追って聞くのも方法です。例えば、ジャズ究極の名曲≫Lonely Woman ≫ の編成で聞くならば、Alto Saxophone – Ornette Coleman・Cornet – Don Cherry・Double Bass – Charlie Haden・Drums – Billy Higginsで録音されたものには、やはりその匂いがする。ベースはCharlie Hadenが、Prime Time結成までのかなり多くと、それ以後の比較的オーソドックスなコンボで努めているのだが、その人脈から生まれる「Jazz Compose'rs Orchestra Association (JCOA) 」の新しい流れとの関連で聞くのも、Prime Timeとは別な意味で良いし、ジャズ・ファンクに傾倒した流れから、ベーシストのJamaaladeen Takuma及びJames Blood Ulmar・・・さらに、ロンドン・パンクの流れから「Pop Groupe」・「Rip Rig and Panic」との関係で録音されたものを追うなど、アプローチの仕方によって様々な表情を見せてくれるところがOrnette Colemanのつきせぬ魅力でありますが、これ以上は長くなるのでやめときます。
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