極晩稲の「緑糯」を残して一旦今シーズンの稲作終了とし、最終工程の籾摺り機を軽く掃除する。機械の中に詰まった米を掻き出して集めると、籾殻やゴミと混じった状態だが軽く5合はある。私には信仰心というものはないが、米作りを始めてから、毎シーズン玄米ができてくるのを見て、その艶やかさと確かな重みと存在感に感動し、稲という植物や、米という存在に畏敬の念さえ覚える。したがって、田植えの前には取水口の両側に紅白の「神丹穂」を植えて「さなぶり」とし、稲刈りの最後にそれらを刈り取って「かりあげ」とする一種の儀式のようなものを自分で作ってやっている。稲刈りは稲作業の中途であって、そのあと脱穀と籾摺りを終えてから完了となるので、その籾摺り機に感謝してこれを掃除し、出て来たいわゆる「クズ米」を新米の事始めにいただくことにしている。見栄は悪いが、ザルでふるって精米機に通し、更にふるえば立派な米である。家主さんの作った米、隣の家の作った米も混じっているが、なかなか美味い。他にも作業中に出たクズ米や誤って散らかしてしまったものを拾い集めたものなどを完食してから、正式に新米を食べ始めめことにしている。不信心者のせめてもの信仰心である。
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