2013年03月30日

20130311 釘煮のアク取り

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 思えば一昨年の今日も、こうして何度目かのイカナゴの釘煮を作っていたのである。地震があった時刻は、ちょうどこのようにアクを取りはじめていたはずだ。東京にいる友達の店で、私のコンゴ旅行の写真展が行われていて、翌日にトーク・ライブのために上京する事になっていたから、手土産にと思って炊いていたのである。私には全く異変は感じられなかった。釘煮を炊き終わり、準備を整えて、インターネットに繋いだときに事実を知ったのである。さて「アクを取る」タイミングについて質問があったので、ここに公開しておこうと思います。これはあくまでも私の作り方ですが、イカナゴ1kgに対して、醤油200cc・ザラメ250g・酒50-100cc・味醂100ccを鍋に入れて、まずは弱火で加熱しザラメを完全に溶かす。その後強火にして、一旦吹き上がらせ、そこへショウガや山椒など薬味になるものを入れ、再沸騰したタイミングでイカナゴを全量一気に入れます。煮汁の温度が急激に下がりますので、素手で軽く混ぜて熱の伝播を良くし、周りから吹き上がってくるタイミングでアクを取ります。こうすれば、アクが一時に出るので、効率よく除去できるのですが、イカナゴを少しずつ入れた場合、アクが出るタイミングもバラバラになるので、これをきれいに除去する事が難しいのです。これをしたのとしないのとでは、仕上がりのすっきり感が全く違いますので、来年はぜひお忘れなく・・・

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20130310 赤目自然農塾

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 「赤目自然農塾」である。今日は、春野菜の種まきや植え付けなどである。畑はまだ冬であるので、土はこのように草の枯れたのやがんばって春を待っているのに覆われている。写真はジャガイモの植え付けの例である。ちなみに、この地は遅霜がきついので、植え付けそのものはもう少し後であるという。自然農法では、このように植え穴を開ける部分だけを最小限耕す。「耕さない」という本当の意味は、この畝全体を耕耘してしまう事のない、という意味である。まちがってはいけない。写真の鍬を握っている人は、川口氏そのひとであるのだから。


 ここへ来るのも3回目となり、土の様子も風景も見慣れてきた。今日得た事は三つある。ひとつは、繰り返し強調された「耕さない」ということの意味である。耕さない方がうまくいく・・・それは、自然界とのバランスを保つという意味であって、不耕起で栽培しても、八百屋に並んでいるような大きな作物が出来るという意味ではない。八百屋に並んでいる野菜は、確かに大き過ぎる。7年間やってきての実感である。要するに、肥料で肥満しているだけの事だ。それが悪いというのではない。ただ、私はそんな野菜を食いたくない。握りつぶせばピンポン玉くらいの大きさになってしまうような「パン・ド・カンパーニュ」など食べたくもない。それと同じ事だ。


 もうひとつは、川口氏の人柄である。この人は安心出来る。言ってる内容は、いわゆる「慣行農法」に慣れ親しんだ耳にとっては過激に聞こえる事もあるのだが、数十年の実績をもとに仰っている事で、その言葉と表情には、限りない深さと穏やかさがある。つまり、バランスがとれているという事だ。しかも、つねに言葉を慎重に選び、「私の言った細かい事に捕らわれるな」とさえ仰る。川口氏の仰るのは、この赤目で、川口氏がやる方法の事であって、兵庫県で、私がやるのとでは、諸条件が全く違うからである。やり方の細かい手順などに捕らわれるのではなく、何を目指して進んでいて、どうなって行く事がバランスの保たれた状態なのかを、常に模索するのが大切だという事だ。そういう意味で、これから春になり、梅雨に入り、夏になるに従って、この農場がどのように変貌してゆき、川口氏が、そして塾生達がそれぞれどのように対応して、その結果どうなって行くかをつぶさに観察する事は、何ものにも換えがたい経験になるだろう。最低でも数年は毎月通う必要があり、その価値がある。


 三つ目は、考えを同じくする仲間にめぐり逢った事である。私は赤目に住むわけではない。しかし、いずれどこかに定住しなければならない。安住の地が欲しい。そういう意味で、常に自分の考え方を研ぎ澄ませておく必要がある。妥協はしたくない。今住んでいるところは、衣食住は足りている。この状態を維持出来れば、とりあえず定速走行は出来る。しかし、これは私の思う存分ではない。この屋敷と農地を、完全に私の自由にして良いわけではないからだ。感覚を研ぎ澄ませ、行動の切先を鈍らせないためには、完全な自由がなければならない。しかし、自由に代償は付き物であって、それに悩まされているという次第である。

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2013年03月28日

20130308 啓蟄

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 春の雑節に「痙膣」・・・失礼、「啓蟄」というのがあるが、これは春の虫が動き出す頃という意味合いである。2013年は3月5日であった。「春の虫」というのは始末に負えないもので、コリがムズムズしてくるとやもたてもたまらず、しかも訳もなく突然に、たってほしいときにはちっともたたないくせに、たってもらってはこまるときにかぎってすぐに・・・失礼、とにかく「啓蟄」を春の風物詩だなどとほざいていられるのは結構なご身分の方々であって、百姓にとっては、菜の花の蕾の出かかった白菜の芯の甘いところを明日にでもちょいと塩もみにして・・・なんて予定していると、その日の夜中のうちに「春の虫」によってこのようにあらかた平らげられるのであって、すなわちこれが「啓蟄」の実態、春の虫の蠢きなのである。

 

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 しかしそもそもプロの百姓というものは、薹の立った白菜をいつまでも畑に晒し物にはしないのであって、今時分は既に全ての菜はひっぺがらかして肥料を鋤き込み、ビニールでも被せて太陽熱によって発酵させ、既にほうれん草や水菜小松菜などの早もの野菜の種まきを終え、ものによっては双葉から本葉へと成長しているものであって、季節の移り変わりを愛でているようでは青い。季節をどんどん先取りして先手を打たなければ、一手遅れれば十手ほどの手間が襲いかかってくる農繁期がもうすぐそこまで来ているのである。これが百姓の現実。皆がうらやむ「スローライフ」とやらの現実である。


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 そんなひとつを切ってみた。種を蒔いたときには確かに白菜だったのであるが、成長してみると分蘖型の新種の青梗菜かと思われるような奇態な構造をしておる。毎日これをちぎっては喰っていて、特に春が近づくにつれて枝もとから新芽が吹き出て、これを生食すると大変美味い。葉はさっと湯がいて醤油を垂らし、茎は炒めると独特の辛味があって病みつき、白菜の甘味など全く感じられない変種になってしまったのだが、これが私にとっては冬の毎日の菜であり、この花が端境期の早春の漬物になる。


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 大根もさまざまな形のものが出来る。こいつらは薹が立ってくると硬くなったりヘチマみたいにかさかさになるので、瑞々しいうちに笹掻にして干してしまう。


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2013年03月03日

20130225 キムチ薬念醤仕込み

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 キムチ用の薬念醤を仕込む。まずはイワシを捌いて骨を取り除き、重さを量って同量の塩で1ヶ月ほど漬込む。


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2013年03月02日

20130223 イカナゴ漁解禁

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 2013年のイカナゴ漁は02/23に解禁された。02/19が試験曵きだったから、極めて早い解禁であった。体長は2cm弱、例年より少し小さいが、私にとってはこの方が良い。


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 最近定着したレシピをご紹介しておきましょう。イカナゴ1kgに対して、濃口醤油200cc、酒50cc、味醂100cc、粗目糖250g。これらをすべて鍋に入れて、まずは弱火で粗目が完全に解けるまで掻き混ぜつつ温め、溶けたら強火にして煮汁が吹き上がるまで加熱し、そのあとで香り付けの幅原料であるショウガや山椒、桂皮などを任意で入れる。イカナゴは1kgなら全量を一気に入れる。煮汁の温度が下がるので、手で軽く混ぜて熱を満遍なく行き渡らせ、このときに灰汁を取る。沸騰してきたら上のようなアルミの落とし蓋を乗せる。これは、鍋の蓋を使ってアルミ箔を円形に作り、真ん中に指で穴をあける。


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 蓋が鍋の上で踊っているうちは手放しで他のことができる。ただし注意を怠らないこと。煮汁が減ってきたら、早めに落とし蓋を取り去り、よく観察して煮汁がかなり減ったら、鍋を回して中のイカナゴを返すようにして混ぜる。


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 煮汁がほんの少し残る頃合いを見計らって、イカナゴをざるにあけて放熱する。


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 本当はやってはいけないのだが、ごく少量なら生でも食べる。レモン醤油などをつけるとたまらん。もちろんかき揚げも絶品。

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20130222 新畑の観察

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 新畑の観察・・・大根と白菜です。大根は順次消費していますが、もうすぐ「ス」が入って表皮が硬くなりますから、早めの収穫をお願いします。白菜あるいはシロナについては、完全な養分不足の症状です。でも食べられますからご自由に収穫してください。


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 一番右でエンドウが育っていますが、霜によって根が押し出されています。麦踏みのように、越冬する苗の小さなものは、適宜観察して値を土に戻してやる必要があります。


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 ソラマメは順調。


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 ウリ科の畝は自然農法的に放置。


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 タマネギも、その多くが霜によって抜けてしまうので、時折状態をチェックして土に戻しておきます。


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 マメ科の跡地も自然農法的に放置。


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 サツマイモの蔓は、極めて腐食しにくいので、刻んで土に戻そうと思います。

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20130220 唐辛子の粉

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 「雨水」を過ぎると天気は周期的に変わり、時には大荒れになる。冬の空気に対して春の空気が挑みかかる轟音を聞きながら、冬の乾気に晒してきた唐辛子を煎り、粉末に挽いてしまう。


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 換気扇とマスクは必需品、なるべく触らず、万一触っても、その指で他のものを触らない。呼吸は最小限とし、深呼吸は外に出てする。火元とともに、とにかく細心の注意が必要。


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 上はピリピリの粉、下は韓国・ブータン・日本の唐辛子ブレンド。これをふるって、最も細かいものをキムチ用の薬念醤の仕上用に使う。


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 切り干し大根もよく出来てきた。


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 サツマイモは全部腐った。全くもったいない事だが、すべて畑の肥やしにする。


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20130218 雨水

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 陰暦で生活していると、異常気象と世間が騒いでいても、暦通りに季節が巡っている事がよくわかるのである。今日は「雨水」という雑節。このように朝から土砂降りである。明日はイカナゴ漁の試験曵き、季節は春。
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20130215 改正農地法

 今日は、神戸市役所に農業委員会を訪ねて行ってきた。亀岡市農業委員会で、農地を何らかの形で使用したいのであれば、先ず現住地できちんとした農業経営が出来ている事を証明してもらい、農家として登録した上で、その資格を持って相談に来てもらえれば、我々としても耕作放棄地を抱えている農家と折衝しやすいのだが・・・とアドバイスされたからである。もっともだ。私が現在管理している広さは1反5畝。農地法でいう農地取得の「下限面積」の5反に届かないにしても、それを手作りで管理出来ている事だけでも証明してくれれば、棚田を持て余している農家に対してなら説得材料になるかも知れない。ものは相談である。成るか成らぬかは為してみなければわからん。ところが、神戸市農業委員会で相談を進めていて驚いた。なんと、2009年には、農地法の定める「下限面積」が、5反から1反に引き下げられていたからである。なんだ、1反が管理出来ていれば、農家として認証してもらえるではないか、しかも、既に家主の元で7年以上耕作し、機械も殆ど使わず農薬と化学肥料は全く使わない状態で、収穫量はそれらを多用する家主を凌いでいる。つまりこのことは、認証の条件である「実務経験」を充分にクリアしている事になる。


 http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/industry/agriculture/sub1.html


 これはどういう事かというと、私は現在、農地法の枠外で勝手に、いわば違法に農地を使用して収穫を得、それを加工するなどして収益を上げているのである。微々たるものだけれども、法律というものは収益の大きさを問うていないから、厳密には違法である。それがわかっているから、家主も私も「お手伝い」とか「管理人」とかいってごまかしているわけである。行政の方も、別に迷惑行為を行っていない限りは黙認の構えであったはずだ。なぜなら10年前、私がここへ移住してきた当初は、正式に「農地」を借りようと思えば5反を耕作しなければならないという制度であったから、当然、機械・農薬・化学肥料を使う「農場経営」でなければ耕作すら出来ない。どこで訊いても同じ説明であり、従って君のように手作りで・・・なんてのは「貸し農園」でも借りてちまちまやんなさい、という制度で、いくら安全な食品の重要性などを説いても「ままごと」としか受け取ってもらえなかった。つまり相手にされなかったのである。だから仕方なく、今の家主に出会ったとき、双方合意の上で、農地については「暗黙の貸し借り」をし、この屋敷に住まう事については、売買や賃貸は農地法の制限により、私には資格がないから「住み込みの管理人」という事でお茶を濁さざるを得なかったのである。


 もちろん2009年に施行された「改正農地法」については詳細に調べたつもりである。しかし、私はそれを農協に訊ねたのであった。その時受けた説明では、改正農地法で農地取得の下限面積が緩和されたのは、いわば「限界集落」に近い僻地の話であって、兵庫県南部地域には適用されていないというものだったと記憶する。しかしそれは間違っていた。農協という組織は、良く考えてみたら行政機関ではなく、いわば旧来の農家の既得権益の保全を図ろうとする組織であるから、それを危うくしかねない「改正」については、消極的な対応になる事は、今から思えば想像に難くない。日本はれっきとした法治国家であるとはいいながら、農業を取り巻く組織というものは、このように論理的に物事が動かない。私は、別に農地を買い取る意思もなく、家を買う予算もなかったので、暗黙であれ現状維持出来れば問題なしとして、それ以上深く考えなかったのだが、それはちょっと甘かった。そして3年ほどが過ぎた。

 

 http://jakiswede.seesaa.net/article/305245991.html


 この記事をご記憶の方もあろう。そうなのだ。農地法の定める「下限面積」が、5反から1反に引き下げられていたのであれば、何故私は農業委員会から行政指導を受けて「farminhos」の看板を下ろさざるを得なかったのか ?? これについて率直に訪ねてみて、また驚いた。とんでもなく驚いた。このエピソードは「farminhos」に関係する事なので、事実関係は別に述べようと思うのだが、要するに、結果として、そんな「行政指導」を、農業委員会として行なった事実がなかったのである。なんということだ。私は認証農家となるための書類をもらい、手続きの進め方を詳細に確認して市役所を出た。


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2013年03月01日

20130214 タマネギ・ペースト

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 吊ってあったタマネギから芽が出はじめた。保存の限界である。ペーストにして保存する。


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 切ってみると、このように生命の沸き起こる力を目の当たりにする。


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 ペーストは、普通のシチュー用にオリーブ・オイルとニンニクを、先ずは常温から弱火で香り出しをした上で、みじん切りにしたタマネギを入れて炒めはじめ、程よく油が回ったところで琺瑯鍋に移し、弱火で蒸し煮にしていく。また、カレー用に、クミン・シードをスタータにしたものも作る。本来はクミンだけを常温の油に入れ、弱火で徐々に熱してクミンが泡立ちはじめたら、みじん切りにしたタマネギを入れるものだが、私はニンニクも初めに入れるのが好きだ。いずれも一時間程度、焦げ付かないようにじっくりと炒めて、充分にタマネギの甘味を出す事が大切である。


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 たいていは、袋詰めにして冷凍するのであるが、今回は、試しに瓶詰めにして煮沸消毒してみた。先ずは便を煮沸消毒し、それを乾かしてペーストを入れ、フタを緩くして20分、次に堅く閉めて20分煮沸する。これで2年程度常温保存が可能になるはず。ニンニクもこの季節、下の写真のように中身がぼろぼろになってくるので、健全なものを選んで、酢漬け・醤油漬け・油漬けに、あるいはスライスしてテフロンのフライパンで煎ってしまうのも手である。


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