さて、私は稲はハングリーな状態で育てる方が良いと思う。新しく借りた圃場では、前作の借り手がかなりの肥料を投入していたと見え、「神丹穂」は草丈2メートルを超え、茎の強いはずの「緑糯」さえ風に倒れた。そして黒米の「紫黒苑」には「稲糀病」が多発した。これは出穂期の低温、日照不足と多雨、土壌養分の過多すなわち多肥が影響して起こる稲の病気である。他の品種で発生しなかったところを見ると、この品種は九州の出身であるので、相対的に近畿中部では寒かったのかもしれない。この「稲糀病」は「糀」の名があるが、これはカビの一種であるがコウジカビとは全く別物の常在菌であって、人体に有毒であり、罹患した籾は精米すれば影響ないとはいえ、中身がスカスカになっている。またこれが発生した圃場には胞子が飛散していて、翌年以降も発生する可能性が高く、同一過程で処理した他の稲わらや籾にも付着して、これを広げてしまう。無農薬でこれを防除するに有効な手段はなく、輪作するか気象条件をよく予測して、出穂期以降の降雨を避けるようにするくらいが対策となる。よくこれを利用して発酵食品を作る話が都市伝説のように広まっているが、毒を持っているので絶対にやらない方が良い。成功事例もよく読んでみると、自然界に常在するコウジカビなどの菌の混入が十分に考えられる状況のものがほとんどで、稲糀病の菌が作用したものとは考えにくいものである。
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