https://www.youtube.com/watch?v=jlE8YzLRlcI
Orquestra Was:Forever's A Long, Long Time (Enhanced CD, Verve Forecast, 533 915-2, 1997, U
S)
Once Upon A Time In Detroit – 1:55
I Ain't Got Nothin' But Time – 8:27
Never Again (Will I Knock On Your Door) – 3:52
Excuse Me, Colonel, Could I Borrow Your Newspaper? – 4:56
Detroit In A Time Upon Once – 0:58
Forever's A Long, Long Time – 6:50
You've Been Having A Rough Night, Huh? – 4:49
Lost On The River – 13:04
A Big Poem About Hell – 2:48
I'm So Tired Of It All – 3:38
Sweet Pea Atkinson – vocals
Terence Blanchard – flugelhorn, trumpet
Sir Harry Bowens – vocals (background)
Lenny Castro – percussion
Merle Haggard – guitar, vocals
Herbie Hancock – Fender Rhodes, piano
Wayne Kramer – guitar
Harvey Mason, Sr. – drums
Donald Ray Mitchell – vocals (background)
Sheila E. – percussion
David Weiss (Not Was) – performer
Don Fagenson (Don Was) – bass, guitar, keyboards, saxophone
Kris Kristofferson – Performer (Enhanced Content)
アメリカという国は捉え所のないほど多様で複雑で、魅力に満ちている。その魅力は、ヨーロッパやアジアやアフリカのように、千年単位の歴史の積み重ねによるものではなく、数百年の間に起こった歴史の断絶を含む急激で人為的な変化と、それがもたらした矛盾である。したがって、長い歴史に裏付けられた文化を把握するようなやり方では捉えられないところがある。それを文化不毛とする見方もある。しかし、アメリカ、というよりは、アメリカ人の不思議さ、そもそもアメリカ人という人種すら存在しないのに、アメリカという文化、平たく言えばアメリカらしさは、厳然と存在する。そしてなにより、1960年生まれの私にとって、半生の前半は、日本人にとっての外国という言葉が指すものはすなわちアメリカであった。舶来、外国、輸入物とは、すなわちアメリカのものを指していた。ポピュラー音楽も、いや、ポピュラー音楽こそ、アメリカのものであったことに異論を挟む余地はない。しかし、例えばイギリスの音楽ならば、ダウランドの昔からビートルズもストーンズも、プログレもパンクも、どんなに違っていてもやっぱりイギリスの匂いがプンプンするのだ。ではアメリカではどうかと問われると、知れば知るほど答えが見つからなくなる。歴史的な匂いの欠如と、それによる軽さという別の匂い、その自由でバラバラなところがアメリカらしいと言えば言える。アメリカン・ドリームという幻想も昔はあった。それも確かにアメリカらしさの主要な要素だと思う。それを懐かしみ、そこへ回帰する精神性も、一つのアメリカらしさである。一方で、第二次世界大戦以降、西側陣営の名主として、世界中に戦力を拡大したことによる、実に様々な影響から生まれた文化運動もまた、アメリカらしさである。外に対して民主主義を標榜し、自由と民主主義の精神を謳っておきながら、国内の人種差別は解決されていないところもまた、アメリカらしさである。それがゆえに、たとえばポピュラー音楽でも、人種や地域やポリシーによって、互いにほとんど断絶した音楽が並存していたり、その隔絶が融合されたことによる新しい音楽が常に生み出されているのもアメリカらしい。つくづく、アメリカという国を不思議に思う。そんなアメリカの一つの不思議、別に取り立てて書くほどのことではないone of themなのだろうが、それでも不思議な作品である。曲は往年のフォーク・シンガーHank Williamsと、Detroitで1980年にデビューしたディスコ・バンドの創設者の一人であり、現在のBlue Note RecordsのCEOでもあるアメリカ音楽界の超大物Don Fagenson (Don Was)の曲がほぼ半々で、最後の一曲を除いて、20世紀末感あふれる、黄金時代を懐かしむような、深くて濃いノスタルジーに満ちた、絶望的な脱力感を秘めたHip Hopなムードあふれる演奏である。しかも、極めてジャジーな、要するにアメリカらしい不思議な音楽である。砂漠を枯れ葉色に染めながら沈んでいく夕陽にさめざめと泣く思いがする。
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