2020年01月30日

20200130 武汉挺住

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武漢 (武汉, Wuhan) といえば、ドラマーであればシンバルを思い浮かべる。銅鑼などの、真鍮を原材料とした体鳴楽器は中国が発祥の地であって、武漢は現在でもその中心的生産地である。銅鑼は古代より戦争で兵を集め、進軍する隊列を鼓舞するのに使われ、ユーラシア大陸を西に伝播した。音楽的には、中国でも古くから二枚合わせの铜钹 (シンバル) が使われ、ほぼ形を変えずにヨーロッパまで伝わった。その直接の生産元となった場所がトルコのイスタンブールであって、ここは現在でもシンバルの主要な生産地になっている。一方、武漢でも銅鑼やシンバルの生産は続いていて、原料の銅と錫の品質が良いことから、多くのドラマーや楽器メーカー、職人が、西洋風の「シンバル」の製造技術を伝授して製品化させたものが多くある。エッジが反り返った、いわゆる「チャイナ・シンバル」(ZildjianではSwishやPang) は従来から生産されていて、むしろPaisteなどはその形状を模倣したほどだが、中国からヨーロッパへ何世紀もかけて伝播する過程で変わっていった「音の好み」を中国で再現することと、一定の品質枠に収めることに最近になって成功し、トルコ製やカナダ製、スイス製やアメリカ製では到底考えられなかったほど安価で品質の良いシンバルが手に入るようになった。しかし日本人はブランド志向が強いので、こられのシンバルはほとんど売れない。写真の一番下になっているのは、その伝統的なチャイナ・シンバルで、まだK.M.K.が日本に輸入する前に苦労して入手したものである。その右に乗っているのは、たしかアメリカの有志が武漢の現地の職人に依頼してデザインしたジャズ志向の良質なシンバルである。日本にも輸入されたがほとんど売れず、先日処分するという連絡を受けたので格安で手に入れたものである。私は心の弱い人間である。良い道具を手に入れたからといって腕が上達するわけではないことは、もう数え切れないくらい経験して身に沁みているにもかかわらず、欲望に負けたのである。それにしてもこのシンバルは、粒立ち良く鋭いピング音と抜けるようなカップ音、低く荒くてオリエンタルなクラッシュ音のバランスが絶妙な一枚である。ハンド・ハンマーでしか出し得ない音の深みが素晴らしく、どうしてこれが売れなかったのか全く不思議なほどだ。これ以上を望むなら、おそらくはイタリアのMatt Bettisか、究極的にはSpizzinoか、どちらにしてもケタの違う世界になる。その左上に乗っかってるのは手持ち銅鑼で、中央をマレットで叩くと音の上がる「回音班鑼」である。厳かな曲のエンディングに打ち鳴らすと曲の情感を台無しにするので好んで使ったものである。ちなみに音の下がるものは「虎音鑼」という。右上に乗っかってるのは、10インチほどの合わせシンバルの铜钹である。これは合わせシンバルとして使うと、春節の獅子舞の時に打ち鳴らされるような、典型的な中国風のめでたい音がするのだが、一枚ずつ吊るしてマレットで叩くと、耳を疑うような深くて柔らかい音がする。まったく素晴らしい。このほかに22インチほどのウィンド・ゴングを持っているのだが、これなどは銅鑼としては勿論、ドラム・セットの右端に吊るしてライド専用として使うと絶品の鳴りである。いずれも、ハンド・ハンマーの仕上げが丁寧に施された、材質の柔らかい、鳴り音に広がりと幅のある、素晴らしい楽器である。その音質は、中国大陸的に雄大なばらつきがあって、中国伝統音楽は、それらを生かし続けたからこそ、その多様性が保たれたとみるべきである。これをこのままジャズに用いると大変な暴れ方をするので、そのばらつきを一定の範囲に収めようとする技術的努力が武漢の職人の間でも行われ、その多様なバック・ボーンから見事に現代風のシンバルを叩き出すことに成功している。このような雄大さ、多様性、歴史を持つ中国という土地を、私はこよなく愛する。武漢は、世界史の上においてもドラマーにとって重要な場所である。武漢を大切に思っている。どうか、武漢の伝統が失われることのないよう、職人の皆様も市民の皆様も含め、持ちこたえていただけるよう心からお祈り申し上げます。
武汉挺住
2020.01.29 新型コロナウィルス 武漢から日本へチャーター第一便帰国、この往路に支援物資積み込み、中国人民から感謝される一方、国内からは非難の声もあった。また、この便で帰国したうちの2人が検査を拒否し独自に帰途につくも、後日検査を願い出た。これについても大きな非難があった。中国全土で主要都市封鎖。
2020.01.31 新型コロナウィルスWHO緊急事態宣言、当時からWHOが中国寄りだとする意見があり、この宣言も遅すぎたという批判があった。
世界的に防疫体制が敷かれ、武漢市に対して各国民を帰還させるチャーター便が送られると共に中国以外の国では中国を経由しているクルーズ客船から下船できない乗客も現れた。SARS-CoVが流行した2003年時点よりもグローバル化が進み、SARS-CoV-2 (20200211命名)感染者に無症状の場合も多いという特徴もあって、防疫が難しく、SARS-CoV-2は急速に世界中に広まって行った。また、ネットとマスメディア双方が「コロナ」の話題で埋め尽くされ、不正確な情報が大量に飛び交う「インフォデミック」状態に陥った。困窮状態にある消費者心理に付け込んだ、生活必需品の高額転売なども起きた。(Wikipediaより)
(2020.04.20追記)
posted by jakiswede at 13:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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