Jamaaladeen Takuma: Renaissance Man (LP, Gramavision, GR 8308, 1984, US)
Renaissance Man
Flash Back
Let's Have A Good Time
The Next Stop
Dancing In Your Head
There He Stood
The Battle Of Images in Four Movements
Sparkle
Ornette Colemanのジャズ・ファンク路線への転向を支えたベーシストのリーダー2作目にして、私見では最高傑作がこのアルバム。バック・ミュージシャン、特にリズム・セクションの人がものしたリーダー・アルバムというものは、おうおうにしてバックからフロントに出たいのがホンネの駄作が多いものだが、彼の1作目と、この2作目は、数少ない例外と言える。想像するに、触発された源泉がOrnette Colemanであり、その高度な精神性ゆえの「初志」が良い形で結実したのであろう。ジャズ・ファンク史上に残る名盤と評価する。
A面は彼のバンド「JAMAAL」を率いての、実にタイトでコアな、緊張感あふれるジャズ・ファンクの演奏で、この演奏こそがOrnette Colemanの目指した世界の一つの体現ともいえるだろう。ただ惜しむらくは、全員のテクニックが高すぎて、アヴァン・ギャルドにフリーに崩していく演奏が、あらかじめ予定調和されていてキレイに元のテーマに戻るかのように聞こえる点。小憎ッたらしいほど上手い。混沌とした精神的なエモーションの発露としての「崩し」と、技術に裏打ちされた可能性の探求としての「崩し」とでは、まったく意味合いが異なる。それでも前者における、慟哭しながら崩壊していく音の断片のぶちまけられた美とは別の、後者における引き裂かれ分裂していく理性とでもいうべき崩壊感覚は美しい。
B面はそれぞれ録音された場所も時期もメンバーも異なる4つのセッションで、なかでも1曲目、この世界の金字塔的な曲となった「Dancing In Your Head」をOrnette ColemanとPrime Timeのメンバーを招いて再演している。当時はまだプログラミングされたリズムの上でフリーな演奏をすることが新鮮であったが、今聴くと窮屈さを感じざるをえない。2曲目以下は作り込まれていない分、より自由な空気に満ちた演奏が聞かれるが、凝縮された緊張感は最後まで変わらず、実に聞き応えのある作品となっている。
しかしそれ以降、残念なことに技術のある人というものは、技術に呑まれてしまうというか、「初志」を貫徹できないというか、演奏は上手いし展開なども見事なのだが、スピリチュアルな意味での内容が無味乾燥な作品が連なり、その最骨頂たる「Juke Box」なるアルバムがグラミー賞にノミネイトされるなど、まったく別の世界へ入ってしまった感がある。俺ぁ違うと思うんだけどなあ、でも世の中の大勢の評価というものがそうなのだから、そういうもんなんだろう。んぢゃPrime Timeやこのアルバムでの演奏はなんだったんだ ?? というギモンもさることながら、私のレビュー読む人は気をつけてね。
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