昨年10月にうちの前を通りかかった時はこんなにちっぽけだった黒猫の「しゃのあ」・・・初めは噛んだり引っ掻いたりという愛情表現に手加減がなかったのだが、やがて私の指を噛む時も、飛びかかってくる時も手加減できるようになって懐き、かわいいかわいいと思っているうちに、
「そんなブサイクなおっさんやめとき」というようなオス猫を連れてきて、そいつが私を見ても逃げないばかりか、じっと脚を揃えて私を見つめているので、年頃の娘を持った父親の気分だなと思っていたら、みるみるうちにお腹が大きくなって食べる量も激増し、要求もエスカレートしてこれはこれはと思っていたら、先日ちょっと昼寝のためにベッドに横になったら、天井裏から「ミョオオオン」と低い声で私を呼ぶのだ。「どうした ??」と声をかけたら何度も低い不安げな声で返事をする。
いよいよかと思ってここで安心して産んでもらえるように居場所を整えてやり、降りてくるように促したのだが、不安げに啼きながらそわそわして、その場所へは興味がないらしく、少し遠ざかっては私の方を振り返り、また不安げに啼く。「ついてきて」という風だったのでついていくと、私をあちこちの隠れ家に案内するように巡る。その度に低い声で鳴いて私を見る。「うちでええやんか」と声をかけるも、また私を導いて道を渡る。彼女の縄張りなのかもしれないが、その先は他人の家なので私が躊躇していると、何度も何度も私を振り返りながら、やがてその家の使われていない物置の陰に消えていった。もうかなり辛そうだったので、おそらく破水も近かったのではないか、
その日から三日間、彼女は姿を見せなかった。先ほど畑へ出てみると、なんとその畔に彼女はいた。久しぶりなので声をかけると走り寄ってきて、いつもの高い声で啼く。お腹を見ると、もう普通の大きさだ。乳首が大きく膨らんでいる。どこに子供がいるのかわからなかったが、おそらく栄養補給に出たものであろう。こんなこともあるかと思って、実は今日外出した帰りに鯛の切り身をお祝いに買っておいたのだ。「ごちそうがあるからおいで」と促すと機嫌よくついてきた。いつもならその場でバリバリ音を立てて食べるものを、彼女はすっと咥えて出ていった。その足取りは確かだった。行くところがあるのだ。無事な姿を見られただけで十分、あとは追わずに仕事に戻る。
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