2017年05月21日

20170521 Karimabad (Hunza)

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 「フンザ」は、「風の谷のナウシカ」のモデルともいわれ、「現代の桃源郷」ともいわれ、パキスタン北部の山岳地帯という「秘境」として、その名を馳せている。ガイドブックにもそう書いてある。しかし、私はあえて結論から言おう。現在のフンザにはそんな面影はない。観光客で混雑し、そこへ整備の行き届かない「スズキ」が割り込み、排気ガスと黒煙と土埃を撒き散らし、道はぬかるみ、ゴミが多く、そんな状況に不釣り合いなほど豪華なリゾートホテルが敷地を占領し、一日数時間しか通電しない電力供給のため、ほとんどの商店や宿泊施設などに設置された発電機が猛烈な唸りを上げている。その轟音と排気ガスは夜になっても止まらず、遠望する風光の明媚さとは全く裏腹に、音と悪臭が谷間に充満して休まる暇もない。もしこの地方を訪れるなら、杏の花の咲き誇る4月のベスト・シーズンに、空調の効いたリゾート・ホテルでくつろいで、さっさとPassu村へ行ってしまうのが良い。その方がずっと良い時間が過ごせるはずだ。もし時間があるなら、一週間単位でここに滞在すれば、観光バブルに湧くKarimabadの喧騒から逃れて、谷の対岸や山の裏手の素朴な村を訪ねたり、そこへ宿泊したりすることができる。その方が、ずっとフンザの良さを体験できるだろう。残念なことに私の旅には日限があり、ここにゆっくり滞在できるのは今日一日限り、明朝にはカラコルム山脈を越えてパキスタン中央平原Punjab地方を目指す、この旅の締めくくりに取り掛からねばならない。

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 Karimabadの朝は、山頂に射す光で明け初める。早朝には、流石に夜通し続いた発電機の音も静まって、観光客が押し寄せる前のひとときを味わえる。Zero PointからBaltit Fortへ上がるメインの坂道と、斜面の中腹を南へショートカットする道の間に、自動車が入れない未舗装の小道がある。早速嗅ぎつけてこの道を散策すると、朝の支度をする地元の一般住民の生活の音に満たされている。石造りの質素な家ばかりなのはPassu村と変わらない。小道の脇を流れる小川のような、多分用水路に沿って、美しい花が植えられてあったり、静かな林が音を遮ってくれる。途中、何本か上下に交差する路地があって、民家の台所の脇をすれすれに通って上や下の道に通じている。おそらくここには、Karimabadの昔ながらの暮らしがあるのだろう。程なく道は、Baltit Fortの麓を通って村を周回する道路に合流して終わる。手始めにこの道の散策をするのが正解だ。そこからさらに山肌を伝って行ったり、谷の対岸に渡ったりできる。その先にも宿泊できる場所があることが看板で案内されている。

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 朝食後、さらに散策を続ける。まずはBaltit Fortへ上がる。これはフンザ藩王国の旧王宮であって、ほんの数十年前までは、実際に王家が生活し、村人とともにあった場所だ。中は今では博物館のようになっていて、そこへ至る坂道は、いわば観光地の土産物商店街の参道状態である。確かに見ごたえはある。王宮の接見の間で往時をしのぶのも悪くはない。さらに散策を続け、疲れ戻ってランチにする。すぐわきにCafe de Hunzaという小洒落た今風のカフェがあったので入ってみた。メニューを見ると、なんとエスプレッソがあるではないか。旅に出てからまともなコーヒーにありついてないので、コーヒー一杯に350PKRと、現地の物価感覚からすると信じられないほど高額なそのエスプレッソをいただいた。味は、確かに高圧で抽出されたものだが、水分量が多すぎて薄いのは仕方ないか。それにしても結構若者で賑わっていて、都市生活者はここへ観光に来て、それだけの支出をする余裕があるのである。

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 さて、ランチから戻って宿替えを決めた。Haider Innも別に悪くはない。しかしせっかくの絶景を心ゆくまで楽しむために、多少高くついても、部屋に居ながらにして眺望が楽しめるホテルをとってみようと思ったのである。散策中に目星はつけておいた。メインルートからBaltit Fortに上がる途中にあるピザ屋の隣だ。これは全くホテルとは気づかないが、眼前に広大なバルコニーがあって、そこから存分に谷間の景色を堪能できる。この環境では5,000PKRはくだらないはずだが、ここは穴場的存在で、その半額だった。電気もシャワーも完備していて、階下のレセプション等を通らなければ上がってこられないのでセキュリティも十分だ。ここで荷を解いて、階下へ土産物調達とGilgitからRawal-Pindiへの空路の空席が確保できるか試しに行く。結局、私も観光バブルに加担したわけだ。

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 GilgitからRawal-Pindiへどうやって出るか、それがまだ確定できていない。これは結構重大な問題である。パキスタン北部辺境Gilgit-Baltistan地方と、パキスタン中央平原Punjab地方との間に横たわるカラコラム山岳地帯の治安が実に不安定なことと、フンザ川からつながるギルギット川と、そこから先のインダス川の渓谷が急峻で、しばしば災害により通行できなくなるからである。できれば事前に空路を確保しておきたかったが、情報によるとこのPIA国内線は天候に左右されやすく、しかも有視界飛行なので出発直前でないと飛ぶかどうかもわからない。だから、そもそも予約は受け付けておらず、現地GilgitのPIA事務所で直接切符を買い、当日並ぶよりほかはないということだった。Zero PointのHaider Innのならびに銀行のATMとならんでZEB Travelsという旅行代理店がある。ここでそのチケットを手配できる。もちろんインターネット決済にも対応しているので、海外からの予約もできる。しかし実際には、ツアー客のために優先的に座席が割り振られるのと、天候による欠航率が大変高いので、個人での空席の確保はかなり難しい。事実、向こう数日は好天に恵まれるのだが、一ヶ月以上先まで満席の状態だという。仕方がない。では危険を推して陸路に挑戦するとしよう。そこで良いアドバイスをもらえた。外国人はテロリストの格好のターゲットになりうるので、運転席か警備の兵士のすぐ近くに席を取るように、ここ数年ほどはテロ事件は起きておらず、ルートはかなり安全になっている。天候も良いので、おそらく所要20時間程度であろう・・・と。この区間のバス移動に関しては、私も事前にかなり調べたのだが、良くて20時間、下手すると丸二日、ヤラレちゃうとあの世行き、とまあ結構な前評判だったので、せいぜいここでのんびりこの世の楽園を堪能しておくことにしよう。ZEB Travelsのホームページは閉鎖されているようだがFacebookはここにあるので参考までに・・・良い代理店だと思います。


https://www.facebook.com/zebtravels/


posted by jakiswede at 00:00| Comment(0) | Uyghur-Pamir 2017 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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