Uyghur-Pamir 2017.05.13.1 Hotan_Yerkent
朝8:30の列車に乗るため7:30には駅に着いておきたいので、6:30には起きてホテルを出た。北京時間の6:30なので真っ暗で、タクシーを見つけるまでは焦った。ドライバーは漢字が読めないので、トルコ語で「エスタシォニ」と言ってみたが通じない。列車・鉄道・線路など、思いつく限りの単語を並べてみたがよくわからないみたいなので、地図を出してとにかくここへ行けと言ったらようやく車を出した。距離的には20分もあれば着くはずだったが、旅人の私からみても明らかに不案内で、通行人に訊きながら小一時間近く遠回りして、ようやく駅に着いた。まあその間朝まだきの街を観光できたと思えばいいか・・・時間がかかったのはお前が道に迷っていたせいなのに、長い距離を走ったからと多めに請求された。早朝だし選択の余地なかったんで、まあええか、と、なんか弱気になっとる。とにかく生きて返してくれたらええ・・・
駅の敷地に入った頃に夜が明けはじめた。ホータン駅の保安検査はウルムチ空港並みに厳しく、しかも手際が悪かった。下ッ端゜のウイグル人が流れ作業的に荷物をと身体を検査していくのだが、後ろで見ている漢人の上役らしき職員が、なんの脈絡もなく作業に割り込んで来て荷物を引っ掻き回し、イライラして罵詈雑言をウイグル人職員に浴びせ倒して立ち去る。私はあまりの振る舞いに肩をすくめて見せると、職員のウイグルねーちゃんが目をソーメンみたいに細めて「処置なし」という仕草をしてお互いに笑い合った。あんたらも大変やねえ・・・
保安検査そのものは、乗客同士の友好関係、つまり検査のために入り混じってしまった客の持ち物を、自発的に元の所有者に戻す根気のいる作業を協力してやったおかげで問題なく終了したのだが、その頃には発車時刻が迫っていた。しかし待合室に動きはなく、乗客はそれからかなり待たされることになる。
中国の鉄道職員はほとんど漢人が就いているが、例外なく極めて高圧的で、乗客に対して軍隊的に上から怒鳴り散らし、行列を作らせ、号令までかけて一糸乱れぬ行動を要求する。ウイグル人でなくても行列が苦手、特に私は幼少の頃からそのような行為に対してムラムラと反感が湧いてくるタチなので、ことあるごとに持ち場から離れて熱湯を汲みに行ったり、用を足しに行ったり、列車の写真を撮ったりして奴らに仕事を与えてやった。どうせ奴らには何もできないのだ。切符はあるし目の前に列車は止まってる。待合室の外は保安検査でごった返してる。
そんなわけで、鉄道に乗れば車両から車両へ、どんな等級のどんな設備か冷やかして歩きたいのに、一両ごとに鍵がかかっていて一人ずつ車掌が頑張ってるから、連結部へ行くことすらままならない。仕方がないので言葉の通じないウイグル人たちに混じって、過ぎ行く単調な風景を眺めていた。しかし一時間もしないうちに目や喉に異変を感じた。砂である。強烈な砂だ。暑くてたまらないが、窓を開けるなんてとんでもない。窓の密閉が不十分なのと、空調車両ではないので送風系が開放されているのであろう、天井のダクトからも砂が舞ってくる。ただでさえ人いきれで暑いところへ、目も開けていられないほどの砂埃、マスクなど到底役に立たず、水で濡らしたタオルをあてがってようやく息をつける状態である。乗客の多くも布やスカーフを口に当てている。初めての中国鉄道の旅は、こうして目や喉をやられながらの苦難の旅路となった。
皮山を過ぎたあたりから、砂嵐の深い砂漠を乗り越えたと見えて、風景に緑が広がり、客も一息つき、やがて窓を開けられるほどに外気も澄んできた。子供達は忍耐強く座っていたが、周りの気が緩みはじめるのをみて一斉に駄々をこねはじめた。たった一人言葉もなく座っている外国人の私に興味津々で、お菓子やおもちゃを持ってアプローチしてくる。なかでも丸坊主になったウイグル人の女の子は、どうしても私の膝に乗りたくて、でも恥ずかしくて出来ないようで、お母さんとともにその仕草を見て大笑いした。ウイグル人の女の子は、子供の頃に一旦丸坊主にされる。そうすると、新しく美しい髪の毛が生えてくるからだという。そんな風にして、ホータンからヤルカンドまでの4時間ほどの鉄道の旅の後半は、なんとか楽しいものとなった。
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