Eva Cassidy: Live At Blues Alley (CD, Didgeridoo Records/ Hot Records, G2-10046, 1998, UK)
Cheek To Cheek (Irving Berlin) 4:03
Stormy Monday (T. Bone Walker) 5:49
Bridge Over Troubled Water (Paul Simon) 5:33
Fine And Mellow (Billie Holliday) 4:03
People Get Ready (Curtis Mayfield) 3:36
Blue Skies (Irving Berlin) 2:37
Tall Trees In Georgia (Buffy St. Marie) 4:05
Fields Of Gold (Sting) 4:57
Autumn Leaves (Jacques Prevert, Johnny Mercer, Joseph Kozma) 4:57
Honeysuckle Rose (Fats Waller) 3:14
Take Me To The River (Al Green, Mabon Lewis Hodges) 3:51
What A Wonderful World (Bob Thiele, George David Weiss) 5:50
*Oh, Had I Golden Thread (Pete Seeger) 4:46
Bass Guitar – Chris Biondo
Drums – Raice McLeod
Electric Guitar – Keith Grimes
Electric Guitar, Acoustic Guitar, Vocals – Eva Cassidy
Piano – Lenny "The Ringer" Williams
*Organ [Hammond Organ] – Hilton Felton
Recorded Live at Blues Alley January 2 and 3, 1996, Georgetown, USA, except * (track 13) recorded at Chris Biondo's Studio
ギターを持って弾きながら歌うスタイルには、なかなか興味が持てなかった。聞き知ったその多くはフォークでありブルーズで、絶叫調であるのがほとんどだった。無理もない。思いの丈を歌に込める最もシンプルでストレートで一般的な方法だから。しかし、自分と関わりのない人が、顔を引きつらせて絶叫している様は、見ていて辛いものがある。特にまだ音楽の経験の浅い若かった頃、限られた予算で、そのような個人の思いを表現した作品に手を出すより、もっと普遍性を感じるものを優先したし、身の回りのその手の音楽の演奏者たちとは全く気が合わなかった。土地柄、フォークであれブルーズであれ、おっかないオトナ達でシーンは出来上がっていたので、ちょっとでも青いことを言うとぶん殴られそうな空気だった。なぜ好きな音楽について喋っただけで殴られなければならないのか、さっぱりわからなかったので、自然と足は遠のいた。そして、気の合う仲間ができるまでにはかなりの時間を要した。しかしそれは間違ってはいなかった。
当時仲良くしていただいていた阪急かっぱ横丁にあった洋書の古美術書店のオーナーから勧められて買ったCDがこれである。何も知らずに聞いた。一曲目で失敗したと思った。当時は、ジャズなんて全く受け付けなかったからだ。続くブルーズやフォーク調の曲で切り上げようとしたとき、あることに気がついた。それは、リード・ボーカリストであるEva Cassidyを含め、バッキングを務めるミュージシャンが、極めて慎重に、一つ一つの音を丁寧に奏でていることであった。いまとなっては、そんなことは当然とした上で音楽や演奏を評価するのが当たり前だが、まだ若気の至りの鼻息の方が荒かった。歌唱や伴奏の妙味にまで気が回らなかった。ある意味、そこに気づかせてくれた初めてのライブ・アルバム、そしてきちんと身を入れて聞いた初めてのジャズ・ボーカル作品、もちろん彼女のレパートリーは、上のクレジットにもみられる通り、ブルーズからR&B、フォーク、あるいはそれを基調としたロックにも広がっている。それらをこのようにまとめることの良さに気づかせてくれた初めての歌手と言えるだろう。この時のライブが映像化されていることを知ったのは、この記事を書こうとした時である。あのとき気づいたことが間違いではなかったことが、これを見ていると確認できてよかった。
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