2018年03月02日

20180302 茅が巡る

20180302 茅が巡る

KIF_0025.jpgKIF_0026.jpg

 茅葺の手伝いで新しい現場に来ています。神戸市というところは、市の経営に熱心なことで有名でもありますが、都市近郊からさらに郊外、農村へと広がる豊かな世界を持っいて、その複雑な環境の保全のために、なかなか良い仕事をしています。茅葺き屋根の保存もそのひとつで、市内の茅葺き屋根の保存に対する助成だけでなく、調査研究から持続的な環境づくりまで熱心に取り組んでおられるのを見て、いやまったく珍しく、ギョーセーがそこまでやるのかと驚きもし、頼もしくもあり、縁あって神戸市民のはしくれとなりこのような仕事の手伝いをさせていただいていることに、感謝と驚きの日々を過ごしております。で・・・今回の現場は私の借りている家から自転車で10分の至近距離にあって、なんと私の家主様の遠縁にあたり、同じOという名字を持つ。その屋根の葺き替えをするのに、できるだけ地元の材料の活用をという神戸市の意向もあって、隣町の旧家で以前は茅葺であった屋根を缶詰にしたために、長年刈り貯めてあった地元の茅の不要になったものが大量にあるというので、それを取りに行った。その家の表札を見てびっくりした。うちのバンドのベーシストと同じTという名字なのだ。両家とも分家であるので直接付き合いはないが、おそらくは本家は同じであろうという。この一帯には同じ名字がかなりある。で、そこのご主人が言うには、実はそのご主人はもともと私の住んでいる近くのH氏という家の出で、H氏からT氏に「捨て子」されて来たのだと言う。昔は、百姓が家を絶やさないために、縁のある家同士が三軒で協定を結んで「捨て子」のやり取りをする風習があった。そのH氏は、実は私の家主様の隣家のH氏と遠縁にあたり、やはりお互いに付き合いはないものの、元は同じ本家から出た分家であり、しかも隣家と家主の家は「捨て子」の関係にあったというのである。つまり、OHT氏それぞれ偶然にも遠縁ではありながら「捨て子」の関係としてつながっており、もともとなんの関係もない私がその一方の当事者との遠縁と友人関係、もう一方の当事者との遠縁と家主店子の関係、しかも、お互いの当事者は全く付き合いがないのに、T氏の屋根裏に蓄積されてあった茅をO氏の屋根の葺き替えに使う。しかもそれを、その三軒の家とは無関係とはいえ、その三件の遠縁とは知り合いである私が運んでいるという、なんとも言いようのない縁に繋がれた自分・・・これも神戸。

posted by jakiswede at 00:00| Comment(0) | 茅葺 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。