Francesco Landini: Che Pana È Quest'al Cor/ Ensemble Micrologus
(CD, Ensemble Micrologus: Francesco Landini, Fior Di Dolceça, Zig Zag Territoires, ZZT050603, 2005, France)
(CD, Ensemble Micrologus: Francesco Landini, Fior Di Dolceça, Zig Zag Territoires, ZZT050603, 2005, France)
「引きこもりの美学」・・・14世紀のフランスで起こった「アルス・ノーヴァ」の影響を受けて、イタリアでも記譜法の改革による技術的変化によって、一連の多声音楽の動きがあった。1300年代であることから「300」を意味する「トレチェント (trecento)音楽」と呼ばれ、ひとつのカテゴリーになった。南フランスから地中海沿いに東へ進むと、Venghmiglliaの峠を境に風景も光も一変する。明らかに気候と風土が変わるのである。話される言葉もそうだが、料理やパン、ワインの味まで違う。人々の気風が違う。フランスの魅力は、趣向の凝らされた料理のソースの複雑さによく現われていると思う。高級料理に限らず、地方都市の定食屋でもそうなのである。最後に残ったバゲットで皿のソースをねぶっていると店主がむしろ喜んでコーヒーをサービスしてくれるほどだ。これに対してイタリア料理の明快さは格別だ。トマトの酸味、チーズのコク、油やスパイスの使い方も半端でない。これらを使いこなしてあの原色のバリエーションが出る。音楽も、フランスのヴィオール・コンソートの複雑繊細に美しさと違って、あっけらかんと明るくメリハリが効いている。細くくびれたところは抱きしめると折れそうなほどで頭がクラクラ・・・失礼・・・で、Francesco Landini (1325?-1397)は、幼少の頃天然痘によって失明したことがきっかけで音楽の道を志したと言われている。特にオルガンの名手で、墓石に携帯型のポルタティフ・オルガンを携えている姿が映されている。トレチェンと音楽を今に伝える代表的な写本に15世紀に発行された「スクアルチャルーピ写本 (Squarcialupi Codex) 」というものがあって、これをもとに演奏再現が試みられていて、上のEnsemble Micrologus以外にもたくさんある。トレチェンと音楽を復興して演奏、録音したもののうち、私の聞いたものではこの演奏がダントツである。この曲の他の演奏が、どちらかというとイーヴンに譜割りしたリズムの上で丹念に奏でられているのに対して、この演奏はスピードを重視したように思われる。幸い動画がシェアされているので、3'20あたりから始まる演奏をお聞きいただきたい。
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