さて先日のショーロの会の当日は、予定では稲刈りも終わり、ハザ架けされた稲穂が夕陽に染まるのを眺めながら、ビールでも飲みつつ脱穀を待っているはずだった。一年の労苦を癒すべき、自分に対するご褒美の予定だったのだ。ところが実際には、相次いで来襲した二つの台風と、それに刺激された秋雨前線による一ヶ月近い長雨で農作業が遅れに遅れた上に、近所から柿とりを頼まれたり、農繁期を終えて暇を持て余した近隣農家の嫌がらせに応対しなければならなかったところへ、一ヶ月も早く真冬の寒波が押し寄せて土の作物の救出を優先しなければならなかったり、きわめつけに直前になって洗濯機・ミキサー・掃除機・自動車がほぼ同時に、しかも使ってる最中に故障して、もはや万歳三唱しながらヘラヘラ笑ってる状態だった。いうまでもなく、天上の宴の翌日は泥沼の地獄の始まりであった。次の寒波が来る前にパン用小麦の種まきと、これも遅れに遅れたタマネギの苗の定植を終えなければならぬ。そのためには一刻も早く稲刈りを終わらせなければならないのに翌々日には次のまとまった雨があり、その後もう一段強い寒波が予想されていた。通常の倍のスピードで、まさに地を這いずるようにしながら稲刈りを終え、田んぼを踏み荒らした余勢を駈って麦播きをし、草をかき分けて苗を植え、なんとか急場をしのぐことができた。この哀れな百姓を、高圧線の上から無数のスズメが嘲笑するかのように見下ろしていた。夜のバイトへ向かうために急いで角を曲がったのと、彼らが編隊を組んで稲木めがけて急降下する羽音が鳴り響いたのは、ほぼ同時だった。こうして次なる闘い、スズメとの仁義なき殲滅戦の幕が、無慈悲にも切って落とされたのである。
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