2019年03月10日

20190310 鶴の子大豆醤油本仕込

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醤油の本仕込み。醤油は、豆麹を塩水で割って仕込む。仕込み水の割合は、豆麹の体積と同量、その濃度は、豆麹を仕込み水で割った醪の中の最終的な塩分濃度が16-17%になるのが良いとされている。ここで気をつけねばならないのは、「体積が同量」という部分と、「濃度」との関係である。濃度は重さで測るものなので、体積と重さの相関関係を方程式にしておく必要がある。しかし、この関係については、いろいろ調べたが明確な資料に行き当たっていない。したがって自分で編み出す。推論の過程は省略して結論だけを述べる。

豆麹が破生して醗酵が落ち着いた状態を「出麹」という。今、目の前の出麹を、どれだけの水にどれだけの塩を混ぜた食塩水で割れば良いかを考えているのであるから、求める数値を「x」と「y」とする。

出麹の体積を「a」とする。
出麹の重さを「b」とする。

仕込み水の水の体積を「x」とする。ちなみに水の比重は1であるので、その重さも「x」である。これが両者の架け橋となる。

仕込み水に加える塩の重さを「y」とする。

a」と「b」は計量すれば得られる。これをもちいて「x」と「y」を求めようとするのである。

x = 0.91a - 0.09b

y = 0.18a + 0.18b

私が編み出した方程式がこれである。試行錯誤の末、だいたいこの通りにやって美味い醤油が得られることを確認した。三年仕込みであるから、試行錯誤の結果が出るのも三年後である。この通りにやれば良い。

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豆麹の破生を確認したら、まずはその重さを測り(b)、さらに体積を測る(a)

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体積の測り方はいろいろ考えられるが、私は水を満たしたボウルに出麹をビニール袋に詰めてなるべく空気を抜き、それを水に沈めて溢れた水の体積を測ることにしている。これがおおよそ出麹の体積である。重さは問題なく測れる。

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これを上の方程式に当てはめて演算すれば、どれだけの水(x)を用意して、どれだけの塩(y)を混ぜれば良いかがわかる。

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ちなみに計算結果は、経験上全てのケースで飽和食塩水の濃度を上回る塩を水に溶かさなければならないことになる。水道水は純水ではなく、にがりを含んだ塩も純粋な塩化ナトリウムではないので、さらに誤差が生ずる。

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で、なるべく塩を溶解するために水を沸かして塩を溶かす。溶け切らない分が必ず出る。

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これを必ず常温にまで冷ましてから、出麹を投入して撹拌する。溶け切らなかった分も混ぜ込んでしまう。

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そして必ず結果を実測して、「醪の中の塩分濃度が16-17%」になっているかどうかを確認する。実際の作業では、鍋に残る塩や水、尻漏りして流失する分もあるので、これらを容器で受けたり、水や塩を足したりして補正し、計算値に合わせておく。

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完了したら瓶詰めして遮光処置をした上で貯蔵する。夏を越すまでは毎週櫂入れをする。

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posted by jakiswede at 00:00| Comment(0) | 農作業食品加工日誌2019 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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